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暗闇から救い出してくれた人は、ドフラミンゴというらしい。最初は眩しくて顔が見えなかったがとても大きな人で、目が慣れてもサングラスをしていて素顔はわからなかった。
連れて行かれた先はお城で、彼は「ドン」「ボス」「若」「王」様々な名前で呼ばれていた。そして太郎が今までいた場所で一番人が多かった。
何と呼ぶべきだろうか?「主人さま」と小さく声をかけると太郎よりもずいぶん背が高いと言うのに聞き取ったようでフッフッフッと愉快そうに笑いながら「ドフィでいい」と言ってくれた。それから、この国の中で自由にしていい、とも。
いつだったか船のなかでであった美しい女性が教えてくれた読み書きがこんなにも楽しいものだとは思わなかった。本というものには色んなことが書かれていて嘘か本当かもわからなかったが、色んな世界を旅しているようで楽しかった。そして、こんなにも色んな人がいて自分と話し、笑い、行動してくれるなどと夢にも思っていなかった。
最初は城のなかで過ごしていた太郎も徐々に人になれ、少しずつ行動範囲を増やしていった。「あの人がこれをくれた」「あそこには本がたくさんあるらしい」「あの店には変わった貝殻が置いてある。」こんな素晴らしい世界を教えてくれた彼にもどうにかしてこの感動を、喜びを伝えたかった。
ドフラミンゴと出会うたびに太郎は目をかがやかせながら色んな話をした。たしかにニコニコと楽しそうに色んな人と話しているのをよく見かける。初めて、ドフラミンゴが太郎を観たときはあんなに泣いていたのに。幸せそうな縋るような笑みを浮かべていた相手は自分だけだったはずなのに。
国につれかえってからあんなにも放ったからかしにしていた太郎があちこちで笑顔を見せていることが急に、とてつもなく不愉快だった。
ある日、ドフラミンゴ自身がいかなければならない仕事ができた。少なくとも1日から2日は国をあける。そんな時頭をよぎったのは太郎のことだった。
自分がいない間に、どこの誰ともわからないやつと楽しそうに笑う名前を想像しては胸のあたりに不快感が生じる。どうしたものかと悩んでいる時思い出したのは初めてあった太郎だった。
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