満寵の年齢を知る話


 満寵殿に学問を教えてもらった後に酒を飲むのが日課になってきた。忙しい時もあるから毎回飲んでいるわけじゃないけど、どちらかが断りを入れない限り、女官が酒と肴を持ってきてくれる。満寵殿の杯に酒を注ぎながら、他愛もない話を始めた。

「満寵殿は若いのに凄いですよね。学もあるし、発想の柔軟性が凄いなって思います」
「若いから、とかそういうのはあまり関係ないと思うよ。若いからという理由で何か言われるとしたら、経験値が少ないとかかな。それは仕方がない事だと思うし、これから積んでいけばいいだけの事だからね」
「そこまで肯定的な考えになれるのもすごいな…。私はそこまで消極的じゃないけど、色々と言われたらやっぱり気になっちゃいますし」
「ななし殿は女性だし、私よりも年下だから言われることも違うだろう。気にするのは仕方がないと思う」

 確かに若いという事に加えて性別の問題もあるかもしれない。それを埋めるようにこうして学問にも力を入れ始めたんだけど…って、さっきなんか引っかかる言葉が出てきたような…。私が、年下…?

「ん…?え?」
「何かな?」
「年下…?満寵殿よりも、私が年下…?」
「そうだよ。ななし殿の年齢は郭嘉殿から聞いたことがあって、私の三個程下だなと思ったんだ」
「…」
「そこまで驚くことだったかな」
「絶対に満寵殿は私よりも年下だと思ってました…」
「ななし殿はしっかりしているからね」
「まともに服を着れない人が年上だなんて…」
「これは馬鹿にされてるのかな…?」

 満寵殿はちょっと悲しそうな顔をしていたけどそれは放置して自分の杯になみなみに酒を注いだ。
しかも教えたのが郭嘉殿って、私郭嘉殿に年齢を教えたことないんだけど。一体どこから情報が漏れたの。あの人の女に対する情報収集力凄すぎないか。

「郭嘉殿から情報収集するのやめてください…教えてない情報知ってて怖いです…」
「はは、すまないね。まだななし殿と話したことなかった頃に軍師の中で話題になって話してたんだ」
「なんですか私が軍師の中で話題になったって。怖すぎやしませんか」
「話の発端は郭嘉殿だったんだけど、そこからだんだん軍における女性のあり方みたいな会話になっていったんだよね」
「軍師殿の女性談義…」
「それはちょっと誤解を招く言い方だな」

 郭嘉殿発端の女の話に誤解も何もないだろうと思ったけど、これ以上この話には突っ込まないことにした。気になるけど、怖さの方が勝っている。

「では年上らしく明日から身だしなみに気を付けて外に出て下さいね」
「一応気をつけているんだけどな…」
「全然なってないです。注意されるという経験を積んで直していって下さい」
「ななし殿は厳しいなあ…」
「当然のことです!」

 満寵殿の杯はいつの間にか空になっていた。酒を注ぐと、悲しそうな顔が一変して、ありがとう、と笑顔になった。そのはにかんだ笑顔も年下っぽく感じさせる要因の一つなんだけど、満寵殿の真っ直ぐで無邪気な性格を思うと仕方がないのかもしれない。


20190414

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