Deathly Hallows(Part 1)-15
「うろたえちまったんだ…!マッドアイの死も俺のせいじゃねぇ!」
―ダンッ、 ―
数歩後ろに居た名前が態度を一変させ、先ほどの片手鍋をとっさに手に取り皆を割って入って来た。
「先生の名前を喋らないで…!」 「〜〜っ…」
指を鳴らそうと見せるだけでも名前がやれば怖いものを、鍋で物理的に殴りそうな名前に怯み角の椅子へ座り込みのけぞるマンダンガス。すかさずクリーチャーが盾になるように、名前を守る素振りを見せる。
鍋の取っ手を力いっぱい握っている名前の手に、ハリーがそっと手を重ね落ち着かせた。名前が鍋を下げたところで、ハーマイオニーが仕切り直し、ハリーと共に本題に入る。
「白状なさい」
「この屋敷から盗んだはずだ。ロケットも」
「なんだ… 値打ちもんか? 痛て…!」
答えずに飛びつくようなマンダンガスを、クリーチャーが腹にを突きつけて阻む。
「まだ手元に?」「安売りしたか?」
「タダでやった…。ダイアゴン横丁で商売してたら、魔法省のババアが"許可証が無ければ逮捕する"と…仕方なくロケットをくれてやった」
「その魔女は誰?」
「知らねぇ… …!…」
次々問いかける三人へ、首を振ってその辺を見下ろしたマンダンガスが、先ほど落とした新聞を目に入れて表情を変える。拾い上げて、それをよく見てから再び答えた。
「この女だ…!見ろよ」
"おリボンつけて"とマンダンガスが小馬鹿にしながら、新聞をテーブルへ広げた。覗き込んだ皆のうち、ロンはふと名前の表情をうかがった。名前のみでない 誰だって同じ、よりによって…という思いで、写真のアンブリッジに軽い眩暈を覚えた。
…――
怪しさの拭えないマンダンガスを見張ろうとクリーチャーも外した屋敷のテーブルに、残る者は一度落ち着いた。"リーバー"について聞きたがっていた名前へ向けて、お誕生席の椅子に立ってドビーが改まった。
「夢のような空間です…"リーバー"にウィーズリー様もいっしょに居るなんて…友達とその友達に囲まれて…」
「クリーチャーもえらく崇めてたね」
「無理もないです、ハリー・ポッター。ドビーたち妖精の自由の象徴。自由への先導者です」
「…会ったことはあるの?」
深刻な表情で同席するハーマイオニーとロン。控えめに聞いた名前に、笑ってしまいながら"まさか!"とドビーは首を振った。
「ドビーたちの間でも神話になるような存在に会ったことなんて!だからこんなに感激しているのです。三兄弟に仕えただとか…仕える主人を嗅ぎ分けるなんて逸話も」
「"三兄弟"?」
「すっげぇ。名前も鼻がいいもんな」
「唯一授かる衣服に左右されず、主人のもとを去る妖精です」
去る瞬間の言い伝えも様々、海の波のように揺らめいて去るとか、海の魔法生物に乗って去るとか…、
浮足立つように話すドビー。嗅覚のほかにも続けて出された共通点に、少し気楽に座っていたロンすら、軽く恐ろしくなり押し黙った。
ダンブルドアは一体どこまで、気付いていたのだろう。なんにせよこうして、名前に長年もの間、見ず知らずの妖精の魔法が潜んでいることが分かった。名前が自分自身だと思っていたものは、どこかのおとぎ話の妖精様の魔法であった。
皆が深刻な表情を揃えたところで、ドビーが名前、と一息ついた。
「あなたは"リーバー"を宿していることになんだか憂いているけど、もっと胸を張って。誇り高い妖精がハリー・ポッターに仕えている。いわば百人力も同然でしょう」
「…」
「いつ魔法が消えるか以外は、何も不安がる必要はありませんよ」
はたと、空間に緊張が走る。引っ掛かる様子は皆同じ。たっぷり間を置いて、"何?"と名前が小さく問いかけた。