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街中を白い猫と共に連れだって歩く小文吾を周囲はクスクスと笑いながら通り過ぎる。先程からこのような状態ばかり続き、流石の小文吾も嫌気がさしていた。
「お前汐慧ちゃんの飼い猫なんだろうな?」
猫はツンっとして顔を余所に向けながら素知らぬ顔をして小文吾を欺く。
「ちくしょう。お猫様メ」
小声で呟く小文吾に対して白猫は街並を眺めていたら突然の気配に振り返り立ち止まった。
「どうした?猫ちゃん」
小文吾がしゃがみ込み白猫に声をかけると、近くに居た男たちが屋根を差しながら口々に云った。
「おい見ろよ!」
「人が」
「子供じゃないか?」
小文吾も彼らが指し示す方角へ視線を投げるとそこには、信乃の後姿と鬼のシルエットが視えた。
「兄貴っ!」
そう言うと小文吾は駆けだしてしまう。その速さに四足歩行の白猫は涼しげな顔をして着いて行った。
長い宵闇が続く。
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