Deathly Hallows(Part 1)-24



ルーナの家を訪ね、ドアを深刻にノックするハーマイオニーに「スモモ飛行船だって」と笑いかけるロンは、本当に彼の調子を完全に取り戻しており、ロケットの脅威をありありと見せつけられる。
ドアを開けたルーナの父は、出迎えてすぐは警戒していたが、名乗るハリーを見て明らかに様子を変えた。

ルーナは居なかったその家にはまだ、なんだか緊張が漂う。出されたお茶を偶然皆同時に口にするが、"何の用だね?"と尋ねるゼノフィリウス以外表情を歪め、ハリーに居たっては慌てたようにコップをテーブルへ置いた。
式でも首から下げていた印のことを、切り出しにくそうにハリーが尋ねると"これかね?"と、意外とあっさりと、その首から掲げてハリーへ見せてくれた。まさしく、とハリーが触れても、払ったりも、態度を変えたりもしない。

「これは…何の印なんですか?」
「何って "死の秘宝"の印さ」 「「「何?」」」

三人一度に、ゼノフィリウスに聞き返す。

「"死の秘宝"だ。"三兄弟の物語"は知ってるな?」「「はい」」

今度はロンとハーマイオニーの声だけが重なり、ハリーは首を振る。信じられなそうに、なんと話そうかゼノフィリウスが黙っていると、ハーマイオニーがバッグを漁った。
探し当てると、皆の待つような空気を受け取る。

「ここに本が。…"昔3人の兄弟が、曲がりくねった道を夕暮れに旅していました"…」
「ママは"真夜中"だと」

にこやかに悪気は1ミリもなく遮ったロンに皆の視線、ハーマイオニーからは勿論怒りも帯びた視線が向けられる。でも夕暮れのほうがいいな、と再び譲るロンにうんざりして見せ、ハーマイオニーは再び本に目を落とし、読めば?と提案するが、ロンは"いい"と断った。

  3人の兄弟が、曲がりくねった道を夕暮れに
  旅していました。やがて3人は危険な川にさし
  かかりました。危険なことは仕える妖精からも
  再三言い付けられていましたが、魔法を学んで
  いたので杖を一振りし、橋を架けました。しか
  しそこへ行く手をさえぎる者が。 "死"でした。

  旅人が溺死しなかったことに腹を立てた"死"は、
  一計を案じました。魔法をほめるふりをし、
  死を免れた褒美をやると言いました。…

ハーマイオニーによって語られゆく、"三兄弟の物語"。魔法使いの卵たちへの教訓のような内容と察せられるその物語に、ドビーとの旧本部での話も覚えていたハリーは、記憶を思い返す。

「三兄弟に仕えただとか…仕える主人を嗅ぎ分けるなんて逸話も」
「"三兄弟"?」


  旅人が溺死しなかったことに腹を立てた"死"は、
  1番上の兄は最強の杖を欲しがり、"死は" ニワ
  トコの杖を与えました。2番目の兄はもっと"死"
  を辱めようと、亡き人を呼び戻す力を求めまし
  た。"死"は川から石を拾い与えました。最後は
  1番下の弟です。謙虚な彼は"死"に追われずに
  前に進めるものを望みました。
  "死"はしぶしぶ 透明マントを渡しました。



杖の力に酔いしれた長男は杖を盗む者に殺され"死"のもとへ。亡き想い人を蘇らせた2番目の兄は、この世になじめない彼女の世界へ自身も向かうべく"死"のもとへ。1番下の弟は"死"の目を長年逃れ続けて老いゆき、息子に透明マントを託して、友として喜んで迎え "死"のもとへ。…

「そうだ。 …それが"死の秘宝"…」


窓の外をのぞんで囁くゼノフィリウスの背を一目見て、ハーマイオニーは最後の一文に再び目を落とす。


「 "妖精は彼らを嘆き、信用のおける去らぬ主人に仕えるべく、涙の波に揺らめくように姿を消して、去りました。"…」
「…その忠誠心を縛り付けんとする魔法使い達の、彼らに対する扱いのいわば起源だ。その魔法は今もなお魔法使いに宿り、…主人を嗅ぎ分ける」
「…」

意味深にハリーを見つめて言い置く。
透明マントを手にしたハリーの先祖と、名前に宿った魔法の起源が、おとぎ話になるほど昔から互いが近くに在ったことに、ハリーのみならず三人皆、運命じみたものを感じた。だが

「すみません、…まだよく分からない」
「あぁ、…」

思い出したように忙しく部屋の隅に駆け寄り、ペンを探して、文書を裏返す。皆歩み寄ると、その印の一筆ずつに言葉を添えながら、ゼノフィリウスは言い聞かせた。

「ニワトコの杖。蘇りの石。そして透明マント。…3つ合わせて"死の秘宝"。…集めれば"死"を制する者となれる」

目を見て言い聞かせるゼノフィリウスに、三人は唾を飲みこんだ。

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