14日*
いつもと違う駅で待ち合わせをして連れられた場所はビュッフェで有名なシティホテルのカフェレストランだった。週末の仕事終わり空けといてと伯寧に言われた時は普通に飲みに行くのかなと思ったから、これは予想外のお店だ。店員さんに外がよく見える席を案内されて、いつもと違う雰囲気に少しだけそわそわしながら席につく。伯寧はテーブルに置いてあるメニューを私の方に向けて広げてくれた。
「少し早いけど、今年のホワイトデーはナイトビュッフェにしてみたよ」
「あ、ホワイトデー…!」
伯寧がこんなお店を選ぶなんて珍しいなと思っていたけど、ホワイトデーという言葉を聞いて納得した。ホワイトデーはもうちょっと先だけど、ここのビュッフェは週末しかやっていないから今日になったのだろう。それにしてもここのビュッフェはすごく人気だから予約を取れただけでも凄いことだ。あの伯寧がここまでしてくれるなんて予想外すぎていまだにこの現状が信じられない。そんな私の驚きをよそに、伯寧はメニューの説明を続けた。
「桜のお菓子もあるから、君にぴったりだと思って」
「わ、ほんとだ」
メニューを見ると、今の季節でしか見ることのできない桜スイーツがたくさん載っていた。桜のパフェ、桜のアイス、桜のショコラ、桜のケーキ。桜スイーツ好きの身としてはとても心躍るラインナップだ。更に伯寧は別のメニューも出してきた。
「お酒もついているから、好きなだけ飲むといいよ」
「え!桜のお酒もあるの?」
そのメニューに載っていたのはワインのメニューで、赤白ロゼスパークリングに加えて期間限定で桜のワインもあった。お酒を飲めるだけでも嬉しいのに、これはテンションが上がってしまう。
「さ、時間は限られているから早く取りに行こうか」
ナイトビュッフェの制限時間はだいたい1時間半だ。それに甘いものばかり食べ続けられないから間にしょっぱいものを挟むと桜のスイーツを食べられる時間はかなり限られてくる。伯寧の言葉に気合を入れて取りに行こうと立ち上がったら、張り切っているねと笑われた。そして張り切って服がきつくなるで食べ尽くし、充分満足して今から帰るのだるいなと呟いた私に「ここの部屋取ってるよ」と伯寧が言うのはもう少し先の話だ。
20210314