Deathly Hallows(Part 1)-21
姿くらましで動くわけにいかない三人は、死喰い人の動向から身を隠しながら足を進める。
ラジオは延々と、行方不明の魔法使いリストを読み上げる。ロケットを下げたロンはまるで恨みを含むような表情で、並んで歩くハリーとハーマイオニーを見やる。
名前はとにかく、生かしておいてもらえるらしい、人さらいたちの金のための言動を とにかく耐えた。会話から、ホグワーツの現状も、騎士団の安否も、ハリー達がまだうまく逃れていることも、すべて情報を得ていた。
土産などと言っていた、ハーマイオニーの匂いを唯一察知したスカビオールに、ひと際警戒と、怪しむ目を向けながら、やり過ごしていた。
…――
夜、ハリーの髪を切ってあげているハーマイオニーが、ふとはさみを止めて黙った。
「… やだ」
「、何?」
ちょっと待って、!と駆けだすハーマイオニーに、バッと切られていた後頭部を思わず気にするハリー。髪の無事を確認して、忙しく開きっぱなしの本のもとへ戻ったハーマイオニーへ歩み寄った。
歓喜すら見える ハーマイオニーは、答えに近づいていた。ゴブリン製のグリフィンドールの剣は、自らを強化するものを吸収するため、ハリーが数年前に、剣で倒したバジリスクの毒も含んでいる、
剣で分霊箱を破壊できると。ハーマイオニーに導かれるようにハリーにも歓喜の色が見えだす。天才だと称えれば、ハーマイオニーも笑みを携えた。
「私と名前は理論的なの。…枝葉にとらわれず、本筋が見える」
「その通りだ。 …でもひとつ問題が―」
言い掛けたところで、姿もなくロンのライターが灯りを奪った。剣は盗まれた、僕も居るんだけど と、瞳に悲しみを浮かべながら。何が気に入らないと、とっくに悪態は引っ掛かっていたハリーは体を向けてまさに向き合う。気に入らないならハッキリ言えと言われると合図のように、ロンは続けた。瞳はやがて、怒りや恨みに色を変える。
「じゃあ言うけど。ロクでもない探し物が増えただけだ」
「覚悟してたろ?」
「あぁ そのつもりだったさ」
「悪いが分からないね。どこが期待通りじゃなかった!?高級ホテルに泊まれて次々分霊箱を見つけてクリスマスには帰れると?」
「これだけ苦労すれば成果があると思ったよ…!君がダンブルドアから情報を聞いているかと!」
本心も、不毛さもうかがえる口論にハーマイオニーが歩み寄るが、二人共真剣に、互いに怒りをぶつけている。うまくいかないまま世間も、仲間も危険に晒されているのが耐えられないのは、全員同じ気持ちである。
ロケットを外して、と寄越されるハーマイオニーの手も、そうしたことがないぐらい強く払いのけた。
「毎日ラジオを聞くのは、ジニーや家族の名がないのを確かめるためだ…!フレッドだって、ジョージだって、全員、君は会ったのに助けなかったらしい 名前をどんなに案じているか!」
「僕には気持ちが分からないとでも!?」
「君の親は死んだ!家族は居ない!!名前を取られただけの君が分かるもんか!!」
声を荒げ、頭にきて掴みかかるハリー。間に入ろうと止めるハーマイオニーは涙を浮かべている。
「じゃあ出ていけ!! 行けよ!!!」
「…ッ!」
乱暴にロケットを首から取って投げつけると、ハーマイオニーにどうするかだけ投げかけて、本当に出ていってしまった。テントを飛び出して止めるハーマイオニー。ハリーは堪えるように、迷ってテントの外をうかがうように、耐えられない様子で佇んでいた。
朝になっても、ロンは二人の元には戻らなかった。ハーマイオニーは近くの目立つ木に、ロンへなにか印になればと、スカーフを巻き付けて、名残惜しそうにその場を離る。ハリーは隣へやって来たハーマイオニーの表情を一度うかがってから、その手を取り、二人そこから姿をくらました。