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できることをしたんだろ? と、浦風に言われ、桜はうんとうなずきながら、確かにその通りかもしれないと思う。
頼ることが悪いことなんじゃなくて、頼ってばかりいて反省も何もしないで嘆くことがよくないのだ。
「前も言ったけど、桜は勉強家だから、きっと今回の反省点を踏まえて次までには完璧にしようとするだろうし、同じことはくり返さないんじゃない?」
ニコニコ笑いながらも三反田は鋭い読みで、タソガレドキ城から引き上げるときに桜が思っていたことをずばり当てるから、この二人には本当に敵わないと感じた。

クラスメートで、よく一緒にいていろんなことを話している分だけのことはある、と桜が感動していれば、浦風が廊下へと促しながら、また口を開く。
「じゃあ、教室に向かいながら、桜の実習の話でも聞かせてもらうか。失敗談も参考になるからね」
それを踏まえて浦風も復習するのだと言うが、いまの言い方はどこかおもしろがってる節があるから、桜は言葉に詰まる。
「……三反田くん。浦風くんが、意地悪なこと言うんだけど!」
とりあえず、隣の三反田に助けを求めれば、彼の眉尻が困ったように下がるのが見えた。

「そう……? でも、人の失敗談とかも参考になるのは事実だよ? 自分では気づいてないこととかもみつかるし……」
どこがいけないのかわからないとばかりに言われ、桜は苦笑を漏らした。
浦風のはわざとかもしれないが、三反田はきっとただの天然だ。
そんな本気で返されたら、もう桜も何も言えなかった。

もちろん、三反田の言うことは尤もだと思っていたので、桜は自分たちがして来たことの一部始終を話して聞かせた。
そういえば、あの軍扇はどうなったのだろうか。
タソガレドキ城の保管場所から奪って来たそれを、久々知が一度見せてくれたけれど、それからどうしたのかは知らない。
先生に報告するのと一緒に提出した、というのがあり得そうなところだった。

「へえ。桜って、料理うまいんだ?」
料理に夢中で失敗したと言ったからか、浦風が感心したように聞いてくる。
「うーん、どうかな……。作るのが好きではあるけどね」
「でも、久々知先輩に誉めてもらったんだよね? 豆腐はともかく、ぼくも桜の料理食べてみたいけど」
曖昧に答えた桜に即座に反応して三反田がそう言うと、浦風もおれも、と続くが、そう簡単には引き受けられなかった。
「機会があったら……ね?」
半ば社交辞令のような返事になったが、機会がないのも本当のことだったから、いまはそれで済ませ、後で食堂のおばちゃんに、この時代の料理を教えてもらわなくちゃ、と桜は思っていた。



End.

















**
正確には、この時代の料理の味付けの加減を、になります。
味の濃さが違うと思うので。

藤内と数馬の二人との会話は、わりと等身大だといい。
56ページの後半辺りに入ります。



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