アラック。
中近東、特にイラク、シリアを中心とし、エジプトやスーダンのような北アフリカ地方などでも伝統的につくられてきた蒸留酒の事である。
赤井が駅の近くをたまたま通り過ぎたとき、向かいから見覚えのある茶髪の少年…いや、青年、レオーネが、いかつい顔と体つきをした男と歩いてくるのを見た。
近づくにつれ、二人の会話がはっきりと耳に届くようになってくる。
向こうは赤井に気づくことはなく、何やら楽しそうに会話を続けている。
「ああ。少し歩くけどいいよな?アラック、ヒョロいくせに体力はあるし」
レオーネ立ち二人の横を通り過ぎる瞬間、赤井の耳に届いたその言葉に、ヒュ、と息を飲んだ。
アラックとは、酒の名前である。
いかつい、レオーネにルカと呼ばれた男は、レオーネに向かってアラックと呼びかけたように聞こえた。
酒の名前で呼ばれる。
赤井はそれに、いい印象どころか悪いことしか浮かんでこない。
あの組織は、幹部全員に酒の名前のコードネームが与えられている。
もう一度よく耳をすませてみれば、やはりレオーネはアラックと、そう呼ばれていた。
まさか。
あの、見た目が人畜無害そうな、いかにも気弱そうなレオーネが、あの組織の幹部だというのだろうか。
だとすれば、あの時爆弾の回収をしていたことにも納得できる。
思いがけないところで組織への手がかりを見つけたかもしれない。まだレオーネがそうだと決まった訳では無いけれど。
そうして、赤井たちFBIと、何も知らないアラック・レオーネこと沢田綱吉の、噛み合わない探り合いが幕を開けるのだった。
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