Deathly Hallows(Part 1)-10
夜が更け、ゲストで賑わうパーティーのテントはその光で皆の笑顔を際立たせ、ビルとフラーを皆と共に祝福した。名前が駆け寄るとフラーも心から愛おしそうに、笑みを返し額を合わせあう。
「おめでとう、フラー」
「名前ありがとう。すっごく綺麗よ」
今はとにかく二人を心から祝いたい名前も、一度気持ちを和らげてフラーの晴れ姿を目に焼き付けた。
それからふとテントの外へ視線を向けると、それを遮るようにフレッドがやって来て、これに倣えというように、ビルとフラーのダンスに皆と一緒に手拍子するよう仰いだ。
名前は素直に、フレッドジョージと並び、二人のダンスに目を向けた。見掛けたテントの外は、暗いあたりを警戒するルーピンや、闇払いの面々が等間隔に並び、杖を構えて見張っていた。
手拍子の手もそのまま、名前は、テントへやって来てエルファイアス・ドージのテーブルへ座ったハリーを見ていると、"名前!はいどうぞ"と、今度はジョージが名前を引き付けグラスを手渡し、さっさとハリーには背を向ける向きに着席させた。ハリーなら大丈夫だよとまるで行動で示し名前の気を紛らせるのは、テントを囲う警備の醸し出す不穏な空気を、二人も同様に拭い去れないせいでもあった。
ぎこちなく笑みを返し、フレッドと向かい合って座る名前。
名前も隠れ穴で、ドージの、ダンブルドア追悼の記事は目にしていた。勿論ダンブルドアの話をするのであろう、背後の、数歩先のハリーのほうがどうしても気になる。落ち着けず両手をグラスに触れ、目は正面でボーバトンの卒業生らと談笑するフレッドの横顔見ているのに、ハリーのほうへ耳も気持ちも集中している。
「――…で… …ったんだよ。 なぁ、名前?」
「…」
「…、名前?」
「!、 ッ」
―カシャン!―
慌ててフレッドに反応して手元のフォークを更にぶつけ、音を立てたのでそこらの皆が思わず軽く声を上げた。
特に気に留めない周囲へ、小さく ごめんなさい、と漏らしながら手元に目を下ろすと、フォークに触れようとした手がカタカタと震えている。
嫌でも、クリスマスや先日の襲撃が蘇り、冷汗が伝う。
バッと両手を握り合わせ一度フレッドと視線を合わせると、フレッドも異変に眉を少し寄せた。
握った両手もそのまま、ハリーを振り向き様子をうかがうともうドージとは話しておらず、まるで吸い寄せられるように、名前より先のテントの外をぼうと見ていた。突如、
― ヒュウウウウ …―!! ―
「!!」
流れ星のように光の球が上空から落ち、会場の中央にビタと留まった。フレッドより向こうに突然現れたそれに、名前は血の気を引かせる。送り込まれた守護霊を眺めているのに、クリスマスの日に聞かされ逃れなかった帝王の感覚を呼び覚ましてしまい、指先が冷たくなる。すかさずフレッドは名前の肩を引き寄せ、同じく光に目を見張った。祝福の陽気な情景は消え失せ、皆がそれから距離をとり、怯え、佇む。
眩しい光はやがて悲鳴を上げる複数の人影を映し出す。どの人物も皆恐怖する、逃げ惑う様を描き伝えた後、それはキングズリーの、状況を伝える声を放った。
" 魔法省は陥落した ― 魔法大臣は死んだ "
" やつらが来る ― "
" やつらが来る ― "
光を浴び白くなる顔。フレッドに肩を包まれたまま、名前はちょうど光の先に居る、ロンとハーマイオニーの位置を確認するようなハリーをうかがった。
声が弱まるにつれ光が消え、もとの色に会場が戻った途端、ゲスト何人もの姿くらましの音や、怯える声で一気に騒然とした。
「…―――!!」
ほどなくしてデスイーターの漆黒の煙が流れ込み、会場を襲った。
灯りの火が燃え盛り、食器の割れる音と悲鳴と、攻撃魔法の音が両耳にこだまする。ぶつかる人に耐えながら、フレッドは名前を隠そうと、絶対に離さない。名前も荒れる人波に、フレッドに掴まり耐えるが、不安そうな目を、ハリーから決して逸らさなかった。