Half-Blood Prince-6
汽車では、ルーナがクィブラーを配って回る。ボックス席でハリー達三人は、先日ノクターン横丁で屋根にのぼってまで覗き見た、店内でキャビネットに向かって立つドラコ達の動向のことを話していた。
「あれは絶対なにかの儀式だ」
「ハリー。決めつけないで」
「あいつも仲間なんだ」
「何の?」
ロンが聞けばハリーは黙った。代わりにハーマイオニーが口をひらく。
聞けばロンは少し笑うが、ハリーの表情は深刻なまま変わらない。
「…ドラコがデスイーターだと思ってるのよ」
「"あの人"がドラコなんか欲しがるか?」
「じゃあの店で何をしてた?家具選びか?」
「陰気な店だ。 …名前が好きそうな」
「名前もあの店は知らなかった」
「名前に会ったの?いつ?」
ついさっきとは答えられず、文通だよと慌てて答えて難を逃れる。瞬間ふと、考えを巡らせる名前の様子を思い返す。彼女が気を回し尽くすことも。
「…僕に黙ってた可能性も」
「名前を疑うのか?」
「言葉は当てにならない」
「はぁ。ハリー」
「…… ドラコは父親もデスイーターだ。つじつまは合う。きみも見たろ」
「はっきりとは分からないわ」
溜息をつくハーマイオニー。こちらをなだめるようなロン。ハリーは冷静になろうと、"出てくる"と残して、荷物置きからもれなくコートを手にして、席を立った。
…――
夜、名前はテーブルランプが温かく灯る自室で、そこら中に本を散乱させ床に座り込み、探し当てた本に視線を落としていた。
「エイチ、……ホラス、ホラス、…」
指を沿わせているのは『ホグワーツの歴史―別冊、優等生著』にしおりのように挟めておいた小冊子、『特別な解説』のほうだった。四年生の頃、フレッドに喧嘩の翌日に渡されたこの本。名前の部屋にあるのはバレれば問題になり得るが、図書室から持ち出したのはあくまで自分ではなく、フレッドだ。
名前は当時ひっかかったのだと、数年ぶりにこの本の"トム・マールヴォロ・リドル"の箇所をすぐに開き、改めて緊張を走らせた。
「、"ホラス・E・F・スラグホーン" …」
あった、と呟いて本を両手で持ち直した後、小冊子から本へ持ち変える。
"
スラグクラブ会長 "
少しハテナを浮かべて、小冊子のエイチの箇所に戻る。古びたインクの筆跡。名前から引っ張られた線の先に、それよりも鮮明なインクで"だれ?"と、違う色の、違う癖文字が残されている。
復職なんて言っていたかと、駅でのハリーとの会話を少し思い返して、一呼吸置くと続けて、今度は本に戻り、登場する月日をさかのぼる。名前は遅くまで、フレッドの過去の贈り物に向かっていた。