Deathly Hallows(Part 1)-17



姿を変え、出勤ルートの男性用トイレからハリーとロンはなんとか魔法省へ足を踏み入れた。厳重な警備体制。数歩歩けばすぐ後ろで、さっそく一人の魔法使いが拘束され連行された。ハリーは動揺を強く隠し、佇むハーマイオニーの隣に辿り着いた。"もうくじけそう.."と続けてロンがやってくれば、三人そろってエレベーターを目指した。
立て続くアクシデントに三人は早々にバラバラになってしまうが、一時間で見つけるぞと意気込んだ瞬間、運よくアンブリッジとは鉢合わせ、ハーマイオニーが行動を共にした。
ハリーは降りることとなってしまった階で、偶然アンブリッジの部屋のドア前を通りかかる。備えていたおとり爆弾を放ち、混乱の渦中で部屋へ侵入した。

名前はぐっすり眠る三人を見下ろしながら、シミュレーションを繰り返していた。いっそ皆が戻るまでこのまま寝ててほしいが、この無茶に無茶を重ねる今回の作戦は、簡単に運ぶとは思えない。この女性が起きたときはこう、男性が起きたらこう、二人一度に起きたら…と、咄嗟に鳴らしてしまわないよう両手を強く握り、眠る三人の表情を順に監視した。魔法省職員のこの三人の誰に自分のことがどれだけ割れているのか、はたまた少しも知らなくて演技で押し切れるのか、想像もつかない。

「んぐ…」
「―――!!!」

ハリーが化けているランコーンが重そうに目を開けだしたので名前は息をのむ。即座に名前は数歩下がって、まるでたった今通りかかったような素振りに出た。

「――― まぁ…大丈夫ですか?」
「ぅ…、 ? …」
「しっかり。どうかされましたか?こんなところで」
「……」

まだ意識の覚醒しない様子のランコーンのほうへ駆けつけ、肩に手をやる。目をしょぼしょぼさせて、ランコーンは状況整理をしているようだった。それが終わればなんと口にするか、名前は平然を装いつつ身構えていた。

「……」
「……」
「…! ハり ― パチン!!―

そう言おうとしたのか定かでもないほど瞬時に、"ハリー"と聞こえてきそうな瞬間、反射的に名前は指を鳴らしもうひと眠りさせた。"んが"と一声上げてガクン!と眠ったランコーンに、あぁしまった、と頭を抱え、焦る気持ちが耐えられないとむしゃくしゃする。こんな意味不明なその場しのぎを、そう何度も繰り返せそうにない。

「(お願い 早く帰ってきてみんな…!)」

名前がそう祈り泣きそうになっていたころ、そのランコーンに扮したハリーは、おとり爆弾の混乱の声を遠くに、豪勢な部屋の机を物色していた。 ロケットは見当たらない代わりに、次々と出てくる"穢れた血"関連の本や文書。
騎士団の面々の情報の記された機密備忘録も、引き出しから見つかる。中にはアーサーに、写真の上からバツ印を付けられたムーディの写真。
ハーマイオニーの談笑する姿の写真と添え付けられた書類には"危険性 大"とも。

「……」

ホグワーツを背景に魔法動物の本を読みふける名前の写真も、すぐそばで見つかった。同じような添付には、他の魔法使いと違うメモや、目撃情報の数々が知るさせれており、"リーバー"に関する事柄は書いては消してを繰り返している様子だった。ドビーに直接聞いた自分達ほど情報を得てないにしても、"名前" "ハリー・ポッター?" フレッド・ウィーズリー?"と、危険が迫っているのが伝わるようなメモも見受けられる。同じくセキュリティレベルの欄には、"危険性 大"。

ロケットは見当たらないため再びエレベーターを目指す。運よくロンと合流すると、ハーマイオニーがアンブリッジと向かった法廷へ急いだ。道中にも、連行されゆく魔法使いとすれ違う。"魔法省に30年勤め…"と説得する声に、抑え込む警備員たちは耳を貸さない。

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