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「危ない、危ない」

 爆豪のニトロ爆破と切島の硬い殴りでも余裕そうに揺らめくモヤはダメージを負ったようには見えない。チッ、ワープを支える基礎から崩さねぇとダメか。モヤ自体に物理攻撃は効かないのか

 ゆらっと揺れていたモヤが雲が発達する様に急速に囲うように広がる。これはとばされるな。

 咄嗟に避けて相澤さんの方へ跳ぶ。チラッとモヤが広がった後を見るとそれぞれ散らされたらしい。他の場所にも雑魚はずいぶん入り込んだようだがやはりここが多いか。

 視界から消える薄さ、人にさわれぬ薄さ。自身を薄めて相澤さんを襲い掛かろうと集中している有象無象らの背後から一人ずつ顎を狙って拳や蹴りを放ち顎を揺らす。肘関節に首を挟んで落とす。

「は?」

「どうした?」

「どうなってやがる!」

「おい!」

 突然前後に居た仲間が倒れていけばそりゃあいくら悪いこと考えてます連合でもパニクるらしい。連携もくそもないっぽいので人数を集めただけの集団っぽい

「どうしたんだろうね?」

 焦って立ち尽くす皮膚が岩のような奴に耳元でささやく。

「っ?!」

 焦って立ち尽くす振り向くがもうそっち側にはいない。足を見えない程度、しかし実体はある程度に存在を戻して足をかける。突然現れた障害物にそのまま顔面から崩れ落ちた。痛そう。

「ぐっ」

 ...見るからに硬そうだもんな。起き上がろうとする後頭部に足を乗せて体重をかける。寝てろ、ばーか

 それを何度も繰り返す。個々の戦闘力はそれほど高くないし実際に人間殺したことやつ一人でもでもいんの?って感じだが、いかんせん数が多いと相手するのにも体力がもたない。いい加減疲れてきた。顎を右か左に上げて首捻って殺すか心臓潰すしかしたいんだけど!そしたら起き上がってこないし!楽なんだけどな!

 しかし、ヒーローたる者?早々人間に危害を加えてはいけないらしいし?あー、受験の時に必死で頭に入れたヒーロー学が役に立ってるよ。俺は別に大勢を守るための犠牲はしょうがないって思うし歯には歯を〜派なのでヘルサレムズロットでも人っていうか人間から外れた物を殺したこともあるけど、この世界はそう簡単に誰も殺さないし、尚且つヒーローを育成する現場でそんなことがあるとネズミと相澤さんが大迷惑だよね。この間野比じゃないくらいマスコミの餌食だ。俺の処分はもってのほか、ネズミや今ここにいる相澤さんと13号の責任問題だけじゃすまなくなる。くそ。めんどくさい


「だあああくっそうぜえええええ何で俺がこんな遠慮してんのにばんばん殺気だってんの?お前らも遠慮しろよ!」

 だんだん腹が立ってきて実体化して目の前にいたボディスーツに目出し帽という変態ちっくな出で立ちの男の背中を思い切り蹴飛ばす。加重負荷付きだ、楽しめよ!大人数ということもあってドミノ倒しのようにそいつの前にいた何人かもまとめて地面に伏す。ムカつくのでその上に乗って加重する。呻き声とともに地面に沈む。ざまあみろ

「名前!どうなってる!なんでお前がいるんだ!」

 声でわかったのか捕縛帯を振り回しながら叫んでくる相澤さんに敵を捌きながら返事をしようとすると殴りかかられる。本当に、とても、邪魔。人が喋ってんだろうが。拳が当たるというところで体を消してバランス崩したそいつの肘関節を背後から取る。力を込めると「ぐっ、あ!痛っ!」と呻き声をあげる。そういう痛いことを人にしようとしたんだろうが。あ?コラ

「Quiet.痛い痛いうるさいな。男の子だろ、気合い入れろよ」

 イライラを込めて力を徐々に強めて関節をぎちぎち絞めながら

「あの黒モヤに全員散り散りにされた!3、4人ずつでまとまって飛んだから一方的に殺されはしないだろ!もうちょっとここの数減らしたらネズミんとこ行ってくるわ!」

 って叫ぶと捕縛帯でヴィランをなぎ倒しながら「ここはいい!先に外の教員に事態を知らせてこい!そのあと飛ばされた生徒のところを回って無事を報告しろ!」と言われたので大人しく従おうと思います。

「はいよ!」

 それでは早速行ってこようと思うので脂汗をかきながら呻いていた男の関節ををパッと離す。地面に蹲って腕を抑えてこちらを睨む大男。なんだよ、壊してないだろ。

 ムカついたので顔を蹴飛ばしてから足の指の付け根に力を入れて地面を踏みしめて膝を使って跳び出す。力を利用できる程度の軽さ、壁を擦り抜く薄さ。少し跳んでは地面を蹴り付け駆ける。施設離しすぎだよね。校舎遠いわ〜

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