12日*



 今日は仕事終わりの時間が伯寧と一緒になりそうだったから、昨日の夜に約束をして伯寧と飲みに行くことになった。だいたい定時で上がれる私はいつも通りの時間に着いたけど、残業になりがちな伯寧が何時に着くのかはわからない。駅に着いたと連絡を入れたら、ごめん少しだけ残っていて今から蛙と返事が来た。余程焦っていたのだろう、蛙という誤字に笑ってしまった。直後に帰ると打ち直され、先に店入ってて、と追加できたけど、駅で待ってるという返事と共に蛙の絵文字と蛙のスタンプを送っておいた。伯寧の会社の最寄りからここまで電車で20分くらいだから駅ビルの中でぶらぶらしていようかと思ったけど、伯寧がどこから連絡を入れてくれたのかわからないから、スマホで店でも探しながらこのまま改札前で待つことにした。

 10分程したら電車がきたのか改札が人で溢れてきた。その中に頭一つ分飛び出ている人がいて、そのはねた髪の毛から伯寧だとすぐにわかった。少し周りを見渡していたから、手を振ったら気付いてくれて駆け足でやってきた。

「待たせてごめんね」
「お疲れ。そんなに待ってないよ」
「先に探しててよかったのに」
「それも考えたけど、一緒に探したいじゃん」
「うん、ありがとう」
「そういえば新しくイタリアンのお店できてたけど、そこに行ってみない?」
「あそこ前に店の前通ったけどすごく狭そうだったよ。今から行って入れるかな」
「とりあえず行ってみようよ!混んでたらその時考える」

 伯寧の腕をとり、早く!と言いながら引っ張る。伯寧は痛いよと言っていたけど、渡りたい信号が点滅し始めたから伯寧の訴えを無視して腕を引っ張りながら走り出した。


20210312

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