ガールズトークの後話
「じゃあ今日はここまでにしようか」
「ありがとうございました」
今日使用した書簡をまとめていたら、満寵殿が女官に声をかけていたから、それを遮るように割って入った。
「今日はすぐに帰りますね」
「おや、珍しいね。体調が優れないのかい?」
「はい、少しだけ…」
お茶会による精神的疲労が強かったけど、そんなことは本人に言えないからちょっとだけ濁した。結局あの後も質問攻めは続いて、自室に戻る間もなく満寵殿の部屋へ来たのだった。もちろん心を落ち着かせる余裕もなかったから今日は一度も満寵殿と目を合わせていないんだけど。
「それは大変だ。明日もあるんだから早く戻って休んだ方がいい」
「すみません」
「話している最中一度も目が合わなかったからおかしいなと思っていたんだけど、体調が悪かったんだね」
目を合わせなかったことに気づいていたみたいで、ちょっとだけ驚いた。でもちょっとした人の表情や仕草から異変を読み取るのは、さすがは軍師と言ったところか。
「教えて頂いたのにご心配までおかけして本当に申し訳ありません」
「気にしなくていいよ。無理は禁物だからね」
「ありがとうございます」
「体調が悪い中この夜道を歩くのは危険だから送っていこう」
「いえ、大丈夫です!」
「おっと…本当に大丈夫かい?」
つい強めの口調になってしまい、満寵殿を驚かせてしまった。今日は一刻も早く満寵殿と別れたいのに、当の本人に付いて来られたら精神的疲労を回復させる時がなくなってしまう。心配をかけてしまったのは申し訳ないと思っているから、ぺこりと頭を下げた。
「大丈夫です。また明日よろしくお願いします」
頭を上げるときに一瞬だけ目が合ってしまい、昼の事を思い出して一瞬だけ心臓が跳ねた。また顔が赤くなりそうだったから、逃げるように満寵殿の部屋を出ていった。
20190417