Half-Blood Prince-4



閃光も花火も走り、訪れたたくさんのホグワーツ生で賑わう、ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ。買った買った!と彼らへ手を叩くフレッドジョージは一年前とは見違えて、夢を叶えすっかり商売人の、瓜二つの顔をしている。
にやにやと勧められた惚れ薬を棚へ戻した後、ハーマイオニーは店内を見回した。自分達と同じ時期にきっと来ると、会えると思っていた影を探す。

「名前は居ないわね?」

賑やかな情景とそぐわない、一瞬曇ったフレッドの表情を、ハーマイオニーも、ロンも、隣にいるジョージも見逃さなかった。何気なくロンが会話へ加わる。

「ここには来たんだろ?」
「いいや?君たちの大好きなお姉さんは一歩もここには来てないよ。手紙も寄越さない」
「きっとまだ具合がよくないんじゃないか?」
「骨を生やすのは荒療治らしいからな」
「そうそう」

いじけるようにも見えるフレッドと、隣ではサラサラ、とペンを走らせるフリをしてジョージが笑い、数年前のクィディッチでのハリーを二人して若干茶化す。そうしてインスタント煙幕に惹かれているハリーへ目を向け、目の色を変えて二人してそちらへ駆け付けた。
名前は骨折でしょ…と呆れるハーマイオニーと目を合わせてから、ロンは店内を再び見渡す。

"子供は嫌いよ!""命令は絶対です!"

忙しく一輪車を漕がせられているこのアンブリッジアイテムを、二人が名前に見せたがらないわけがない。少ししかめて、ロンもすぐに気を取り直し、握った商品の"兄弟価格"をうかがおうと二人の兄を追うも、そのような割引きはこの店に存在しなかった。
店内は天井の至るところまで、店先にも所狭しと、名前も目を輝かせるはずと分かり切っているこの場所に、名前が一度も来ていないとは。

「フレッドとジョージは店を閉めないのね」
「"今こそ笑いが必要だ"って」
「そのとおりだ」

三人が店を出て歩けば、かつてのダイアゴン横丁の活気はない。W・W・W以外がまるで色味を失ったように閑散としていた。


……――

キングスクロス駅。ハリーはロン達とともにホームへ向かい、順に9¾番線を駆け抜ける。ハリーも例年通り9と10の間を目指し駆け抜けた。その直後、

― パチン! ― 「!?」

指を鳴らした音が鮮明に耳に届いた途端、ハリーも、押していたカートも、まるで大きな手で無理やり追いやられるように、瞬時にレンガの壁の際まで移動した。遠心力こそ感じたが体に衝撃は来ず、小さく呻いて、気付くと目の前には名前が居て、両肩を支えていた。

「ハリー!」
「名前!?」
「しーっ!内緒で来たの。誰にも言わないでね」

汽車から少し離れた、数々のカートや高く積まれた荷物でちょうど影になっている此処に、久しく会っていないなかった名前が現れた。本来ならロンやハーマイオニーも呼んで、ゆっくり再会を喜びたいところだったが、そうもいかない様子だった。カートとカートの間、名前に続いて、ハリーも屈んで二人して身を小さくする。

「内緒って、まさか一人で来たの?あの本で?」
「…自分の魔法で」
「、なんてこと…」
「危険かもしれないけど、そうじゃないかもしれないから。とにかく来たかったから来たの」
「、」
「落ち込んで大人しくしてるような私じゃないもの」

単独行動も、使った魔法自体も、すべてが危険だった。ハリーには、まるで名前が自分自身にそう言い聞かせているように見えた。心強くも見えるものの、同時に心配にも思えた。飛び込むのも、成功してしまうのも、なんとも名前らしいが、その表情はどこか深刻みがうかがえる。そうだねと小さく返すハリーに、名前は少し黙って、仕切り直すように、ハリーに改めて顔を向けた。

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