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委員会の仕事を手伝っていることと、竹谷とも仲がいいことを考えたら、それは容易に想像がついてもいいことだったが、鉢屋たちの学級委員長委員会には現れたことがなかったから、気づくのが遅れたのだ。
久々知は鉢屋の質問にうーん……と、曖昧な反応を寄越す。
「委員会には、な。でも焔硝蔵での仕事だと、ほとんど来ないかな」
そんなふうに言うから、もしかして桜は暗い場所が恐いとか言い出すんじゃないかと、鉢屋はなぜかとっさに思っていた。

よくよく考えてみれば、忍者は大半、暗闇で活動するものだから、暗い場所が恐いなんて言っていたら勤まらないので、すぐに鉢屋は思い直すが、理由が他に思いつかなかった。
「桜先輩はさ、いつも火種持ち歩いてるから」
火器が得意な生徒は火薬委員会にはなれないと言われているが、桜が得意だとは知らなかったので、久々知のその言葉に鉢屋はびっくりした。

「とはいえ、桜先輩は鳥の子とか煙幕弾くらいしか、常時持っていることはないけどな」
宝禄火矢なんて稀だと久々知は笑うが、それはそれで質が悪くないだろうか。
「最終手段だと本人は仰っていたが、どういう意味かは聞いたことがない」
それではなぜ持っているのか理由がわかったことにはならないが、久々知はあんまり興味があるようにも見えなかったので、それは仕方がないのかもしれなかった。

けれど、火薬委員会にも顔を出しているとなると、またふと気になってしまう。
「新実先輩は、学級委員長委員会には来たことないぞ?」
ウチは例外だろうかと鉢屋が思っていれば、久々知より早く、尾浜のほうが返してくる。
「だってウチは、活動らしい活動なんてほとんどしてないだろ。何を手伝うっていうのさ」
主に学級委員長は、それぞれのクラスで活動するものであり、全体的な活動のほうが少ないのだから、尾浜の言うことももっともだ。
「そもそもウチの学級委員長委員会には、委員長もいなければ委員長代理もいないけどね」
いたら学級委員長委員長になるのかな、と尾浜はとぼけたことをつけ加えながら言うが、確かにそうだ。
代表者も設定されていないし、顔を出す出さない以前の問題かもしれなかった。

「三郎。お前、桜先輩に興味あるのか?」
不意に久々知に聞かれたが、それだけの質問をしながらも、よもやそんな問いを返されるとは思わなかっただけに、鉢屋は瞬くばかりだ。
私が新実先輩に……?
予想外というより、鉢屋にとっては突拍子もない質問に思えた。



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