※19歳の降谷零がトリップしてきました
※ティーンvsアラサーの醜い戦い
※ギャグ時空

降谷零(19)
警察学校で寮生活
妹への想いは自覚済みでまだ伝えてない頃
目が覚めたら成長してる妹に抱き締められていた
表向きは遠い親戚という設定で妹と二人暮らし中
紛らわしいので零くん呼び

降谷零(29)
ティーンの自分がいきなり現れて敵意むき出しのアラサー
相手が自分なだけに気が気じゃない
当時の自分について思い出しながら妹へ手を出させないように必死
案の定ティーンの自分を弟のように可愛がってる妹にやきもきしている

妹はどっちも兄さんだしって思ってる上に、ティーンと居ると学生時代のノリに戻るのでナチュラルにイチャつく。


ーーーーーーーーーー

「よかった、ぴったりだね」

昔兄さんが着ていたお古の中から、まだ着れそうな物を探して着せれば、やっぱり似合っていた。
まぁ本人だからね、当たり前と言えば当たり前なんだけどね。

「本当にいいのか?」
「うん、だってずっと部屋にいるだけだとつまらないし、遠い親戚って事にすれば全然大丈夫だよ」

兄さんの仕事の関係もあってあまり外へ出してあげれなかったけど、やっぱり部屋にずっと居るのはよくないし、適当な言い訳を見繕って外出の許可をもぎ取った。
一応誤魔化す為に眼鏡は付けたけど、イケメンはなんでも似合うから困る。

「…かっこいいなぁ」

眼鏡ってそれだけで魅力が爆上げなアイテムだから狡いと思う。
思わず呟けば零くんは雫はかわいいな。って当たり前のように言ってくるものだからむず痒い気分になる。
そういえば当時の私ってかなり兄さんにべったりだったもんなぁ。
まるで当時に戻ったみたいだ。

「髪型も変えるか」
「オールバック?」
「変かな?」
「ううん、滅茶滅茶かっこいい」

さらりと前髪をあげて問う兄さんは世界一かっこいいと思う。

そうしてオールバックに眼鏡という最強のイケメンと手を繋ぎながら、訪れたのはデパートだ。
いくら本人とはいえ、兄さんのお古ばかりを着せるのは心苦しかったので、好きなものを買ってもらう事にした。
そういえば昔は私が兄さんに連れ出されて服を買ってもらった事もあったなぁ。

「あれ、雫さんじゃん!」
「雫さんこんにちは。そちらの方は…?」

厄介なのに見つかったな。
メンズコーナーへ手を繋いだまま入る直前、声をかけて着たのは園子ちゃんと蘭ちゃんだった。
零くんを見て瞳を輝かせている園子ちゃんは相変わらずで何よりです。

「こんにちは。二人共学校はどうしたの?」
「今日はテストだったので午前で終わりなんです」
「最終日だったから気晴らしに買い物に来たんだけど、そんなことより横のイケメンは誰なのよー!」
「ちょっ、園子ったらもう…」

まぁね、知ってたよ、そう来るよね。

「遠い親戚の子で、海外留学してたんだけど最近帰って来てね。折角だから買い物行こうって話して見に来たんだ」
「零です。初めまして」

にっこりと愛想よく笑った顔は安室透に通じるものがあった。

「なんだ歳下の彼氏じゃないのね」
「なんでもそっちにもってくのやめてくれません?」
「雫さんには安室さんが居ますもんね」
「蘭ちゃんもそれは大きな勘違いだからやめようか?」

なんで女の子ってすぐに恋愛話にしたがるんだろう。

「俺は好きだよ、雫のこと」
「私も好きだよ」

聞こえる悲鳴。
…しまった。
つい当時のノリで返してしまった…
これ大丈夫?アラサーがティーンに手を出してる図にならない?ねぇ、大丈夫?

「ほら、零くん海外長かったから感情表現がストレートで、私もそれに慣れちゃってるから」
「なぁんだ、てっきり三角関係かと思っちゃったじゃない」
「ないない。安室さんはない」
「そんなこと言っちゃっていいわけ?」
「あの人思わせぶりな態度ばっか取るから悪いんだよ」
「それって嫉妬とかじゃなくて、ですか?」
「君達の頭は何が何でも安室さんとくっつけたいようだね」

サービスするイケメンなんか誰が好きになるものか。
女に刺されないよう精々気をつけてくださいね。って感じだ。
…なんで兄さんはあんなキャラ設定をしてしまったんだろう。


ーーーーーー

「雫」
「いいの?」
「好きだろ?」
「うん、好き」

ばりん。
目の前の光景に思わず力が入ってしまいグラスが割れた。
…なにをしているんだこの餓鬼。
へらりと完全に気の抜けた笑みで幸せそうに差し出されたスプーンに口を寄せる妹と、それを甘ったるい顔で眺めながらちゃっかり頬を撫でる男。
なんだこれ。
カウンターではバカップルかと言いたくなるような光景が繰り広げられていた。

「おいしいか?」
「うん、おいしい」

ああ、そうさ、俺も昔はやった。やったさ。
だから目の前のいつかの俺も当時と同じ様にやっただけなんだろう。
だからといってそれを見逃せるかどうかは別の話だ。
それは俺の雫だぞクソ餓鬼。

「ね、ねぇ安室さん、大丈夫?」
「あぁ気にしないで。平気だよ」

コナンくんに笑顔で答えながら、目線は目の前の二人から逸らさずにいると、若い俺が鼻で笑ったのが分かった。

「雫さん雫さん、安室さんが怪我してるかもしれないから見てあげて!」

手に残った破片を思わず握りしめそうになった時、コナンくんが雫に声をかけたことによって漸く交わる視線。

「え、なんでこうなってるんですか!?手、切ってません?大丈夫ですか?」
「つい不注意で割ってしまって…」
「…ちょっと切ってますね。痛くないですか?」
「かすり傷みたいなものですし平気ですよ」
「そのかすり傷みたいなものでもばい菌入ったら危ないんですからね?貸してください」

ばい菌っていい方かわいいな。
小児科で働いているからか、妹はたまに子供に使う様な言葉遣いになる。
すっかり俺に意識が移った雫が手当をする中、お返しだと言わんばかりにティーンを鼻で笑ってやった。
残念だが雫の兄ちゃんは俺だ。


ーーーーーー

零と呼ばれる青年はどう見ても安室さんそっくりだった。
以前蘭達が安室さん似の青年と雫さんがデートしてたと騒いでいたが、あれ似てるってレベルじゃねぇだろ。
その話を聞いていた安室さんは手の中のグラスを笑顔のまま粉砕していた。
そういやぁ安室さんってシスコンっぽかったもんな。
妹の交際相手とか気にするタイプなんだな。
遠い親戚だと説明された零さんと安室さんはかなり仲が悪いらしく、いつも水面下による争いを繰り広げている様に思う。
なんで当の本人の雫さんが気づかないのかは未だに解けない謎だ。

「雫」
「いいの?」
「好きだろ?」
「うん、好き」

零さんと居る時の雫さんはいつも気が抜けたような柔らかい笑みを浮かべる。
まるで甘えるようにも見える姿は、ハタから見るとイチャつくカップルにしか見えない。
こうして当たり前のようなやり取りが繰り広げられるたび、ポアロの食器は壊されていく。
ぱりん。
今日もまた安室さんの手の中で食器が召された。

「ね、ねぇ安室さん、大丈夫?」
「あぁ、気にしないで。平気だよ」

平気じゃねぇだろ。メンタルが。
そんな安室さんに気づかない雫さんはへらへらと幸せそうな顔でパフェを食べていた。
甘ったるい顔でそれを眺めながら頬を撫でる零さんを見て、手の中の破片を握りつぶし兼ねない安室さんが視界に入った。

「雫さん雫さん、安室さんが怪我してるかもしれないから見てあげて!」

慌てて声をかければ事態に気づいた雫さんがテキパキと手当をし始めて、手を差し出したままの安室さんはそれはもう勝ち誇ったような笑みで零さんを見下していた。
…ほんと、よくやってられるなこの人ら。
この水面下、ってかもう完全に出てる争いに彼女が気づく日は来るのだろうか。


ーーーーーーーー

兄さんはティーンの自分が気に入らないらしい。

「ちょ、何してるんですかおにーさま」

ソファーに押し倒すように身を寄せる兄さんに抗議の声を上げれば、こてりと首を傾げるアラサー。
こ、この人自分の顔の良さ分かってやってるだろ!!あざといぞ!!私の兄さんはいつからそんなあざとくなったんだ…

「キスくらいいいだろ?」
「ダメだよ零くん居るもん」
「風呂行ってるならいいじゃないか」
「よくないー!」

キスって言いながら腰撫でるのやめろ!!

「…俺の事も構ってくれたっていいじゃないか」

…それ、狡い。
耳元でそんな風に囁かれたら、断れないじゃないか。
ぎゅうぎゅうに抱き締めれば、頬を撫でる大きな手。
こつりとくっ付いた額にサラサラと私の頬を掠める綺麗な髪。

「嫌か?」

ほんと狡い。
嫌なわけないって分かってるくせにそんな聞き方をするんだ。

「…すき」

分かってるくせに聞く兄さんは狡い。
重なる唇。
そしてはなれ…離れない?え、ちょ、嘘でしょちょ、後頭部に手をまわすな!

「…っ…んぅ…ふ…ぁ」

ついに口内に進入した舌が好き勝手に暴れ回る。
抗議の意を込めて胸を叩こうともビクともしない。この筋肉ダルマめぇ…!

「ん…っ、やぁ…っふ…はぁ」

向かられた視線はギラギラしていて、あ、この顔はダメなやつだ。と諦めかけたその時、

「雫から離れろ」

拳が私と兄さんの顔の間を通り抜けた。
か、風が凄かったんだけどどういうことなの?
兄さんが避けるために離れたのは良かったけど、この空気はよくない。全くよくない。

「お前に指図される筋合いはないんだが」
「無理矢理襲ってるように見えたが?」

ピリピリした空気が部屋に溢れた。
これはよくない。下手したら部屋が壊れかねない。

「えっちいのはよくないと思います!よって兄さんは今後一切触れることを禁じます」

容赦?するわけないよね。

「な…っ!?キスしただけじゃないか!それすら許されないのか!?」
「キスで終わらす気なかったよね?完全に流れ持ってこうとしたよね?」

耳撫でるし腰撫でるし目がマジだった。

「零くん居るからかやだって言ったのにどうかと思います」
「せめてキスはいいだろ?」
「ダメ。甘やかすと流されるからダメ。兎に角触るのも無しキスも無し。破ったら合鍵返してもらうし部屋に来るのも禁止」

そんな顔してもダメだから。絶対甘やかさないから。
ちょっと許せばああやって丸め込もうとするからダメ。
…流される私も私だけど、それは兄さんがかっこいいから悪い。私だって兄さんのことは好きだ。
だからってここで許せばまた同じ事になるに違いない。

「返事は?」
「…わかった」

…だ、だめだわたし、まけるな。
なんでアラサーのくせに上目遣いなんてあざといことするんだこの人。

「…でも私からするのは有り」

結局去り際に頬にキスをすれば、此処にはしてくれないのか?と唇を指差したのでそのまま追い出したのは言うまでもない。
…あれ絶対懲りてないな。







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