甄姫と蔡文姫とガールズトークする話2
甄姫様と蔡文姫様とのお茶の時間はまちまちだ。朝から引っ張られることもあれば、調練後の昼に拉致されることもあり、仕事終わったあと、執務室の前で待っていることもある。事前に言ってくれる日もあれば、急にお茶しましょうと言われることもある。だけど今日は私から声をかけた。失礼かなと思ったけど、お二人は快く受けてくれて、仕事終わりの私に食事まで用意して下さっていた。
私が話しやすいようになのか、食事中はいつも通り甄姫様と蔡文姫様のお話を聞いていたけど、食事が終わったあとのお茶が出てきた時に、話題は私に振られた。
「さて、ななしは何を話したいのかしら」
「ご相談したいことがありまして…」
「私達ができることなら何でも仰って下さいね」
甄姫様と蔡文姫様の優しさを噛み締めながら、変なことを言わないように、そして勘違いされないように言葉を選びながらぽつぽつと話し始めた。
「前に満寵殿の甥の面倒を見たお礼で満寵殿から簪を頂いたんですけど、次の宴で付けてきてほしいと言われまして…」
「あら、いいじゃない」
「でも普段そういう物はつけないので恥ずかしいというか…。最初は飾っておこうと思ったんですけど、折角頂いたから一回くらいはつけた方がいいかなと思いまして…」
「一回と言わず、常につけていればいいじゃないですか」
「普段つけないから傷付けたり無くしたりしそうで怖いんです。私には勿体ない高価な物でしたし」
「満寵殿がななしに選んだものなら勿体ないわけないじゃないの」
「そうですよ。でも大切にしたい気持ちもわかります」
さすが、贈り物を贈られ慣れてる方々は違うな。私は触るのも緊張するような代物なんだけど。でも私の感覚がおかしいだけで、実はこれは普通のことなんだろうか。お茶の入った綺麗な陶器に視線を落とした。
「とにかく次の宴でつけていこうと思うのですが、いつもの髪に挿すのはみすぼらしいので、お二方に綺麗な髪のまとめ方を教わりたくて今日は声をかけさせて頂きました」
「そんなのお安いご用よ。それにかしこまって言うような事じゃありませんわ」
「そうですよ。通りがかりに話して下さってもよかったのですよ」
「いや、それはさすがに無礼にも程がありますよ…」
確かにこうしてわざわざ時間を頂いてまで聞いてもらうような事ではないかもしれないけど、私としては頼み事をするわけだから立ち話で済ませたくないわけで。でもお二人にはご快諾して頂けて安心した。
「髪をまとめるのって結構大変なのよ。だから当日まとめてあげるわ」
「え、そんなお手を煩わせるわけにはいきません」
「せっかく頂いたものを不馴れな手付きでつけるつもり?」
「それは…」
「当日は綺麗に仕上げてみせるから、安心なさい」
やり方だけ教わって当日までに練習すれば何とかなるだろうと思っていたけど、やはりそう簡単なことではないらしい。こう言って頂けるなら、お言葉に甘えて頼んでもいいかな。
「では、お願いしてもいいですか…?」
「もちろんですわ。当日は仕事を早く切り上げてちょうだいね」
「ななし様の綺麗な姿、楽しみですね」
「よろしくお願いします」
宴は数日後なのに、今から不安と緊張が入り交じってちょっと気持ち悪い。本当に似合うのかとか、他の将達に会うのも緊張するし、なにより満寵殿ときちんと向き合えるか心配すぎる。だけどこうして自分から相談した以上、今更辞めますとも言えないから腹を括るしかない。
20190620