「…バーバラ?」
「あ、スコッチ久しぶり!」
「おま…っ、動き回って大丈夫なのか!?」
「っ、ちょ、かた、肩痛い…!」
「わ、悪い…!」

ジンに適当に追い払われた後、もう少し大人しく寝ておこうとベッドへ向かう道なりで私を見つけたスコッチが凄い形相で駆け寄って来た。
勢いのままに肩を掴まれ、思わず抗議の声を上げれば離してもらえたけど、表情は変わらないまま大丈夫なのか!?と問いただされる。

「いや、なんか人間辞めてたらしくて、一週間でこの回復なんだけど凄くない?褒めてくれていいんだよ?」
「この馬鹿!帰って来てお前の話を聞いた時、どれだけ心配したと思ってるんだ!」
「す、すみません」

思わず苗字名前が顔を出すくらいにはびっくりした。

「なんで誰にも言わずに一人で行ったんだ!」
「ちょ、スコッチ声大きい…!」
「…っ、心配したんだぞこの馬鹿犬」
「えぇー、スコッチまで犬扱いするの…」

私の人権いつになったら帰ってくるの?

「バーバラ、具合はもういいんですか?」
「バーボン!お前からも叱ってやってくれ。この忠犬反抗期だぞ」
「だからなんで犬扱い!?」
「それは貴女が忠犬だからでしょう?」

ねぇ、学生の時の話引っ張りすぎじゃない?
まぁ従順の意味を持つコードネーム貰ってるから強ち間違いでもないんだろうけどさ。

「組織の従順な犬とか呼ばれそうで怖いわ」
「でも首輪は付いてんだから大丈夫だろ」

スコッチが指差したのは私の首にかかる錆びたネックレスだった。
あれ、私スコッチに首輪の話したっけかな。
こびりついた血は必死こいて剥がしたけれど、ほんの少し錆びてしまったり綺麗な色だった石も血のせいでくすんでしまったりと酷い有様になっていた。

「ずっと同じものを?」
「ええそりゃあもう、かつて偉大なる大先輩に頂いた初めてのご褒美なので大事に大事に使ってますよ」
「貴女なら二、三日で壊しそうなイメージだったのでつい」
「ねぇ、バーボンが笑顔でいじめるんだけど助けてスコッチ」
「まぁまぁ、バーボンからしたらバーバラは妹分みたいでかわいいんだろう?」

流石普段からライとバーボンの仲を取り持ってるだけある。
ライとバーボンが争ってるところは見た事ないが、気が合わないとかなんとかという話を小耳に挟んだことがある。
いい歳してなにやってんだこの人ら。と思ったのはここだけの話。

「だから単独行動するにしても必ず誰かに声掛けろよ?」
「過保護な兄貴分が増えたなぁ」
「おう、俺にとってもバーバラはかわいい妹分だからな」

ボロが出るのが怖いと思って関わる頻度を減らしていたけれど、バーバラとしてならもう少しだけ近づいてもいいのかも知れない。

「バーボンとスコッチがお兄ちゃんなら安心だね」

苗字名前としては恐れ多くて言えないが、今の私はバーバラである。
折角の機会なのだから末っ子気分を味わってもいいだろう。

「その首輪はいつ切れるか分かりませんし、ちゃんと忠犬として戻って来たご褒美に僕たちが新しいのを買ってあげますよ」
「え、いいよ。自業自得だし」
「お兄ちゃんには甘えとけ。気に入りそうなのをバーボンお兄ちゃんが買ってくれるだろうから!」
「スコッチも考えてくださいよ」
「わかってるって」

どうやらこのお兄ちゃん達は妹に甘いらしい。
どうかこの組織以外での時も甘いお兄ちゃんでいてほしいが、それは無理な相談だろう。
なんたって一人は鬼上司だからな。



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