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その気持ちはよくわかるのだが、会計委員会がとても大変な委員会なのはわかっているので、気が進まない。
匍匐前進とか、十キロそろばんとか、その辺りが少し足を引っ張っていた。

神崎が会計委員会の内容を話し終えると、それに代わるようにして、今度は次屋三之助が体育委員会の説明をしてくれる。
だが、勧誘といった風ではなく、ただ説明してくれた感じだ。
「入って欲しいと七松先輩は仰るだろうが、裏々山へのマラソンや塹壕掘りはきついので、奨められん」
と、やさしい言葉を吐かれ、桜はうれしくなる。
「ああ、あとい組の伊賀崎孫兵というのが生物委員でな、一緒に説明をしに来る予定だったんだが、毒虫が逃げ出したとかで、来れなくなったんだ」
さらにそう次屋が言って、その生物委員会の説明は富松と神崎の二人が、簡単に説明してくれた。

浦風が作法委員会、三反田が保健委員会の説明を加えてくれ、さらにはまだ他に図書委員会と火薬委員会、そして学級委員長委員会もあるのだと教えてくれた。
「学級委員長委員会は、学級委員長でなければ入れないから、お前には無理だな」
他の委員会は希望すれば入れるが、学級委員長ばかりは本人の立候補だけで成り立つものでもないので、桜のように編入したばかりで成績も乏しいと、なれそうもないのは確かだったから、その浦風の言葉にも、腹は立たなかった。



委員会の話が激化して来たのは、放課後になってからのことだった。
先発隊で三年生が来たわけではなく、桜の中ではあれが正式な勧誘かと思っていたのに、委員長をつとめる六年生や、委員長代理を担っている五年生から激しい勧誘をもらってしまった。
しかし、一つを決めるとなると、難しいものがあるのだ。
だから消去法で決めようと思ったのに、やはり決まらない。
一番手が足りていなさそうなところにしようと思ったが、そうすると用具委員会か生物委員会になるけれど、どちらの苦労もわかっているだけに決めづらい。
人数だけで考えるのなら、火薬委員会が一番少ないのだけれど、そんな理由で決めてしまってもいいものなのか悩み、余計に決まらなかった。

「興味がある委員会っていうのはないの?」
うんうん悩む桜を見兼ねたのか、三反田がそう聞いて来て、自分自身はどこに入りたいかと考えてみる。
「……本は好きだから図書委員会か、あとは保健委員会もいいかなあ……」
保健委員会はみんなやさしい人ばかりだし、信条も好きだと思うから上げてみる。



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