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「飯食った?」

「それは俺が聞きたいよ、相澤さん。ゼリー飲料ノーカンだからね」


開口一番がそれか。さっき相澤さんも帰ってきて帰ってるはずの俺の部屋が電気ついてないから気になって来たんだって。今から飯をつくるのは面倒過ぎるので定食屋にでも行きませんかとお誘いしたらオッケーをいたので急いで着替えて出る。


 定食屋までの道のりはそんなに遠くないが跳んじゃダメなのが凄い面倒くさい。


「実技試験のシステムえぐすぎません?だれか1人がむちゃくちゃあのロボ達壊したら同じエリアから確実に何人かは落ちるじゃないですか」

「まぁそれが狙いでもある。受験生は数百人単位だからな。手っ取り早いのさ」
「あとあれね、監視カメラ。受験生安全のためにとしても多すぎじゃないです?」

「全員で見てたでしょ」と笑うと目を見開いたあとすぐに元の表情に戻って「気付いてたのか」とぶっきらぼうに言われる。


 「何に加点減点してたの?まぁヒーロー科だし多分レスキューだろうけども」

暖簾を潜り駆け寄る店員に指を2本立てる。

「まぁな。プロ全員かき集められて全員生徒を見るんだ」

席に座って蕎麦を二つ頼む。マイブームは日本食だ。この前はチキン南蛮にして美味しかった。

「それが何エリアあんの?」

「6?」

「うわ、見きれるのそれ。」

 料理が来たのでお茶を注ぐ。割り箸っていうのは何回やっても綺麗に割れない。相澤さんにつられていただきますを言う。


「名前が一番最初に見直されたよ。事件のこともあるし、生活が関わるからな」

「まじか。大丈夫そうだと思うんだけど。結構壊したよ?」


「実技は申し分ないがどうやって潰したんだ?消える個性としか聞いてないが」


 蕎麦はね、音を立てて食べてもいいんだって。テーブルマナーはあんまり詳しくないけどズズズって音を立てて食べてるのは最初びっくりした。


「あっつ。あれね。存在薄くするのの逆で存在感出すって言うか簡単にいうと体を重くしてる」


「ん。ほう。そう言う使い方もあるのか」

 つゆを飛ばした俺にお手拭きを渡してくれたので受け取って口を拭う。


「ありがとうございます。そー。結構加減とか難しいんだよ。ちなみに手だけとかに加重かけてすっごい重いパンチも食らわせれる。けど重さによるけど体が飛ばないように足にも加重かけるっていう器用さもいる」


 蕎麦美味いな...!野菜とか栄養バランスとか考えるとアウトかもしれんが美味いぞ...

「なるほどな。あ、ちなみにお前合格な」


 箸を持った手でビシッとこっちを指される。へー。んっ?


「実技点は問題なし。筆記はヒーロー学がギリギリ。歴史と国語もギリギリ。他で点数あるから合格ね」


「えっ、アリガトウゴザイマス?そう言うのって当日に出ないんじゃないの?しかも口頭て」


「言っただろ、名前のは最初に見たって。手続きが多いから警察にももう伝えてあるよ」


「ちなみにこれからは先生なので口調どうにかしろ」


「アッ、はい」


 こんな身なりじゃなければ年齢はおそらくそんなに変わらないのでついね。でもこんな情緒もクソもない合格発表が未だかつて存在しただろうか。まぁ受験とかとは無縁な人生だったけど。だからこそ感動的なっていうか、ねぇ?


「ご馳走様です」と店をでる。名前・皇、4月からスクールボーイです

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