○性癖暴露


「性癖暴露…カニバリズムとかネクロフィリアとかそういうやつ?」
「間違ってはないが何故例えが全て特殊性癖なんだ?」

しかも物騒するぎる。と言われてしまった。
マゾヒズムやサディズム等よく耳にする言葉も性癖の一つだし、なんというか、人の性癖とは幅広い。
その言葉が存在するということは、その性癖を持った人が存在するということだ。
私には理解できないけれど、多分性癖ってそんなものだと思う。

「性癖イコール特殊性癖ってなってるのかな…アコースティックフィリアとかファロフィリアとかは普通に居そうだよね」
「…用語に詳しいのが気になるんだが」
「兄さんだって意味わかってるなら同じじゃん」

でも私が思いつくのって殆ど特殊性癖だなぁ…多分司令の意味はこういうことじゃないとは思うが、やっぱりメノフィリアとかクレプトフィリア等の特殊と言われそうなものばかり浮かんでしまう。

「用語に当てはめなくてもいいんじゃないか?」
「フェチみたいな?」
「ああ。性的な意味合いで好きと思えることとかでいいだろ」

成る程。
なんて条件をつけてくれたんだ首謀者め。

「兄さんって性癖とかあるの?」
「今から試してみたらわかるだろ?」
「暴露をするのであって実践しろとは書いてませんけど!?」

ジャケットを脱ぐのやめてください。
なんでノリノリなのこのお兄ちゃん…

「…兄さんから言って」
「じゃあ…いざヤるとなった時に恥ずかしがる姿とか、肌が離れるとすぐに求めるようにしがみついてくる所や、必死にしがみついてきて切なげな声で俺を呼ぶ所とか」
「まってまってまって!どんだけ出てくるの!?もういいんじゃないかな!!」
「雫限定で全てと言えるからな」

おかしいところは何もないとでも言いたげに真面目な顔で言い切った兄に、なんとも言えない気持ちになる。
わかるけど、わかるけどさ!
私だって兄さんだからこそ、好きで好きで堪らないし、何されてもいいって思えてしまうんだろう。
それって特に何処がじゃなくて、全てが一番好きってことだと思う。

「で、お前はどうなんだ?」
「…耳元で囁かれるとぞくぞくする」

掠れた声でいつもより低い声が私の名前を呼ぶたびに、兄さんは男の人なんだって思って自分でもわからないくらい頭の中を掻き乱されて、与えられる熱に溶かされる。
それが気持ちよくて、もっともっとと強請ってしまう。

「…こんな風に?」
「っ、や、だ…ぁ」
「ん?」

逃げられないように腕に閉じ込められて、耳元でわざと囁かれた。
反対側の耳を撫でられると、ぞわり、とあの感覚が背筋を這い上がって、力が抜けていく。

「…も…っ、にいさんならぜんぶ、すきだからぁ…っ」

だからもうやめて。と続くはずの言葉は耳を撫でる指の所為で消えてしまう。
性癖とかよく分からないけれど、とにかく兄さんのことが好きという事だけははっきりと言えるのに。

「…雫」

大好きな声が私の名前を囁いて、気づいた時には押し倒されていた。
腰を撫でる手と近付く顔。

…ガチャリ

「わ、開いた!!」
「…チッ」

今明らかに舌打ちしたよね?

「…ねぇ兄さん、開いたよ?」
「開いたな」
「…出ないの?」
「なんでだ?」

なんでなの?
あれ、私がおかしいのかな?
え、でもドア開いたら出るよね…?

「本当にそうかの確認がまだだろう?」

不敵に笑った兄に、逃げられない事だけはよく分かった。
首謀者覚悟しろよ。

ーーーーー
ドア開いて中断のはずが、お兄ちゃんは止まってくれませんでした




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