Half-Blood Prince-5



「変わりはない?…やっぱりホグワーツに戻るのね」
「当然。ロンも同じようなこと言ってたな…。名前だって居ればそうした筈だよ」
「そうね。
…私の家族も異変に気付いてる。家を出るときにホグワーツへは行かないよねって念押しされたよ」

ハーマイオニーの両親も警戒していると、耳にしていたハリーは深刻な表情で口をつぐんだ。初耳ではない様子を見届けて、名前が口をひらく。

「ダンブルドア先生が会いに行ったって聞いたけど」
「会ったよ。…スラグホーン先生の所へ付き添った。名前、知ってる?ホラス・スラグホーン先生」
「…ううん、…ダンブルドア先生はなんて?」
「僕が有名だからきっと気に入るって」
「……」
「ダンブルドアは編み物が好きとも」
「…………」

一層しかめ、面白いほど不思議がってまばたきをする名前。話を変えようと、ではボージン&バークスという店は?と尋ねれば表情が一変したので、ハリーも自然と向き直った。

「行ったことがある?」
「…同じ並びのレストランになら」
「入ったこともないの?」
「ないよ。用が無いもの…。アンティーク家具にも、人骨にも」

死刑執行の予定もないし、と話す名前に、今度はハリーがノクターン横丁の不気味さに改めてしかめる。考えを巡らせながら、名前は汽車のほうにも目を向けつつ続ける。

「気に入るからってわざわざ連れてって紹介だけ?……その先生とボージン&バークスが関係あるの?」
「いや、店はマルフォイ関係だ。先生は、分からない」
「… ドラコはどうしてる?」
「さぁ、僕のほうこそ聞きたかった。何か知らないか……」
「……」

「名前、トム・リドルは?」
「、」

ハリーから目を逸らし再び考える名前に投げかける。頼りになる相手に、名前は案じていた相手に、しかも悠長にしてられない状況に、互いに質問はとめどない。名前は聞き間違いでないか確かめるように、ハリーへ視線を戻した。

「… 知ってる」
「…」
「知ってるはず。…なんでだったか……、知ってるってあなたに言ってよかったんだっけ。なんでダメだと思ったんだっけ、…」
「…」
「誰なの、その人は」

昔の記憶のようで、もう知ってると答えてしまっているが、当時は黙っていようなどと思ってくれたんだろうと、名前は得た情報にどれほど気を回しているのか、ハリーは垣間見た気がした。

「ヴォルデモートだよ。…後のヴォルデモートだ」
「…―――  …」

名前は名だけで魔法省での恐怖がよみがえり鳥肌がたった。デスイーターに掴まったときよりも、怪我を負わされた瞬間よりも、視線も交えていない、ヴォルデモートと同じ空間に居たあの時間が、どの瞬間よりも怖かった。察して、ハリーが名前の肩に手を添えた。

「…そろそろ行かないと不自然ね。ハリー、いってらっしゃい」
「……ありがとう」

名前も気を付けて、と言って立ち上がろうとしたハリーを、ふと名前が止める。


「待って、私も聞きたいことが。
…"去る者(リーバー)"って呼び名に聞き覚えはない?」

「…? いや」

"屋敷とかで" "二年生の頃とか"と次々出されるヒントにも、ハリーはピンとこない様子で、本当にちっとも知らない言葉だった。
名前は仕方なさそうに頷いて、改めて別れを告げる。駅の物陰で、早急な密会を終え、ハリーはロン達のもとへ急いでカートを押した。

prev | list | next
top