Deathly Hallows(Part 1)-25
ハーマイオニーはゴドリック谷の墓石で見かけたことも、ゼノフィリウスに問い掛けたが、彼は次第に落ち着きがなくなり見るからに異変を見せだしていた。目を向けるハリー達の間をわたわた通り、不自然にポットを手に取る。
「その…ペベレル家は"死の秘宝"と関係が?」
「、 …、あぁ、イグノタス カドマス アンチオクの三兄弟が…、"死の秘宝"の最初の持ち主で…ッ」
「…」
「彼らと ペベレル家に仕えていた妖精が物語のモデルだ…、あぁ、お茶が冷めた…!
……すぐ戻る」
言い終わって慌ただしく、ぶつぶつと何か言いながら一階を目指すゼノフィリウスを、三人も怪しんだ。ロンが"あんなお茶はもう飲みたくない"と、帰ろうと提案し、荷物を背負って促す通り二人も荷物を取った。
一階に降りるとゼノフィリウスは、言葉と反して、落ち着かない様子のまま佇み、外の遠くを見ている。降り立った皆に少しも気付かず、"どうも"と声をかけたハーマイオニーにひどく驚いて振り返った。
「お湯はいいの?」
「 お湯…?」
「お茶の」
「…! 忘れてた… ハハハ…」
ロンが問い掛ければ、不自然そのものの笑みを携えてキッチンへ。もう失礼するとハーマイオニーが何気なく発せば、大声をあげてポットをシンクへ投げつけた。
「ダメだ!!」
「―! ――………」
三人は緊張を走らせる。嘆くようにおぼつかない足取りで、三人を阻むように、今度は扉へへばりついた。不安げに問いかけるハリーを、ゆっくりと振り返ると震える口を静かに開けた。
「 君が最後の望みだ」
「……」
「連中は私の記事に腹を立て …、 娘を奪った」
「…! …」
「さらったのだ …!私のルーナを……!!」
嘆くゼノフィリウスに、三人は強張り、歩み寄る距離を離せない。彼はハリーの前髪をそっと上げ傷を露わにさせると、声を低めた。
「連中が欲しいのは君だ」
「…誰がさらったと?」
落ち着いて、ハリーは彼の手に優しく添えて額から降ろさせる。
「……」
「……」
「…… ヴォルデモート」
瞬間、外のいたる方向から影は勢いよく襲い掛かった。
「キャァーー!!」
―バリン!!― ―バキバキ!!―
ハーマイオニーが悲鳴を上げる。三人皆、衝撃をよけんと床を這い慌てて移動する。その間もデスイーター達は家屋を何度も行き来し、破壊と攻撃を続けた。
家中みるみる傷付いていく中、ゼノフィリウスは空に両手を掲げて叫んでいる。
「やめろ―――!!ハリーを捕らえた!!
ウワァアァ… ―!」
彼も攻撃の波にのまれよろけるまで、デスイーター達は猛威を振るう。
這って逃げる中なんとか手を伸ばし、三人の手が重なり姿くらましができた瞬間に、ルーナの家は二つに割れ、上階が崩れて崩壊した。
…――
逃亡した先の森で、ロンはカンカンだった。
「裏切り者め!誰も信用できないな…!」
「ルーナを奪われ必死じゃなかったんだよ」
「…… 保護呪文を」
だしにされた本人であるのに、ハリーは冷静で、寛容的だった。何も言えなくなったロンがさっさと怒りを鎮めたところで、三方向に広がりいつものように呪文を張ろうとしたとき、無かった人影が目前に現れ阻まれた。
「「「 …――!!」」
「… やぁ お嬢さん」
一気に、再び緊張が襲う。スカビオールは奪ったスカーフをのんきにいじってみせ、ハーマイオニーを凝視した。
ハーマイオニーは血の気を引かせながら、周囲をうかがう。名前の影がないのと、なんだかこの男が不機嫌そうなのは関係があるのか。
「ボヤボヤすんな ―― さらえ!」
ひと呼吸もそれ以上もおいて、三人は走り出した。スカビオールの一声で、追う人さらいたちとの距離は、あっという間に縮まってしまった。