Deathly Hallows(Part 2)-2



三つの秘宝を語って、オリバンダーは "だが…"としかめて見せる。死を制する者となれる逸話や、秘宝そのものについて言葉を続けつつ、控えめに名前を手で指す。

「言い伝えの妖精の魔法の存在が知れ渡った今とて、…秘宝の存在など本当に信じる者は少ない」
「あなたは?」

間髪入れずに、なんだか試すように問いかけるハリー。名前には事実神話の魔法は宿っている。あなたは信じますか?
更に問うハリーに、オリバンダーは参った様子すら見せた。
名前はハリーの問いかける様が気になり、彼ら両方へ目を向けていた。

「……そんな迷信話など、真に受けるのはどうかしてる…」
「…ウソだ」

少し笑っていたオリバンダーの笑みは消えた。

「存在を知り、あいつにニワトコの杖のことを教えた。どこにあるかも」
「……」

オリバンダーがまるで突きつけられている事実に苦しめられているようで、名前の彼を見る目に心配の色が帯びだした。ハリーは、帝王の思考からそれを見たのだ。合点がいって、ハリーを止めようか迷うが、ハリーは表情を変えず淡々とした様子のまま、オリバンダーを見つめていた。

「……拷問されて、…
…、…それにわしは噂を伝えただけじゃ。あの人に、ありかを話すしかなかった、…」

「あいつは見つけました」

オリバンダーのみならず、隣の名前も、ハリーの言葉に驚き、呆然とした。ハリーは一目名前を振り返り退室を促す。オリバンダーには"もう休んで"と残して、ベッドから腰を上げた。
ドアまでツカツカと歩いていったハリーに、名前も続こうと立ち上がったところで、絶句していたオリバンダーが顔を上げた。傍観していたロンとハーマイオニーに並んだハリーも、足を止める。

「あの人は君を追っている」
「、」
「本当にあの人がニワトコの杖を手にしたなら、…残念ながらもう君に勝ち目はない」

「僕が先にやつを殺すまでだ」

静かに言いのけたハリーへ、後方の二人も、名前も目をやる。何も言わなくなったオリバンダーを残し、皆部屋を後にした。


…――

「スネイプ先生が剣を…?なんですり替えたの?なんでベラトリックスは金庫なんかに、?」
「わかんないよ、」
「ふさわしい生徒のところにいっちゃうんだから無意味じゃない?」
「そうだね、…」
「同じ金庫に分霊箱があるって目星をつけたのね?でも別の金庫を疑わないのはなんで??そもそもあのゴブリンさんを信じて大丈夫?」
「ねぇ誰か名前止めて…!」

「これを見て」

なんでなんでが止まらない名前に半泣き状態のロンへの助け舟かそうでないのか、ハーマイオニーが何やら摘まんでいる手を掲げて見せると、名前もロンも、同じように釘付けになって黙ってしまった。

「……」
「…あの女の?」

一本の髪の毛。問いかけるロンに"間違いない"と答えるハーマイオニーの表情には、覚悟もうかがえた。
ドビーの墓石のそば、丘のほうまでやって来て皆で準備を整えた。ハーマイオニーは覚悟の通り、その一本の髪を使い、変身薬でベラトリックスと化した。手下に仮装したロンは、姿をどうかと聞かれて"ひっでぇ"と答えた。
剣をハーマイオニーのバッグに入れ、皆でハリーの手に掴まる。四人と、グリップフックは姿をくらまし、グリンゴッツ銀行を目指した。
グリップフックが最後に手を乗せるまで、名前は不信の目を、彼へずっと向けていた。


"そう、もっと威張って" "すべての人を見下すように…"
ノクターン、名前がドビーと出会ったのとは別の路地。ハーマイオニーは名前の指導の通り、悪い魔法使いのように歩いてみたが、通りかかった魔法使いに不意に"マダム・レストレンジ"と頭を下げられ、"おはよう"とお利口にご挨拶して返した。

「"おはよう"?ベラトリックスですぞ、ウブな女学生ではない…!」
「落ち着けよ」
「習ってないものね ごめんね…」

物陰に再びハーマイオニーは引っ込む。盾になるようなロンと、言葉遣いは助言しそびれた名前。
落ち着いていられるかと、グリップフックも再度全員へ、声を潜めて言い聞かせる。

「もしバレたら死んだほうがマシなくらいひどい目にあう」

うかつだったと気を引き締め直すハーマイオニーに、名前は不安そうな表情を向ける。
始めよう、と、周囲を十分注意してハリーはグリップフックを背負おうとしゃがんだ。その背後にぴったりついて見上げる名前にロンは一度頷き、三人まとめて隠すよう、大きく透明マントを広げて着せた。

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