Deathly Hallows(Part 2)-8



ネビル!と嬉しそうに呼ぶハリーの隣、現れた旧友の姿に皆表情を和らげた。"アブ、…"とアバーフォースを呼んで声をかける辺り、ネビルと彼の絆は随分深まっているようで、ホグワーツや世の中の変化との関係は絶対にあるように思え、名前は微妙な気持ちこそ過ったが、騎士団の一人に再会できた嬉しさが勝った。

灯りを手に先頭を進むネビルに、皆続く。

「こんなトンネル、昔からあった?」
「名前達の"地図"にはない道だよ。7本あった抜け道はすべて封鎖。今はこれだけさ、…校庭はディメンターだらけ」
「……」
「スネイプ先生は最悪?」
「それよりカロ―兄妹がひどい。…」

ホグワーツの変貌に表情を曇らせる名前。ハーマイオニーが口を挟んでも、続けられる話は母校の元の姿からは想像もつかなかった。

「あの兄妹が規律係なんだ。体罰が好きでね」
「その傷も?なぜ?」
「授業で"磔の呪文"をやらされた。一年生にだよ?僕は拒否した」
「、……」

暗く狭いトンネルを進む傍ら、更に息をのむ名前を少し振り向き、"学校も変わった"と、ネビルは一言置くようにつぶやいた。しばらく進めば、こちらはより大きな絵画らしい、扉に行きついた。

「名前、騎士団の皆も駆けつけるよ」
「、うん」
「まずは、…こっちを驚かしてやろう」

ネビルが声をかけると、名前は少し微笑んで返した。ハリーに向き直り悪戯っぽく笑うと、大きな扉に力を込めた。
開けた先は、必要の部屋。懐かしい面々が、半ばだらけるように、ここには避難しているかのように座り込んでいた。懐かしい城の壁。匂いや色、雰囲気。変わってしまったといえど、決戦が迫っているにせよ、一歩踏み入れば名前の心はローブをまとっていたあの頃にすぐに戻ることができる。尊い感覚に、ネビルの背後で密かに、少し感極まった。

「注目!ビックリするぞ」

ネビルの声に皆顔は上げるが、たいして様子は変えなかった。シェーマスが声を返した。

「またアバーフォースの食えない料理か?」
「、」

「ビックリだ…!!」

ニ、と笑ったネビルは得意げに避けて、後ろのハリーを現させた。目に入れた皆は一変、笑顔を咲かせ急いで立ち上がると、皆で拍手をして喜んだ。
一斉に駆け寄り、再会を喜びハグを交わす。"リーマスたちに知らせて"とネビルが一人の生徒に声を掛けつつ、自分も嬉しいというように笑ってハリーを眺める名前の肩に触れた。

「名前、…」
「?」

皆と笑顔を交わしもみくちゃになるようなハリーの数歩後ろで、ネビルは名前に少し耳打ちしてから、皆に向けて大きな声を出した。

「オーケー!決戦前にハリーを殺すな」
"こちらDA!天気予報だ、‐稲妻 光る‐ …"

ダンブルドア軍団からの暗号が部屋の隅で、嬉々とした声で送られる。ネビルは皆が落ち着いたところで、ハリーに向き直った。

「計画は?」

ハリーの見回す仲間は皆、誰も少しの疑いも見せない。信用、期待、希望、すべてのプラスの思いを込めたような目を、皆がハリーに向けている。

「…ある物を探す。…城に隠されている品で"あの人"を倒すカギだ」
「了解。どんな品?」
「分からない」

手短に、分霊箱の要約と重要さが、明確に伝わるようにハリーは気を付けて話す。"ありかは?""分からない"。次第に期待の目に、困惑が見えだした。

「レイブンクローに関係ある…。たぶん小さくて…、簡単に隠せるものだ。心当たりは?」

「ロウェナ・レイブンクローの髪飾り」

しんとした部屋にやわらかに声を響かせるルーナ。その空気に また始まった、とロンが小さな小さな声でぼやいた。

「"レイブンクローの失われた髪飾り"。有名だよ?」
「でもあれが失われたのは何百年も前よ。…生きてる人は知らない」

ふわふわ話すルーナの隣、チョウがハリー達を気遣うようにはしながら、可能性は低そうに話す。

「どうだろう、…可能性はある。長生きな妖精たちの間でおとぎ話になっていた自由の象徴が、ここに実在するんだもの。…ねぇ名前」
「…」

ハリーが名前を振り向いたつもりが、そのあたりには名前の姿がなかった。見渡す部屋のどこにも、気付けば姿がない。ネビルは、あ、というようにハリーに改まるのを、ロンとハーマイオニーも不思議そうに見ていた。

「、! 名前?どこに…」
「ハリー、実はさっき僕がすすめて、…―」

―ギギ 、…ィィィ ―

愛する人のところに。
ネビルがそう呟くと同時、かけつけたジニーが部屋にやって来て、愛するハリーの姿に釘付けになり、言葉を失っていた。


…――

皆で駆け付けた傍ら、フレッドとジョージは、思い出の詰まった小さな塔を訪れた。広間に生徒が集いひと気がない絶好のチャンスといえど、やはりこの使い古された塔の一室は誰にもノーマークであったようで、昔の姿のまま、まるで眠っているようだった。

「……」

暗くて表情こそ違うが、あまりに懐かしく二人とも何も言わず物思いにふける。名前がいつも座り込んでいた窓辺を、フレッドは消沈した心地で眺める。後ろで古本を適当に手に取ったジョージも、相棒の背中が寂しそうで、なんとなくそちらに歩み寄る。

最後に見た彼女はすっかり大人びて綺麗になった姿だったが、ここに来ただけで当時のあどけない名前は簡単に思い返された。
いつだって名前がここで窓辺に寄りかかり、フレッドがその目の前と、隣はジョージだった。何年過ぎようと、大切な思い出は、鮮明に思い返される。
過ごした一つ一つのときも、初めて言葉を交わしたときだって。…――


「良い部屋だね」

「…――」

フレッドはそう窓辺から自分が驚かせたときの彼女のように、肩を跳ねさせたりはしなかった。最愛の声が、こんなに近くから耳に届いた。
まさかと声の方を振り向くといつこの塔にやって来たのか、涙を浮かべて笑顔を見せる名前もまた、塔に来ていたようで佇んでいた。

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