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「Hey,honey.なんだそのスーツは」

「おはようございます、赤井さん。むっちゃ良くないですか?動き安いし着心地最高ですよ」

「ああ、良く似合っている」

「へっへっへ、ありがとうございます。俺チョイスじゃないけど」

「は?」

 さっきまで笑顔で見ていた赤井さんの眉間が、やばい。こわ。

「実は、」

「誰のチョイスか言ってみろ、太郎。僕は知らないぞ」

「おはようございます、降谷さん。そりゃあ昨日ですからね。知ってたら怖いですよ。まぁ俺も知らないけど」

 ずんずんと怖い顔で歩いて近づいてくる降谷さんが怖い。ベビーフェイスが台無しである。朝からこの2人に絡まれる俺よ。な?胃に穴が開きそうだろ...

「知らない?」

2人の声が重なる。やっぱり実は仲良しなんじゃないの?

「えーっと昨日知り合ったおにいさんがいつの間にか買っててくれてて、俺の好みだったし、スーツぼろぼろだったし、自慢したくてきてきました。」

 初めてスーツだけ置いてある店行きました!カフスまでその人のチョイスで、めっちゃ高そうなんでもったいないけど着ない方がもったいないですよねってスーツを見ながら言って顔をあげたら2人とも人でも殺したみたいな顔でこっち見てたので秒逃げた。その顔だけで人が死ぬわ。主に俺が。

 どうしてもいろんな人に自慢したくて風見にいちゃんをさがしてドヤァってしたら頭叩かれた。痛い。ちょっとむかついたので「そんなヨレヨレスーツには文句言われたくない」ってぶーたれながら仕事したけどスーツ効果がすごい仕事終わるのが早かった。

 こののち、二人からよく服をもらうようになったんだけど競う会うように俺のディスクの上に置くので公安部のみんながまたかって顔してるし、なんで対策室解散したのに赤井さんいるのか教えてほしいし、私服は趣味が、あるので、って低調にお返しするときのストレス半端なじゃない。置かないで。俺の机に書類以外置かないで。あ、まって、仕事増やさないで。まじで俺をダシに競い合うのやめてほしい。

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