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 ベルモットがあまりにもシルバーブレットとエンジェルにご熱心なので詳しく調べてみることにした。任務も関係なく変装して接触していることもあるようだ。

 シルバーブレットたる江戸川コナンは幼なじみの父親が営む毛利探偵事務所というところに居候をしていて、エンジェルというのは彼の幼なじみにあたる毛利蘭のことらしかった。

 以前は閑古鳥が鳴くほどだった探偵事務所は彼が居候を始めて日本中に名を轟かせるほどの活躍ぶりだ。目立てば目立つほど組織の目にも止まりやすい。せっかく生きながらえたのに何故?と思ったがどうやら逆らしい。組織の情報を集めやすくするためのエサを自分から撒いているらしい。それで彼をなるべく生かしたいベルモットの行動も慎重になっているというわけか。

 それと。推測の域を出ないが最近になって同じ小学校に通い始め、工藤家の隣に邸宅を構える阿笠家に居候している少女は恐らくシェリーこと志保、明美の妹だ。

 無事で、よかった。行方不明なのは知っていたがその後の存在を明確に知ったのは今回が初めてだった。明美は、1人で逝かせてしまったからずっと気になっていたのだ。生存を確認出来ただけで少し肩の荷が降りた気がした。姉を見殺しにした罪悪感が、少しだけ。

 俺が安堵する一方でベルモットはシェリーの存在が気に入らないらしい。組織と繋がるものであるし、彼女が組織に捕まるようなことがあれば研究がさらに進むことを懸念しているのだろう。

そうすれば各国の捜査機関が組織を崩すが、平成のホームズが活躍する前に組織の目的がなされてしまう。まぁ、俺が繰り返した限り達成されたことはないけど。

 ただ、ベルモットの懸念は他にもある。ジンが毛利小五郎を警戒し始めたことだ。その活躍の背景にあの少年がいることはまだ気づいていないようだが、毛利小五郎が組織の存在に勘付き妙な行動をするのではないかと懸念を抱いているようだ。

 スコッチやライをはじめとしてノックにいちはやく気づくジンの鼻はすごい。生まれ持った性格なのか犯罪者向きだな、とは本人には言えないかった。

 なるべくジンとベルモットの間に入るようにしているとジンからだいぶ嫌われたようで顔を見るたびに舌打ちをされる。大きな事件とか起こすついでに殺されかねないくらいには邪魔に思われているんだろう。彼はベルモットのことも警戒しているのでその対象に接触させない障害は邪魔でしかないのだろう。でもベルモットは今回随分俺によくしてくれた。外の世界に触れられてそれだけでも盾になってやるくらいの恩を感じているのだ、お前に彼女は殺させてやらない。



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