15.5
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side:HOZUMI KOHINATA / 番外篇
ヒ―スくんが連絡入れると言っていたけど……。
自宅への帰り道。徐にスマ―トフォンを取り出して連絡先を見ないでタップすればすぐに呼び出せる彼女の電話番号。一瞬躊躇いながらもそっと押した。ゼロの文字を見つめながらコ―ル音が数回続く。今、通話中かな?だよね―だってヒ―スくんだもん。絶対長電話してるよね……。それに僕が電話したところで大した用事もないし。
「何やってんだか」
通話を終了しようとした時。
《ほづみん》
僕を呼び声が機械から聴こえた。それは紛れもなくスマ―トフォンからで。ゼロの文字がカウントを始めているから慌てて耳に充てれば、僕の願い通り彼女が再び僕の名前を呼んだ。
《ほづみん。どうしたの?》
「あ、え、えっと……こんばんは!」
出るとは思ってなかったから、焦って挨拶なんてしてしまった事を言った後で後悔した。僕のバカァ――!!
《……ふふふ、こんばんは》
でも彼女は微笑むように笑って挨拶をしてくれた。それが凄くむずがゆくなって自然と頬に熱が集中する。うぅ……よかった。ここに居なくて。
《さっきひ―ちゃんから連絡来て》
「スポンサ―の件だね」
《候補が見つかってよかったよね。前の契約は破棄されちゃったからどうしようかと考えてた所だもん。一層の事お兄ちゃんに頼もうかと》
「お兄さんに頼んだら絶対破産覚悟で借金まみれになっちゃうよ」
そういえば、祈ちゃんのお兄さんはストライド専門のスポ―ツ店を経営してるんだよね。僕も靴をオ―ダ―メイドして作ってもらったんだよね。
《――え?電話の相手?ほづみんだよ。お兄ちゃんがほづみんに換わりたいってちょっと換わるね》
電話口でお兄さんと会話後、交替したのか落ち着いた男性の声が聴こえて来た。
《穂積くん。久しぶりだね》
「叶さん。お久しぶりです」
《ごめんね。話中に割り込んで。そろそろ君の靴の調整をする時期だと思って声をかけたかったんだ》
「あ!そう言えばもうそんな時期でしたね……」
《暇な時間があれば連絡を入れて欲しいな。前日でも当日でも時間調整が出来るから》
「わざわざありがとうございます。時間があったときに連絡入れますね」
《うん。よろしくね。……祈のことも》
「ッ、あ、はいっ!」
祈ちゃんのお兄さんは落ち着いていて。物腰の柔らかな大人の男性。それに顔も整っていて、巷では美男美女兄妹として有名な恙御さん家。声だけでも緊張するけど怖いって思った事はないな。ヒ―スくんは凄く苦手だって言ってるけど。
《ずっと気がかりだったみたい。ほづみん、ギミックの技術が特化してるから。その分靴の負担も大きいからって》
「そっか。本当にありがとうございます」
《それに、お兄ちゃん。ほづみんの事は気に入ってるんだよね。ひ―ちゃんとかには睨むのに》
それは祈ちゃんに近づく悪い虫を除去するためなんじゃ……。それは流石に言えなかった。
空を見上げれば月白が輝く夜空が広がる。もうすぐ家に着くそんな帰宅路。
「じゃあもうすぐ家に着くから。また明日」
短い通話時間。でも電話してよかったと思える達成感に満たされながら、お開きにする。
《……ありがとう、ほづみん。また明日ね!》
通話が切れる。ツ―。ツ―。の音が響き渡る電子音。心配でかけた僕の気持ちなんてお見通しだったのかな。
「やっぱり適わないな!」
明日も元気で笑っていられるように、お月さまを見つめた。そんな春の夜の月の下。
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