■未だ色を知らぬイルカ
もしも生まれ変わることが出来るのなら、きっと次こそは、私は私の望む色でありたい。
手の中のイルカはまだ、何一つとして色を知らない。このイルカを握りしめて、私は最期に私らしく、私の望むように散ってやるのだ。誰の指図も受けない、誰のために生きるわけでもない、全て私自身のために。
死ぬだろう。間違いない。そう覚悟を決めて、私は重機に飛び乗った。なりふり構わず、ただひたすら、誰も死なせたくないというその一心だけでアクセルを踏み込んだ。
すべてが終わったその時、視界の端にちらりちらりと揺れる白いイルカは、私らしい色に染まっているだろうか。
たったの数時間。
記憶を失ったことによって生まれた、何気ない会話やアトラクションを心から楽しむ、ごく普通の女性としての私。記憶を取り戻すことで死んだその私を取り戻すことはもう二度とできない。
(だから、もしも。―――もしもが、あれば)
迫りくる鉄の塊を睨みつけながら、私の心は満たされていた。
そう、やっと、この人生の最後の最後で、自分自身の意思を貫き通した。こんなことで、これまで犯してきた数々の罪が消えるだなんて思ってはいない。自己満足だ。けれどこれでいい。これがいい。これで、__________________
「ciao〜、透君、コナン君も一昨日ぶり。なんか観覧車すごいことになってたけど、怪我無かった?」
「……!?」
「落ち着いてくれコナン君。彼、そこそこな確率でポアロに居るから」
「はっ!?」
「レモンパイ一つお願いしまーす」
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