「ここに喋る変身ベルトがあります」
「そもそもなんであるんだ?」

ドヤ顔で日曜朝からやってる特撮ヒーローの変身ベルトを巻いた妹の顔は輝いていた。
お前は幼稚園男児か。

「戦隊モノの次はライダーか?」
「特撮好きには戦隊も単車乗りも関係ない。どちらも特撮であり双方には双方のいい所があるんです」

これが花も恥じらう高校生とは認めたくなかった。
というか普通このくらいの年頃なら、いくらなんでももうちょっとお洒落とかそういうものを気にするものじゃないか?
なんでアクセサリーみたいに変身ベルト巻いて喜んでるんだお前。

「大人も巻けるやつだから兄さんも巻けるよ!」
「やめろ突き出すな巻かないからな」

むしろなんで大人用が発売されてるんだ。
だからやめろ。そんな期待のこもった顔でベルトを突き出すのをやめろ!!
いくら可愛い妹の頼みであろうと、出来ることと出来ないことがある。

「えー、でも兄さんイケメンだから絶対できるよ。日朝のヒーローなれるよ」
「別になりたくない」
「…まぁ、兄さんってヒーローみたいに爽やかっていうよりチャラいもんね」
「言いたいことはそれだけか?」

こいつ、事あるごとに人の事をチャラいと言ってくるが、お前の好きなヒーローも中の人間は何してるか分かんないんだぞ。
というか俺はチャラくない。

「だって兄さんさ、見た目チャラいからちょっと派手目系な人にもモテるし、この間なんて年上のお姉さんに声掛けられてたじゃん」
「それ俺が悪いのか?」
「全部兄さんがかっこいいから悪いんだと思うよ」
「妬いてるのか?」
「妬いてない」

ベルトを突き出す細い手首を掴んで引き寄せれば、すっぽりと収まる小さな体。

「もう、なんでこうなるの…」
「あんまりなことばかり言う妹が、珍しく可愛い嫉妬をしたからじゃないか?」
「してないって言ってるじゃん!」
「どうどう、ムキになるなって」
「もー!!なんでー!!」

ばたばたと暴れる体を抑え込んで額にキスをすれば、不満気な顔で黙り込む。

「で、他に言いたいことは?」
「うるさいチャラ男め。事あるごとにキスしやがって」
「おっと、聞こえなかったなもう一度頼む。勿論悪い言葉を吐き出す口は塞ぐけどな」
「もうやだこのおにいちゃん…」
「俺は好きだよ」
「ばかーにいさんのばかー」
「はいはい」

笑ってまた額にキスをすれば、仕返しと言わんばかりに首に返されたキス。

「だからお前は可愛いんだよ」

たまには甘やかすのも悪くない。







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