今度、FBIと合同捜査をするらしいよ。対象は降谷さんが潜入してたとこの組織らしい。「ほう、にいちゃんまた徹夜だね」頑張ってって意を込めて肩を叩いたら「何を言ってるんだ、太郎も名簿にあっただろう」って言われた。エッ聞いてない。そういうのは国産犯罪科とか厚生省の管轄じゃない?俺その組織の捜査に一回も加わったことないけど、まじ?

 その後降谷さんとばったり会った時に「俺使えないので外してください〜」的な事を暗に言ったつもりだったんだけどいい笑顔で

「頑張ろうな」

って言われた。あ、だめだこの人。人の話聞かないやつだ。

いつ集まるんだろうって思ってたら1週間後とか、言われて、俺は。めちゃめちゃ資料漁ったよね。量が膨大すぎて死ぬかと思った。顔合わせ兼捜査の大筋を立てる日に寝不足過ぎてとりあえずコーヒーを求め廊下をフラフラ歩いてたらなにもないとこで躓いた。咄嗟に手が出なくて顔面ルート。諦めた。畜生め!全部降谷さんのせいだ!

 覚悟を決めてぎゅっと目を閉じてたんだけど痛みはこない。むしろなんか柔らかい。ゆっくりと目をあける。

「are you ok?darling」

 目の下のクマがやばいし顔色が悪い日本人っぽいけど彫りも深くて目の色が不思議なイケメンが支えてくれてた。凄い、さっと支えられるのかっこいい。ゴツくて力強い腕にとぅんくしそうだった。俺もこういうのできればモテるかもしれん。“お帰りなさい、あなた”って微笑む未来の嫁まで待ったなし。ってかダーリンって言っただろうか。アメリカン凄い

「ありがとうございます」

情けないのと寝不足てへちゃっとした笑顔になるけど飴あげるから許してほしい。

「よかったらどうぞ」

 ポケットから飴を出してイケメンに握らせる。めちゃくちゃ凝視してくるのはなんだろ。

「太郎!資料は全部設置したか?」

すれ違いざまにいちゃんに声をかけられてやっべ、途中だった。

「行きます!」

イケメンにペコリと頭を下げて会議室まで戻る。コーヒータイムはお預けです。とほほ。

 会議中どうせ足しか俺の使い所はないし、新しい情報もなかったので偉い人の話を聞きつつ欠伸を噛み殺してたら降谷さんと目があった。曖昧な笑みで誤魔化してみたけど眉間のシワが深くなったので多分ごまかせてない。

 会議が終わって偉い人達が解散した後に背もたれを使って伸びをする。緊張感のある会議ってなんでこんな疲労感溜まるんだろうね。逆さの景色を見ながら昼ご飯どうしよって悩んでたら視界が真っ暗になる。なに?

「やぁ、昼飯でもどうだ」

さっきも聞いたような低いいい声。誰だっけって視線をあげるとさっきの、イケメン。降谷さんと言い合いながら会議してたし結構偉い方!

「あっ!はい!」

 急いで立ち上がろうとすると世界が歪む。あ、立ちくらみって思ったらまたイケメンが支えてくれてた。再々すいません。ひ弱なイメージついてたらどうしよう。

「そんな焦らなくていい」

ふって感じで笑われたんだけどこれは年下の弟かなんかを見る目でしょうか。あとね、会議室に戻ってきた降谷さんがむちゃくちゃこっちみてる。こわい。

「すみません。あ、お昼でしたよね。食堂がいいですか?外でます?」

なんで俺となんだろ、潜入と捜査の一環で日本で結構暮らしてる的な事をさっき言ってたし美味しい日本料理食べたいんだとかじゃないだろうしって思ったけど俺は空気読める系公安部だから言わないでおいた。俺はラーメンかとんかつ定食の気分よ

接待的には高級な方がいいのか、なんて頭を悩ませていると

「おや、覚えてないのかhoney」

って少し寂しげに言われてこのイケメンはこうやって金髪美女落としてんのか、ってまじまじ顔を見てしまった。あと降谷さんがこっちに飛びかかって来そうな雰囲気でパソコン突いてるこわい。仲良くして

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