以前にも増して雫は甘えるようになった…気がする。
離れていた分、俺がそう思ってるだけかも知れないが。
「雫、寝るならベッドへ行け」
「…まだ…ねない」
眠そうな声で言われても説得力無いぞ。
背中に張り付くように抱きついたまま肩に顔を埋めて呻く妹は、どう考えても寝落ち寸前だ。
ドライヤーかけた癖に首に当たる髪は冷んやり冷たくて生乾きだ。
兄さん居るうちに甘えておかないと勿体無い!と言ったきりずっと背中に引っ付いて離れない。
「…はぁ」
なんとなしに頭を撫でれば嬉しそうに笑うのが分かった。
甘えるように唇を押し付けて笑うものだから、こっちはたまったもんじゃない。
風呂上がりで上はシャツ一枚で抱きついて、おまけに首元へのキス。
…まぁ本人はキスしてるつもりなんてなく、顔を押し付けているだけだろうが。
そりゃあ溜息も出る。
上機嫌にゴロゴロと喉でも鳴らしそうな姿は猫と思うしかない。
俺はただ猫を可愛がっているだけだと自分に言い聞かせて、無心で頭を撫でてやる。
安室透の姿では絶対に見れない姿を堪能しておこう。
裏を返せば安室透で接してる時の雫は降谷零では絶対に見れない態度をするのだから、ある意味得と考えるべきか。
半分冗談で安室透も好きになってくれと言ったら思い切り嫌そうな顔されたけれど。
「安室透と降谷零、どっちが好きだ?」
「ふるやれー!」
…まぁいいか。
兄さんじゃなきゃ嫌だ。と強く抱きしめてくる妹。
どっちも俺だけど、降谷零だけを好きでいてくれるのも悪くない。
こんな姿を見れるのは降谷零だけなのだから。
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