Deathly Hallows(Part 1)-5



ルーピンの支える、もう片方のジョージの肩をハリーが支えると、やがて背や髪も元通りになり、目を堅く閉じ血を流すジョージが元の姿になった。ハリーは様々な感情を、歯を食いしばって押さえ込みながら、家の中を目指す。名前の喚くような悲痛な声は、三人にも、兄の姿に立ち尽くすジニーの耳にも、遠巻きに届く。

「モリーさん…!! モリーさぁん!!!」
「!! 〜〜名前…!!」

力なく駆けてあがりこんだ名前は不安一色の顔でモリーの元を目指す。その表情の片側の肌は血でどこかしこも赤くモリーは一瞬息をのみ、慌てて駆け寄った。支えた、血濡れた両手はガタガタ震わせ、どうしようと、ごめんなさいを繰り返す。

「ジョージが…!私のせいなの、わ、私を庇って…!」
「名前、しっかり。 落ち着いて」
「ごめんなさい…!どうしよう、本当に、…!」
「大丈夫よ」

声を落としてモリーが安心させようと髪を撫でても、名前の心地は少しも休まらない。やがてハリーとルーピンに支えられながらやって来たジョージを目にいれ、モリーも"大変…"と呟き忙しく駆け寄る。もとよりジョージと分かっていても、本当の彼の姿になりぐったりしているのに、名前は更に堪えた。
ソファに寝かせ傷を看て案じるモリーの横で、名前もジョージのそばにつく。

―ガタガタッ!!―

「! ルーピン!」
「何するの!」

背後でルーピンが荒々しくハリーを取り押さえ杖を向け、制止するようにハグリッドやジニーが声を上げる。名前にはもはや今は通常の冷静な考えも、状況把握も難しい。とにかく自分を庇うように片耳を痛々しく傷つけた、眠るような親友の姿にぼろぼろと涙を流すほかない。
モリーは"深呼吸してごらん、名前、"と、ジョージのことも、名前のことも案じる。

本物のハリーにしか分からないことを、答えろと声を荒げていたルーピンや迫られたハリーの背後の面々は、やがて一度波を引かせていた。

「…裏切りがあり今夜の移動がバレていた。…君が本物か確かめた」

両者息を上がらせて、解放し、謝るようなルーピンと、頷いてみせるハリー。二人ともジョージの容態と、そばで小さくなって悲しむ名前の背中へ目を向けた。
打ちひしがれるような心地に家中包まれていると、再び外で姿現しの音がした。飛び出したルーピンは懸命に本物のハリーと距離をとらせながら、杖を構える。
到着したキングズリーも同様の考えで、先ほどハリーがルーピンに向けられたように、まったく同様にルーピンへ杖を向け、彼が答えられる質問を投げかけた。騎士団の面々の間に繰り返し、不穏な空気が、消えては漂う。

着々と姿現しの音を響かせ、皆が隠れ穴に到着する。

「我々が最後? ジョージは?」

元の姿に戻りメガネを取るフレッドと肩を組み、成功に胸を撫でおろすも束の間、アーサーがふと投げた質問に、無事に戻ったトンクスを抱きしめていたルーピンの表情は強張った。
フレッドが周囲の表情を察知し、見渡しても名前の姿が見えず 慌てて家へ駆けこむ。アーサーからも、安堵の表情は消え去った。

二人が家へ戻ると、ソファに力なく横たわり血を流すジョージ。そばの椅子に腰掛け彼の髪を撫でるモリーの表情は落ち着いており、ジニーも、重く受け止め堪えるように佇んでいる。祈るような気持ちでジョージのそばに座り込んでいた名前の表情だけがまるで異なった。震えも涙もまだ残しており、ジョージの血の赤をつけた、"どうしよう"と聞こえてきそうなほどに不安気な顔で、フレッドを振り返った。
一度名前の肩に手をやりうかがうように顔を覗き込んでから、彼女とモリーの間に膝をついて相棒を見やる。力なく目を瞑る、痛々しい姿にしばらく口を閉ざした。隣で名前のすすり泣く声だけが、しばらくそこに在った。

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