Deathly Hallows(Part 2)-9



「ネビル、何?」
「暗号で騎士団が駆け付けるよ。名前、会ってきたらどう?まさか捕まったりしないだろ?」
「、勿論… でもハリーが」
「大丈夫だよ。僕らが預かるから。さぁ急いで」



名前。そう言ったか言わなかったか、とにかくフレッドは、驚いて固まるジョージを追い抜くようにして、慌てて駆け寄り名前を抱きしめた。胸に閉じ込めたまま座り込み、とにかく名前との再会を噛み締めた。名前の体が浮いてしまいそうなほど、強く強く抱き締めた。

「フレッド…!ジョージ!」
「名前!!あぁ、名前だ…よかった…!」
「ごめんね…!」

フレッドは存在を確かめるように、名前に頬を寄せ、額を合わせ、頬を撫で、抱きしめる腕に力を籠める。名前もまたフレッドの温もりを噛み締め、遅れてやって来て二人まとめて抱きしめるジョージの腕にも手をやる。
待ちわびた二人との再会が、フレッドの腕の中が、嬉しい分だけの涙になって、名前の頬を伝う。
悪と対峙する恐怖の束の間、今だけは許されていいだろうと、名前は心から再会を喜び、涙にぬれた笑顔を咲かせた。


…――

城はまるで、夜の闇がそのまま続くように暗く、不気味な空気をまとっている。夜に広間へ集められた生徒達は、まるで兵隊のように、デスイーター達の監視のもと列をなし緊張を走らせていた。前へ出たスネイプが囁く声も、静かな広間では十分に響いた。

「さきほど耳に入った情報だが…ポッターが目撃された」

必要の部屋のメンバーでない生徒らは顔を見合わせて驚き声を立てるが、"そこで、"とスネイプが再び発せば、焦るように押し黙って俯いた。

「万が一にも、…生徒であれ、教師であれ、ポッターを助けようとすれば、その者は罪の重さに応じ、罰を受ける。さらに、…」
「「……」」
「この件について何か知っていながら、申し出なかった者も、同様に、処罰の、対象となる」

重みをもたせるようなスネイプの言いように、部屋に居た者たちの、グリフィンドール生におもに、強張った表情が見られる。
行動を知っている者は今ここで申し出よ。
その言葉に列から顔を出したのは、ローブをまとい生徒の一部に化けていた、紛れもないハリー本人だった。
目に入れた生徒から、騒ぎ声を立て目を見張った。

「…!」
「ここは警備を固めているようですが 穴がありますね? "校長"」

言ってのけるハリーの背後、広間の扉から、名前と、名前と再会を喜んだばかりの騎士団の面々が、勇ましく足を踏み入れスネイプに目を向けた。

「よくも校長の座に!…!あの夜お前は!!」
「…」
「お前を信じていた先生を裏切り!!殺した!!!」

「…―!」

スネイプが杖を構えると同時、周囲の生徒が焦りどよめいた。一瞬身を強張らせ踏み込んだ名前より早く、ハリーを戦線から押しのけたマクゴナガルが盾になり、スネイプへ杖を向けた。流れ弾の欠片も当てられないよう生徒は急いで両端に引っ込む。

―…  バシュ!!―

―バシュ!! バシュッ!!!―

杖を構えるフレッドの傍ら、なかなか魔法をしかけないスネイプのことにも、マクゴナガルの魔法が流れスネイプの左右のデスイーターに命中したのにも、名前は目を見張った。押し負けたようにして姿をくらまし窓を割って逃げたスネイプを見送ると広間は歓声に包まれ、マクゴナガルが灯した火で、一度昔のような温かさを取り戻した。

「…、 」
「… ――」

喜ぶ皆の声にフレッドを見上げ、名前と二人、笑顔を交わす。が、それも束の間、名前の笑顔は失せ眩暈を起こし、倒れそうになるのをフレッドが急いで受け止めた。
ジョージ達の目にも留まり、皆嫌でもあのクリスマスの夜を、思い返す。
数歩先で、ハリーもまた、顔を強張らせたままよろめき、座り込んだ。
一瞬で舞い戻った不穏な空気が、再び充満し出したとき、歓声の様子は消え失せ、女子生徒の悲鳴が数人、あちこちから響き渡った。
異変を感じ取った生徒から次第に、脳内に異変を覚え、頭や耳を押さえ恐怖していた。

「名前、しっかりしろ。 …――!」


― 戦いたがっている者が ―
― 大勢 いるな ―

帝王の囁く邪悪な声が、皆の耳元に、言い聞かせるように届き、広間の誰もの体が強張り、恐怖に冷汗を伝わせ、震えた。

―戦うのが賢いと考えている者もいよう…愚かなことだ。ハリー・…ポッターを… 差し出せ ―
― 妖精よ 主人を俺様に差し出せ…―

― そうすれば ホグワーツには危害は加えぬ ―

閉じ込めて聞かせないように、フレッドは名前を抱きしめながら周囲をうかがい、その囁く声に戸惑う。腕の中、頭を押さえ、懇願するような名前と、ハリーの戸惑う目が重なる。

そんな顔をしないでほしい。少しも戸惑わず、あなたは居ていい。
あなたを信じてやまない者は、今ここに、大勢居るのだから。

一時間やろう。
囁いた声は皆の元から消え失せ、広間に温かみが瞬時に戻った。温かみが戻ったとはいえ、一時間で、敵襲がやってくる。
恐怖を目前に呆気に取られていた空間を、スリザリン生の声が裂いた。

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