・乗っ取られ本丸

・刀剣男子の何人かが審神者書き換えの術にハマってしまった!というガバガバ設定の書きたいところだけ厳選



「状況を報告しろ」

 会議から帰ったら長谷部に斬りかかられて伊達刀組に追いかけまわされた。

「薬研!使える数は!」

「短刀はほとんどいけるな!遠征組は影響なし!だが戻るまで時間がかかる。本丸の屋敷や近隣も影響が出てる模様。余裕はねぇぞ大将!」

「チッ」

 だから主、主とやたらうるさい連中は嫌だったのだ。研修と言ってやってきたどこぞのお嬢様が面倒な術をかけて「今日からここが私のお城なの」とぬかしやがった。頭沸いてんのか。霊力が中途半端なお陰か術にハマった刀剣は多くはない。が、みな練度が高く、刀だったときの主人に固執や思入れのあるやつが強くかかったようだ

 仮にも神ともあろうものが本当にに情けない。

「とりあえず今ここにいるやつは全員お守りを持て。前田!大典田を連れて今交戦中の刀連中に加勢しろ。小狐、燭台切、長谷部の練度が高い。今のままじゃこっちが妙な術をどうにかするまでもたん。厚!今いる短刀、脇差を二部隊に分けろ。片方は本丸中の札を剥がして回れ!もう一方は本丸を抜けてこの前練戦した審神者に事態の報告と支援を求めてこい!同田貫は馬で遠征組を迎えに行ってこい!ジジイも半分怪しい。アイツにブツけられるのは源氏くらいだ、急げ!」

 お守りを一振りずつ回しながら指示を飛ばすが正直何体が正気か把握していない。

「薬研!巴!静!俺と来い。あのお嬢様をどうにかする」

「大将の守りが薄くないか!」

「調子に乗っているお嬢様一人には十分すぎるだろ」

「以上!審神者の名の下に本丸内での抜刀及び戦闘を許可する!いいか、今まで一緒にいた連中を折る覚悟をしておけ。が、お前らは絶対に折られるな!やばいと思ったら一度引け!異論のあるものは!」

 全員が頷く。短期で攻めないと情報の書き換えがどこまでされるのかわからん、急げよ俺。

「散れ!」

 狭い部屋に集まった刀剣達が一斉に飛び出る。皆が笑い合って育てた畑も、食事を取る畳もぐしゃぐしゃだ。

 まぁいい。文句は後だ。頭の弱いお嬢様をぶん殴って終わりにしてやる。

「薬研、あの箱入り娘の居場所を特定してこい。」

「大将は?」

「装具をガチガチに固めて巴と静を連れて札を剥がしつつ術をかけなおして本丸を隔離する。他所まで迷惑をかけられん。行けるな、二人とも」

「ああ」「ええ」

「見つけ次第合流しろ、俺が直々にぶん殴って終いだ。殺すなよ」

 目がギラつく薬研に釘をさす。遠征組が本丸に足を踏み入れた時点で、どっちに転がるか次第で形勢が変わる。用心しろとは言ったが長引けばどこまで押しきられるか。

 
 これだから他人のモノで仕事をするのは嫌だったのだ。懐にあるこの本丸にいるどこ刀剣たちもしらない安物の無名の短刀を握りしめる。乗っ取られて歴史や仕事に影響が出る前に霊力の根源を断つつもりではあるが、腹切り用のコイツの出番がないことだけを祈る。




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