「赤井秀一を殺す」

実に楽しそうに笑う兄。

「…へぇ…いきてたんだね」
「そういやぁお前は組織の奴のことは一部の名前くらいしか知らなかったな」
「うん。兄さんの話でしか知らないよ。確かライ、だっけ?」
「偉いなぁ?ちゃんと覚えてんじゃねぇか」

そりゃああんだけ喚き散らしてブチギレて久々の刃物でざっくり八つ当たりされたからな。
本当に存在をしらなかったとしても確実に名前くらいは覚えるわ。
しかしここで発言を間違えてみろ。
第2撃が私の腹にぶち込まれることは確実だろう。
既に入れられた一発は蹲るレベルだったけど、二撃目入れられたら暫くは動けないだろう。
いくら兄が絶妙なる加減で暴力を振るうプロだとしてもだ、痛いもんは痛いし、避けれるのなら避けたい。
それに明日から三徹コースが確定している今、それだけは勘弁願いたい。
初日にオペと次が担当の問診、最終日は小児科と内科でピンチヒッターだ。
集中力を切らすわけにはいかない。

「兄さん、私何したらいいかな」
「分かってんじゃねぇか」

頼む、さっさと計画を吐け。
あの人には死なれるわけにはいかないんだ。
やっと増え始めた希望を減らすわけにはいかない。
あの小さな名探偵にも知らせなくては。

「赤井の殺害に関しては必要ない」
「…え」
「キールに殺らせる予定らしい。あいつもNOCの疑いがかけられている。今入院中らしいが、必ず組織に戻ってくる。お前はキールについて洗い出せ」
「…わかった。手当たり次第セキュリティ進入してみる」

キール、ね。
確かアナウンサーだったな。
まぁ調べた所でNOCだったとしても、それを素直に教える気は更々ない。

「頼んだぞ」

結局蹴るのね。
多少手加減してくれたみたいだけど、蹲って返事が出来ないくらいには痛いですオニイサマ。
とりあえず赤井さんにメールだけ入れておこう。
私にできるのはここまでだけど、あの人のことだ、なんとかしてくれるだろう。






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