03
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side:you
「祈―。合コン行かない?人数足りないから来てよ。アンタが居ないといい餌来ないからさ」
『ムリ―』
「即答かよっ」
「ノリ悪いぞ!最後の春なんだから青春しようよ―」
『してるよ。青春。それに彼氏なら居るから大丈夫』
学ランを着ているのに、長い髪を揺らすきょうちゃんの腕に腕を回して寄り添えば、友人達は口を閉ざして回れ右をして居なくなった。
『失礼だな―まったく。きょうちゃんはこんなに美人さんなのに』
「俺に構うと人が居なくなるぞ」
『ん?』
「何でもない。部活にはいかないのか?」
『これから行くよ。面白い事するって。きょうちゃんも見に来てよ』
「……楽しんでくればいい」
きょうちゃんはやんわりと私から腕を離して距離をおく。それがあまりにも優しいから絡んだこっちの方が痛い。
『そうだ!今日ね。お兄ちゃんが夕飯作りすぎると思うから食べに来て。約束ね?』
風が舞うから髪を抑えて笑うと、振り返ったきょうちゃんは表情を和らげて手を振った。それは食べに行くよの合図だと解るほど私ときょうちゃんの歴史は長い。生まれた時からずっと一緒だから。そんなもの当たり前だけど。
完全に見えなくなった背中を見送ってからもう一度ポケットにしまったスマ―トフォンを取り出してほづみんからの招待状を口ずさむ。
{ 至急!集合せよ。新入部員が四人入るから恒例の行事を行うよん。祈ちゃんも早く顔出して―。それから祈ちゃんにとっても会いたがってる子が二人来てるよん }
誰だろ? って思いながら背伸びをして歩きはじめる。また桜の季節がやってきた。
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「八神!頼む!掛け持ちでもいいから入部してくれないか?」
八神? 聞き覚えのある名前に体育館を覗いた。そこは卓球部が活動として使用している場所だった。
「いいっすよ!」
体格のいい生徒達に囲まれて真ん中に居る明るい髪色をした男の子が快く返事をしている。
『りっちゃん』
隙間からその男の子の顔が見えたら私は声を上げた。
「えっ、祈ちゃん?!」
相手も憶えていたようで名前を呼ばれて、道を開けられるのでその間を通ってりっちゃんの隣に立つ。
『久しぶりだね―。何年ぶりだろ?大きくなったね。方(コ)南(コ)に来たんだ……嬉しい』
素直な感想だった。りっちゃんはともちゃんをあまり快く思ってはいないから来るとは思っていなかった。
「(かわいい)祈ちゃんは……綺麗になったね」
『それどういう意味?』
「あ、えっと。昔からキレイでしたっ!」
『うんうん。よろしい』
ウソって舌を出して笑った。
周囲が少し遠巻きに私達の行方を見据えているので、ほづみんの言っていた事を思い出してニンマリと笑った。
『卓球部の皆さん。悪いけど、りっちゃんは私が貰うので。手を出しちゃ駄目だよ』
「えっ……!!」
ウィンクを付けてりっちゃんの手と繋いで室内から飛びだした。誰もが唖然としていたので、そんな人達を置いてけぼりにして逃避行な気分で駆けだす。
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side:RIKU YAGAMI
祈ちゃんと繋いだ手はあの頃と変わらない感じがした。白くて、細くて、温かくて……何一つ変わらない。変わったと言えば俺より小さい掌って所だけだった。
そう言えばあの時も、こうやって手を引かれて走っていた気がする。
昔を思い出すと。必然的にアイツの顔も浮かんで来てしかめっ面になった。それもそうだ。祈ちゃんはアイツの紹介で知り合った年上のお姉さんだから。
《 ――陸。俺の友達の祈だよ 》
《 初めまして。恙御祈です。よろしくね 》
少し、桜井さんと似てるかも。祈ちゃんって少しぽやっとしてるところあるから。黙ってるとお嬢様みたいなのに。
あれから俺、背が伸びたんだよ。祈ちゃん。
『りっちゃん』
「ッ、あ、なにっ?」
心の中で声をかけたのが聴こえたのかもしれないって焦ったけど。祈ちゃんは首だけ少し後ろへ傾けて。
『走るの楽しいね!』
本当に楽しそうに笑った。だからつられて俺も笑った。
「うん」
繋がってる手に少しだけ力を込めて。この手を懐かしさを今は堪能しようと思った。
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