「酒を飲みます!!」

仕事帰りにコンビニで30分程悩みに悩んで厳選した缶チューハイを並べれば、兄さんは何も言わず笑いながら隣を叩いた。

「兄さんは飲まないの?」
「俺はいいよ」
「じゃあ一人で思う存分飲もうかな」

少し大きめのソファーなのに兄さんにぴったりくっついてしまうのは仕方ない。
今日は甘えたい気分だからね。
自分を存分に甘やかしてやろうと買ってきた酒とおつまみを前に、気分はまさしく上機嫌。

「ふふっ、この音聞くの好きだなぁ」
「完全に酒飲みの言葉だぞそれ」

プルタブを引き上げればプシュッと聞こえてくる音。
それだけで幸せになれる。

「いいよ、だって今日は自分を甘やかすって決めたんだもん」

そのまま勢いよく流し込めば、シュワシュワと心地いい炭酸の刺激に思わず目を閉じておきまりの言葉を口にする。

「最高だね!」

へらへらと緩みきった顔は外ではとてもじゃないが見せられない。
でもここは自宅で隣に居るのは兄さんだ。
何も気にする必要はない。

「…ピッチ早くないか?」
「えー、だってのみたかったんだもんー」

そういう気分なんですー。と返す声は顔同様緩みきっていて、ふわふわと揺れる感覚に酔いが回ってきているなと自覚する。
でもやめない。

「すきー」

ふふっ、と笑いながら抱きついて頬ずりをすれば、くすりと小さく笑ったのが伝わってくる。

「今日は随分と甘えん坊だな?」
「そんな私も好きなくせに」

こつりと額をくっつけて言う兄さんに同じように笑って言い返せば、今度とんとんと自分の膝を叩いた。
おいで。と招くその声に従って膝に乗り上げれば、腰へと回された手。

「ああ、好きだよ。でもそんな俺に好かれるのが好きなんだろう?」
「どうかなー?」

とろりと甘ったるい蜂蜜みたいな声と目で言う兄さんのその唇に噛み付くようにキスをすれば、そのまま食らいつくように貪るようなキスが返される。
ああ、なんか食べられてるみたいだ。
いつも甘ったるいようなキスばかりするくせに、今日は珍しい。

「ふふっ、食べられるかと思った」

乱れた呼吸を整えて言えば、勿論。と涼しい顔した狼が答える。
でもその目はギラギラしていて、ああ、これはきっと欲望のままに食べ尽くされてしまうのだろう。

「あんまりにも煽るものだからつい」
「じゃあもっと煽ったらもっとしてくれる?」
「どこで覚えたんだよ」

二人して笑い合いながら触れ合ってキスをして、互いの温もりを感じあう。

「ふふっ、すき、すきだよ、にいさん。いちばんすき」
「そういいながらそれは離さないんだな」
「だってまだ飲みたい」

甘い顔した狼は右手に持った缶チューハイが不満らしい。

「まだ残ってるもん」

ピッチがはやすぎたのか、やはりいつもより酔いが回るのが早いらしい。
ふわふわするのを感じながら最後の一口を飲み込んでから缶を手放した。

「もうなくなったから、こんどこそいちばん」

シャツのボタンを外して鎖骨に吸い付けば、普段は付けられるばかりの赤い花が咲いた。

「いつもつけられるから、おかえし」

ぺろりと赤く咲いた花を舐め上げて言えば、好きなだけどうぞ?と挑発的な言葉が返ってくる。

「えんりょうしてたのにそういうこというんだー?」
「あれで遠慮してたのか?」

とんとん、とまるでいつも私がつける爪の痕を示すように背中を叩かれた。

「それだってがまんしてるよ!」
「そうだな、我慢できなくなるまでする俺が悪いか」
「わかっててするんだからせいかくわるい」
「そんな俺も好きだろう?」

もう言葉で返す必要はないだろう。
噛み付くようにキスをして、あとはなだれ込むようにベッドへと運ばれるだけ。

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酒の勢いも悪くない
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翌日筋肉痛でもう二度と酔うものかと心に決めた妹が居たとか居ないとか。
でもどうせまた同じことになる(笑)






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