「よくやったな名前!」

テストの結果は見事学年一位だった。
成る程、こんなにも喜んでもらえるのならもっと早くに気づいておけばよかった。
学年一位を取った事を報告するとまるで自分の事のように喜ぶ父に抱きしめられながらそんな事を思った。
どうやら私は周りが思っているよりも自分を異質扱いしていたようだ。
確かに私は天才なんかじゃないし、自己評価もどちらかといえば低い方で、本来できる筈のことすらできないようにしてきた。
どれもこれも周りから浮かないように、異質扱いされないように、年相応にと手を抜くことに全力を尽くしてきたけど、それは全部意味のない事だったのかもしれない。

っていうか別に高校生になってまで学年10位なんて微妙な所にいる必要は無かったのかもしれない。
学校で出されるテストなんてのはちゃんと勉強していればとけるように作られているし、解けて当然でもある。
いやほんと、降谷先輩という常に一位らしい方が居るんだから気づくべきだった。
自分の順位以外どうでもよかったから眼中になかったけど、かの友人から先輩今回も学年一位!なんて聞かなければ気づくこともできなかっただろう。
そもそも先輩と関わるようになったのもあの友人のおかげなのだから、今度お礼をしよう。

「頑張ったな!学年10位をキープしてるのも凄かったが、いきなり一位だなんてお父さん感動したよ…!」

え、ちょ、なんで涙ぐんでるの?
やめてやめてどれだけ親バカなんですかお父さん。

「先輩のおかげだよ」
「そうだったのか、その先輩にお礼をちゃんと言うんだぞ?」
「うん、今日は父さんに報告することだけで一杯だったから、明日ちゃんとお礼を言うよ」
「名前〜!なんて嬉しい事を言ってくれんだ…!反抗期がいつ来るかとドキドキしてたが父さんは嬉しいよ…!!!」
「私も、父さんの子供に産まれて嬉しいよ。ありがとう、父さん」

ついに涙のダムが崩壊したらしく号泣し始めた父を見ながら、この人の子供に生まれることが出来た幸せを感じた。
母の決断を受け入れ、命と引き換えに産まれた私をこんなに愛してくれるのなら、私はそれに応えなくてはならない。

「ねぇ父さん、父さんと母さんは私にどんな人間になって欲しい?」
「一番はお前が笑って生きてくれること。あとはそうだなぁ…やっぱり名前には正義感のある子供に育って欲しい」

お腹にいる時から母さんと話してたんだ。
そう続けた父の顔はとても穏やかだった。

「…うん、それじゃあ私はいつも笑って、それでいて正義感のある人になるよ」





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