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「初陣、そして手入れを済ませた後は鍛刀でございます!」

さっき放っとかれて寝ていたこんのすけを起こそうと、ほっぺでも抓ってやろうかと手を出したが蜂須賀にやんわり止められ、普通に起こした後、こんのすけは何やら次の準備に取り掛かるそうで。鍛刀部屋って所に連れてこられた。
たんとう?顕現やらなにやらとはまた違う単語が出てきて首を傾げた。

「…審神者様、まさかまさかとは思っていましたが、事前に渡した資料に目を通しておりませぬな?」

ははー、何の話だか、知らねぇな。第一よくわからねぇ漢字やら単語やら並べる政府とやらが悪い。せめてフリガナつけとけ、こっちは歴史なんぞまったくわからねぇ女子校生だ。

そのまま目を逸らし続けてるとこんのすけは諦めたようにため息を吐いて、鍛刀とやらの説明をしてくれた。
つまり元々本丸にある資材で新しい刀を作るそうだ。最初は一気に資材はぶち込まず、全部50のレシピでやるとか何とか。まぁよくわからねぇけどやりゃいいのか。

「資材を50ずつ入れ、この依頼札という物を使って小さな妖精達に頼みます」
「…………いや確かに妖精っぽいけど合ってんのかその呼び方で」
「細かい事は気にせずに!さあさあ!」
「はあ…」

妖精なんて口から出るキャラでも無いためとりあえず依頼札を手に持ち、資材は既に入れてあるので目の前の小さな奴にお願いします、と一言言った。するとそいつはコクリと笑顔で頷いて、刀の作成に取り掛かったみたいだ。控えめに言ってその、可愛い。

「30分?」

資材を入れ依頼札を使い、準備が終わったのか、妖精が何やら自分よりデカイ板を出してきて、それを見ると時間が表示されていた。30分待てば出来んのか?

「ほほう、全て50で30分が出るとは、審神者様中々運がいいようですな!」
「は?そうなの?」
「恐らくレアな短刀の部類かと!」

そう言いながらくるくる回るこんのすけはまぁ可愛いが、レアな短刀とか言われても全部の刀良くわかってねぇのにいいのか。

「このまま30分待てばいいのかい?」
「いえ、今回は手伝い札を使って早く顕現させましょう」
「蜂須賀の時みたいにすりゃいいのか?」
「ええ!」

ふぅん、と軽く答えて再び渡された手伝い札をまた妖精に渡した。
すると何故か手拭いを巻いたこんのすけが出てきて、最初に見た蜂須賀に比べれば随分と短い刀を渡してくる。まぁこれがレアな短刀って奴なんだろうけど。
またいつの間にか元の姿に戻ってたこんのすけを見れば、頷かれ、もう顕現してどうぞって事だろうか。
何気なく蜂須賀の方をちらりと見ると「新たな刀が打ち上がったようだね」と何やら服装にも負けじと目をキラキラさせてこちらを見ていた。なにこの美形可愛い。

「さて、と」

まぁずっと持ってても仕方ねぇし、さっさと顕現させっか。

蜂須賀の時と同じように、両手に収まる程の短刀を持ち、少しだけ力を込めると刀がまた光り、宙に浮く。
今度は目をつぶらずに見つめると、光った所から花が舞い、また新しい声が聞こえた。

「よっ……と。オレは厚藤四郎。兄弟の中だと鎧通しに分類されるんだ」

アンタが大将か?と見つめてくる男…ってよりは男の子は何やら凛々しい印象が持てる。
男の子…厚藤四郎の言葉に頷いて、よろしくという意味も込めて手を差し出せば、厚藤四郎は笑って握手をしてくれた。


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