Deathly Hallows(Part 1)-27
杖を調べようと、すぐさまハーマイオニーに目星をつけ、脅すように歩み寄るベラトリックス。三人の体が緊張で強張る中、一行の一人が手に持っていた、グリフィンドールの剣を目にして彼女の表情は一変した。
「逃がさないよ…ハハハハ…― ハッ!!?」
声を大きくすらできなくなったベラトリックスが"その剣は" とギョロと目を向け尋ねられた人さらいに、今度は緊張がうつり冷汗が走る。
「どこから」
「娘のバッグの中だ …俺がもらった」
にこ。平然と答えて笑った男を、ベラトリックスが一撃で吹き飛ばし剣を奪った。
―バシュ!!― 「―何しやがる!!」
「…!?」
続けて攻撃されゆく一行に、隅のデスイーターを除く残された皆は戸惑う。蛇のような鞭を首に巻き付けさせ、体を撃ち、粗方苦しめると、出ていけと叫び狂った。スカビオール達は苦しみ、恨めしそうにしながらも彼女に反発できず、言われた通りにその場を去った。
「シシー!小僧どもを地下牢へ!!お嬢ちゃんと話がある…!女同士でね!!」
ロンを引き剥がされ一人になったハーマイオニーに、ベラトリックスが詰め寄る。ナルシッサは言う通りにハリーとロンを掴むと、地下牢前で待機していたペティグリューに引き渡した。
階段を降りた先の牢に投げ入れられ、ハリーとロンはハーマイオニーを渦中に残し、手も足も出せなくなった。焦るロンの声に、
「ロン?」
暗く広がる牢屋の奥から、既に囚われていたルーナの柔らかな声が返された。
…――
名前は隠れ家をだいぶ離れ、水平線を見つめ一度深く深呼吸をした。夕焼けは消え去ったがまだ明るい、夜を待つだけの薄暗さが辺りを包んでいる。ハリーを強く念じて姿くらましをかけられないか、どこか違う場所を念じるべきか、もし敵と対峙していたら、…いくら考えても仕方なく、ハリーそのものを念じようと、八割がた気持ちが固まっていた。
気持ちの波を落ち着かせるように息を吐き、利き手を構えた瞬間、
― ザパン! …―
「、 …―?」
― ザパン! …―
気に留めず見つめていた先の波が、突如不自然に跳ねた。
そこにだけ波が起きたように、こちらに知らせるように跳ねた辺りに目を凝らしていると、徐々に青白い影が幻想的に現れた。
「… 」
リュウグウノツカイをかたどった光が、波の上を漂いパッと消えると海に落ちて波立たせ、また姿を見せ漂って、まるで飛び込んで遊んでいるように、ゆったり、ゆったり繰り返す。
ロケットを見つけだした洞窟で、ダンブルドアへハリーの居場所を示したものと同じように、名前の守護霊が何やら知らせている。
名前は指を鳴らすのをやめ、見惚れるようにぼうっとしていると、打ち破るようにギュル!!と姿現しの音が、すぐ隣で響いた。
「っ〜〜!? …」
「名前」
「なんですって? …あぁ名前!!」
肩を面白いほど跳ねさせた名前のもとに突如、ドビーに連れられた ルーナとオリバンダーだった。声も発せないほど驚いたまま、名前は転げたオリバンダーに手を貸しつつ、戸惑いの目を皆へ向けた。
「元気だった?」
「さぁ名前も急いで!」
「マルフォイの館にさらわれてたンだよ」
「ハリー・ポッターには10秒後と…―!」
「―――!」
― パチン! ―
はじける光に ぎゃ!とドビーが声を上げる。
ハリー。マルフォイの館。そう聞いて名前はすぐに誰のこともおいて、あんなに悩んでたのが嘘のように、即座に意を決して姿をくらました。
一度わたわたして、ドビーも姿をくらまし、その場にオリバンダーとルーナを残して、再び館を目指した。