Half-Blood Prince-12
クリスマスの夜。訪ねた名前を、ドアを開けたジニーが笑顔で歓迎した。"母さん 名前よ!"と一言聞いた、夕食の用意に忙しくしていたモリーが、暖かに灯るキッチンから走ってやって来て、トランク片手に現れた名前を、飛び込むようにして抱きしめて迎え入れた。
「名前!!ずっ、と会いたかったのよ!」
「私もです、 ジニー、元気だった?」
「うん!入って」
「ケーキもあるからね、座って」
「やぁ名前!」
「アーサーさん、 …」
笑顔を交わすのが嬉しく、涙をぐっと堪えるのは、名前も、頬を包んでくれるモリーも、同じようだった。部屋の奥で笑顔をこちらに向けるハリーとロン、ドタドタドタ!!と階段を豪快に鳴らす音に目を向けると、再会を待ちわびた彼らが居た。
「名前…!」
同じく待ちわびた様子が容易に伝わる声色のフレッドに、飛び切りの笑顔のジョージ。以前の本部での再会とは違い、モリーを受け止めた腕もそのままに、名前も彼らへ笑顔をまっすぐに返した。
…――
「ロンがそんなに大活躍だったなんて、クィディッチ行きたかったな」
「きっとムーディ先生に止められてただろうね」
「? なに?ハリー」
「俺たちの勇姿だって見に来るべきだよ!名前」
「絶対気に入るのに!」
「そうね、…でも開店祝いが届いたでしょ?」
美味しい夕食を皆で囲み、会えなかった時間を埋めるように、話したかったすべてが注ぎ込まれる。名前はホグワーツでワクワクしながら過ごす心地を懐かしみながら、皆の笑顔を見渡した。抗議したフレッドジョージに詫びつつ一言返すと、二人はパッと互いを見て答え合わせをした。
「!…そういや届いたな。マグルの会社から」
「大きな花束が触ると花火になって」
「小さな箱からネクタイが二本、…」
フレッドは自分の首元を差しつつジョージのネクタイを見て、まさか、と二人が視線をやると、肩をすくめて笑い食事に視線を落とす名前と、隣の、楽しそうに眺めるジニー。どこの粋な企業かと思っていたら、送り主の書けない親友だったとは。ホグワーツでともに過ごし何度も見てきた、この驚かされる名前"らしさ"を、フレッドジョージもまた懐かしんだ。
しばらくするとルーピンとトンクスの二人も合流した。あらかた食事もおしゃべりも済ませると、おのおの好きな時間を過ごし始める。ケーキの上を軽快にスケートで滑りながらこちらに手を振る、小さな雪だるまのデコレーションに名前が笑みを返しつつ皿を重ねていると、モリーの"終わったお皿は運んで!"の声と同時ぐらいに、座る名前のすぐ後ろでフレッドジョージが引っ張り合うクラッカーのバネが弾けた。パン!の音に肩を跳ねさせて驚き、名前と三人、笑い声をあげる。
いつの間にやらハリーを呼び留めたらしいルーピンたちが、奥のローテーブルを囲っている。"ヴォルデモートがドラコに任務を?…"とルーピンの声が耳に届きはたと名前の手が止まったのは、フレッドにも分かった。
「…ほかにも見たいだろ?名前」
「… 、 」
「部屋に山ほどあるよ!来なよ」
思わず不安そうな表情のままフレッドを見上げた名前の肩に手をやり、ジョージも便乗して名前の気を紛らす。席を立ち、二人に続いて階段を上がる途中、ルーピンの大きくなった声が届き三人そろって思わず止まるも、大丈夫、と連れられて二人の部屋へ向かう。一瞬一瞬を楽しみたいのに、そうさせてくれないのは、本当ならみんなで集まってパーティーなど、そんな場合ではないからで、嫌でも現実を突き付けられる。名前の不安を消すように、二人は部屋へ迎え入れた。見慣れたオレンジのショッパーや箱が溢れる片隅、ベッドに腰掛けるフレッドと、そのへんに座り込むジョージに名前も続いて、二人の間あたりの、ラグの上に座る。ベッドに寄りかかり足を伸ばせば、ホグワーツの小さな塔で三人で過ごす、あの大好きな時間そのままの状態になれた。不安で曇った名前の表情に、徐々に色味が戻っていく。