その後数日間続いた部屋探しでは、ルカに勧められた警察付近の家は全てお断りさせていただいた。
いつどこで誰と会うかなんてわからないのだ。
少し街を外れたところで、あまり便利とは言いがたいけれど、静かに過ごすのならもってこいといった場所に、綱吉は部屋を借りた。
カフェのアルバイトを見つけることも出来て、生活も安定してきた。
……状況は何も良くないのだが。
(…ここに突然来ちゃってから二週間か……)
あれから、綱吉なりに色々なことを調べた結果、どうやらここは綱吉のいた世界ではないということに気がついた。
まず、トゥリニセッテは存在していない。次に、ボンゴレファミリーも存在していないようだった。
ならばなぜ自分は偽名など使っているのだろうと思ってしまったが、既に何人もの友人知人たちにアラック・レオーネだと名乗ってしまっているので、今更変えられるわけもなく。
「レオーネ、ちょっと手伝ってー!」
「はーい!」
バイト先で知り合った人や初対面の人、知人程度の人には姓しか名乗らないのは変わらない。今のところ自分からアラックと名乗っているのは、そう名乗るきっかけとなったルカのみだった。
バイトが終わり、先日ようやく購入したケータイに、ルカからのメールが入っていた。
二人で遊びに行く約束をしていて、これから駅で待ち合わせなのだ。
思いの外ここの生活を満喫している自分に、多少薄情だなぁ、という気持ちが湧いてくる。
守護者たちが心配じゃない訳ではないのだが、帰る方法もわからない今、悩んでいるよりも生きる方が大事なのだ。
バイト先のカフェから出て、駅へ向かう。
今日は、ルカの行きつけの店へ連れて行ってもらうのだ。
時間を気にしつつ早歩きで駅に着いたら、ルカは既にそこで待っていた。
「ごめん、ルカ!」
「いや、平気だぜ。バイトだろ?」
「うん。ところで、ルカの行きつけって?」
「ああ。少し歩くけどいいよな?アラック、ヒョロいくせに体力はあるし」
「ヒョロいは余計だよルカ」
笑い合いながら、軽口も交えつつ歩く。
最近は偽名で呼ばれることにもなれてきていて、アラックと呼ばれてもレオーネと呼ばれても、すぐに反応できるようになった。
「でさー、あの時な!…………、アラック?」
アラック!
少し大きい声で名前を呼ばれ、はっとしてルカに視線を向けた。
「あ…ごめん、何かぼーっとしてたみたい」
「お前、人混みの中でぼやけるの趣味かなんかなわけ?前もそうだったろ」
確かに、ルカとあった時もこんな感じだった。
そうだね、気をつけるよ。
そう返事をしながら、綱吉とルカは再び騒がしく話しながら歩き始めた。
アラック。
そう、綱吉が呼ばれているのを、通り過ぎて言った赤井秀一にしっかりと聞かれていたことも知らずに。
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