:呪いに足る覚悟
綱吉は虎杖と一緒に、体術訓練やちょっとした呪力操作の訓練を行うことになった。あまり頻繁に地下に出入りすると怪しまれるため、週に一度、良くて二度が限界だったが、記憶を取り戻してから始めたトレーニングが成果を現し始めたこのタイミングで実践形式の訓練を行えるのは綱吉としてもとてもありがたかった。
「う、わっ」
「おっ!?」
耳元を虎杖の拳が掠める。綱吉が反射で避けたため、空ぶった拳にやや身体を持っていかれた虎杖がもたつく。その隙に振り返って綱吉も蹴りを入れようとするが、すとんと腰を落とすようにしてしゃがみ込んだ虎杖に避けられてしまう。
家入が居るのをいい事に、虎杖と綱吉の体術訓練はばかすかと殴り合っている。とは言えさすがに力加減はしているので出血沙汰になったり骨折したりなどは無いけれど。
ひとしきり攻防を終え、水分補給をしながらソファに座る。
「沢田ってさ、俺と同じで呪術師のこととか何も知らなかったんだろ?」
「うん?」
「俺には術式が無いらしいからわかんねぇけど、やっぱ難しかった?自分の術式を使えるようになるまで」
「うーん…どうだろう…?術式自体の、起動?みたいなのは、個人的には使うぞ!って思ったら何か出た!って感じだったから、虎杖くんの参考にはならないかもしれないな…」
「そっかあー……難しいんだよなあ、こう、呪力を練り上げる?って感覚がさあー」
「今まで全く縁がなかったものだし、虎杖くんに関しては元は呪力が無かったんでしょ?」
「そう。宿儺の指食ったから」
「あぁ…、指食べたんだよね…。そう言えば、その両面宿儺は何か言ってきたりしないの?言い方はあれだけど、自分の呪力を勝手に使われてるわけじゃん、状況としては」
綱吉は未だ両面宿儺と言葉を交わしたことは無い。釘崎はどうかは知らないが、直接言葉を交わしたことがあると聞いたのは五条と伏黒だけのようだった。ついでに言えば、話を聞く限り両面宿儺は相当に横暴な性格をしているようだということもうかがえた。それ故のこの質問だった訳だが。
「戯けが。その程度気にもならんわ。たかが二十の内の数本程度の呪力よ。玩具のようなものだ」
「うわ。お前暫く大人しくしてたと思ったら急に出てくんなよ」
「不快な話が聞こえたものでなァ。…ふむ?貴様、よく見れば神宮の血筋か。焦げ臭い匂いがすると思えば。外の物も随分と混じったようだが」
唐突に話を振られて思わず目を瞬かせる。会話を聞かれていたのかという驚きと、呪力って匂いあるのかという驚きと、色々が組み合わさって一周まわって、恐怖のようなものは掻き消えたような気がした。
「ただの外つ国の血かと思えば何だ。随分と呪われているなぁ、ソレは」
ケラケラ。ケタケタ。
虎杖の物とは違う声が、彼の手の甲から可笑しそうに不気味な笑い声を上げる。
血が呪われている、などと。そんなこと、知っている。この身に流れる血の半分は、歴史と罪と運命に呪われている。例えこの世界線では偶然そうならなかったのだとしても、世界の礎を担う一柱であるこの血は、これ以上無く呪いに雁字搦めにされているに決まっている。
「おい宿儺!お前もう黙れって!!」
バチン!と派手に破裂音を立てて、虎杖が自分の手の甲を引っぱたく。
「マジでごめん沢田!最近こいつ出てきてなかったのに…、俺には何かよく分からんけど嫌なこと言ったんだろ、宿儺」
途端に黙り込んだ宿儺にため息を吐いて申し訳なさそうな顔をする虎杖に大丈夫と微笑み返す。実際ダメージは受けていない。前の生の間に血に呪われたことをああだこうだと言う段階はとっくに終えていたし、この世界では存在していないボンゴレの存在を間接的に捉えることができて何故かむしろほっとした程だった。
「大丈夫、気にしてる事じゃないし!」
「でもさぁ…」
「ほんとに気にしないでよ。ていうか両面宿儺ってそんなふうに出てくるんだ」
「手の甲とかあとほっぺたのとこ出てきたり。この間は…、暴走されちゃったけどさ」
悔しそうに顔を顰めて俯く虎杖の肩をぽすぽすと叩く。
「そのための訓練だろ。経緯はともかくじっくり修行できる環境なんてそうそう無いだろうし。俺も時々付き合うからさ、頑張ろう」
「…沢田ってさぁ」
「うん?」
「すげえ大人しい奴なのかなって思ってたんだけど」
「あー…」
「いい意味で印象変わったわ、ここ最近で。なんつーか、大人しいじゃなくて余裕あるって感じ。ただ者じゃねーよな」
「!」
からりとした眩しい笑顔に思わず息を飲んだ。彼が知るはずもない、綱吉の心をいつだって奮い立たせる彼女と同じ言葉。
まさかこんな所で再び言われることがあるだなんて思いもしなかった。
「そう言って貰えるのは、嬉しいな」
「…そう?」
「うん。俺も色々頑張るよ。虎杖くんもこれから任務があるんでしょ?一級の術師の人と。俺もあるんだ、お互い無事に戻って来ようね」
こつりと二人、拳を突き合わせた。
*
ぞわりと肌を生ぬるい風が撫でていく。綱吉は二級術師と共に、とある谷にある小さな集落へ訪れていた。窓によると二級相当の呪霊が現れたとの事で、その詳細の調査及び祓除が任務の内容だった。外から人の入ることの無い集落ということで、恐らくは土地神信仰の類だろうと、そういった方面に詳しい九瀬と言う術師が綱吉と共にこの任務に就いている。
「嫌な、空気ですね、この辺り」
「そうか?僕にはあまり…土地神信仰と聞くと皆そんな風に身構えるんだ。沢田、だっけ、君もこの手は初めてか?」
「あ、はい。…二級呪霊と言うのがそもそも初めてで…」
「え、三級だったよな?君」
「入学した時から三級だったんです。上がった訳ではなくて」
「…ふうん?術式が強いのかな」
「五条先生には呪力量だろうって言われました」
「ああ、なるほど」
九瀬は納得がいったように頷くと、集落の中に足を踏み入れていく。こういった閉鎖的なコミュニティの中にあまり堂々と入り込んでいくのは良くないのではないかと綱吉は首を傾げたが、綱吉よりもよっぽど経験値の高い九瀬が問題ないと判断するのであればそれについて行くしかない。
微かに感じるチリチリとした気配は超直感が何かを感じとっているのだろう。警戒を引き上げておくに越したことはない。やや警戒心の薄そうな九瀬を追いかけながら、綱吉はごくりと唾を飲み込んだ。
暫く歩き続けて、九瀬がここだ、と目をつけたのは集落の中でも一際人気の無い奥地にある古い祠だった。
「う、わ」
「これでもかってくらい嫌な呪力が漂ってるな…」
「九瀬さんは、こう言った任務によく関わってるんですよね」
「うん?そうだが」
「…どう言った内容…というか、どういう理由で呪霊が発生することが多いんでしょうか」
「……勘がいいじゃないか。まあ基本的には生贄にされた人間の恐怖や怨みが呪いになったって言うケースが多い。沢田も覚えておくといいぞ。こう言う胸糞な案件の時は村の人間とは関わらないのが一番いい。下手をすると夢に出てくるからな」
夢に出てくるほどの凄惨で不快極まりない事件は、マフィアとしての人生でも嫌という程見てきた。
そういった、人間の自己満足や我が身可愛さで、良い神か悪い神か、そもそも神なのかすら分からないような存在に捧げられる生贄の気持ちを考えると、腹の奥が煮え滾るような気分だった。
「ま、これは間違いなく生贄達の怨念なんかが呪いになったんだろうな。窓の話では二級相当の呪霊という事だったから僕と沢田とでミスでもやらかさなければ問題なく祓える規模のはずだ」
「でも、これ…」
何も意識せずに視界に映せば、やや苔に覆われた古い石の祠。けれど、呪力の流れに意識を向けると、祠は瞬時に恐ろしく禍々しい呪いの固まりへと変貌する。虎杖の内側に見える両面宿儺の呪いに勝りこそせずとも大きく劣る訳でもない、つまりそれほどに巨悪な呪いだ。
「俺、この件は一度窓の方に話した方がいいと思います。尋常じゃない呪いが絡まって塊になって、俺たち二人じゃ」
「は?ここまで来て怖気付いたのか?冗談じゃない、この程度で毎回毎回窓まで持ち帰って再調査を依頼していたら呪いが溢れかえるだろう」
「でも、凄く嫌な予感が…」
「はぁ…。それなら今から一人で帰るといい。二度と僕とは組むことがないよう話を通させてもらうが」
九瀬は気だるそうにため息をつくと、祠を中心に陣を描き始める。九瀬の術式は解呪や封印に特化しているらしいと移動中に聞いていた。陣の効果は綱吉には全く分からない。けれども、これが膨れ上がる呪いに対して到底太刀打ちできるようなものでは無い事は、ガンガンと警鐘を鳴らす超直感が訴えていた。
綱吉の経験の浅さと階級では、勘などという言葉は何の説得力も持たない。
「ま、って、九瀬さ、……!」
陣が発動した瞬間、ビリビリと神経を抉られるような悪寒が九瀬と綱吉を襲う。祠がビシリと音を立て、ずるりと中から呪いの塊が這いずるようにして出てくる。その塊が全て外へ出ると、ぐにゃりと形を歪ませ、人間の顔や手足がまるで団子のようにひとまとめに癒着した不気味なからだを形作る。
一目見て、勘止まりだった綱吉も、陣を破壊された九瀬も理解する。これは二級呪霊などでは無い。二人で太刀打ちできる代物ではない、と。
*
視界が揺れ、ぼやける。瞼が濡れていると感じて袖で拭えば、真っ赤な血がべたりとついていた。砂や石の破片でも掠めたのだろうか。瞼だけではない。腕や足なんかからもだらだらと血が流れていた。
後ろ手に庇った九瀬は既に気を失っている。大きく重たそうな図体をした割に素早い呪霊に頭部を殴りつけられ、彼は脳震盪でも起こしたのか倒れ伏したまま動かない。幸い胴体からの出血はないが、衝撃を受けた頭部からも出血が無いのは寧ろそちらの方が怖い。けれど綱吉は治療の術など持っていない。ひとまず今できることは、九瀬を動かさないこと。であれば綱吉はこの場から呪霊を引き付けつつ離れるべきだ。
電話も通じないし、集落に送り届けてくれた補助監督が降ろした帳は何故か解くことができなかった。たとえ解けたとしても、人里に被害が及ぶ可能性がある以上放置して逃げることもできない。
「九瀬さんから、早く離れないと、」
息が切れているのも肺が痛むのも気付かないふりをして、足に鞭を打って必死に走り続ける。大空の炎で飛べもしない、拳銃ひとつも持っていない綱吉には、調和の性質を持った術式と呪力しかない。
攻撃手段はひとつ、肉弾戦のみ。
記憶を思い出し、トレーニングを開始してからようやく半年と少し。前の最盛期には未だ遠く及ばないが、中学生の頃の肉体レベルにはようやく追いついてきたところだ。
呪力を扱う際に炎の形にすると操作がしやすいことに気づいた。殴ったり蹴ったりすることで対象に炎を燃え移して石化させることが任意でできるようになった。
背後から呪霊が追ってくるのがわかる。単純なスピード勝負では勝ち目がない。時折手足をぶんと伸ばして殴りかかってくるのを避けながら、地形を利用してできるだけ距離を稼ぐ。脳みそがぎゅんぎゅん音を立てるほど回転しているのが分かった。
呪力を全身に回す。今はとにかく遠くに、開けた場所に行きたかった。
『グゥ、オオオォォォ』
「やば、」
呪霊の巨体が跳ねる。かろうじて開いていた綱吉との距離を一瞬の内に詰めてきた。極限状態に置かれて、思考も頭もキンと冷たく冴え渡った。まるでスローモーションのように世界がゆっくりと流れ始める。息を吸いすぎて過呼吸気味だった肺から空気を絞り出した。腰を落とし足で踏ん張って、全身を使って拳を振り上げる。
この時の綱吉は、そんな技が存在することなど知りもしなかった。
呪力が打撃との誤差0.000001秒以内に衝突する瞬間に起こる現象。
綱吉の橙色の炎を中心に、空気を切り裂くような音を立てて黒い火花が散る。
大空の炎の推進力で高速移動しながら肉弾戦を行っていた経験が生きているのか、呪力と打撃の間にもとより差はほとんど存在しなかった。それが今、極限に冴え渡った状態で噛み合ったのだった。
「!?」
明らかにこれまでと違う手応えと突然発生した黒い火花。何が起きたのかはわからなかったが、呪霊へ与えたダメージが段違いに跳ね上がっていたことは分かる。今の感覚を忘れてしまわないよう、すぐさま呪力を練り上げる。もうあと何度か、これが打ち込めたら。超直感にものを言わせ、呪霊に飛びかかって二度、三度と火花を散らす。まだ呪霊に炎は燃え移らなかった。
貧血でも起こしたのか、くらりと目眩がした。その隙をついた呪霊に思い切り吹き飛ばされ、咄嗟にガードをしたはいいが左腕の肩が外れたか鎖骨が折れた感覚がした。
利き腕でなかったことが不幸中の幸いだろうか。しかし攻撃手段は絞られる。左腕が動かなければ反動をつけて殴ることが難しいし、接近した際に今のように両手を使ったガードができずにモロに攻撃を食らう可能性がある。
「あとは、足…でも今の俺じゃ飛べないし」
飛べてしまえばいくらだって勢いをつけられるし、高速離脱も可能だった。それが封じられた今は、近接戦闘全般が封じられたようなものだった。
並みよりは多いと言われた呪力量も、回復する暇すら与えられず逃げまどい拳を打っていたためろくに残っていない。できることと言えばあとは応援が来るという微かな望みにかけて逃げ続けることと、もしくは。
やれるかは分からない。やれたとして、呪力が足りるかも怪しい。暫く練習していたけれど、根本的な性質の異なる大空の炎と呪力の炎では扱い方が全く違っている。実戦で使うのだってもちろん初めてだ。だけれども、まだ足掻く術があるというのに何もせず、仲間と自分諸共死んでしまったりでもしたら、死んでも死にきれない。
木に背を預ける。正直立っているだけでもいっぱいいっぱいだ。自分で把握できている以上に体中に怪我を負っているだろう。
だらりと下ろしたままの左手から薄く広範囲に呪力を放出する。
左手の呪力と釣り合うように右手からも徐々に呪力の圧を上げていく。
サポート用のコンタクトもヘッドフォンもない。
少しずつ少しずつ放出する呪力量を上げていきながら、こちらに近づいてくる呪霊に視線を向ける。綱吉はもちろん、この呪霊もかなり消耗している。
どちらが先に力尽きるか。
「Xバーナー、なんて言えるレベルじゃないけど」
手足を振り回して突進してくる呪霊に右手のひらを向ける。
大した攻撃範囲でもないので、瞬き一つせず限界まで呪霊を引き付ける。
全て持っていけ、枯渇上等。その気持ち一つで、綱吉は全ての呪力を打ち付けた。
*
「…あ。起きたね」
「……」
「聞こえてる?鼓膜とかは特に破れて無かったはずなんだけど」
「…家入、さん」
薄っすら持ち上げられた瞼の隙間から、綱吉を覗き込む女性の影を認識した。その声で彼女が家入であるということに気づき、名前を呼ぶと、彼女は綱吉の意識がはっきりしていることを確認して頷いた。
「五条、起きたよ」
「…マジ?あんだけ失血してたのに?めちゃくちゃ頑丈じゃん」
どうやらここは高専の保健室らしい。ということはつまり、呪霊を倒しきることができたのだろうか。
「…九瀬さんは…」
「自分の力量見誤ったヤツの心配?…彼は無事だったよ、綱吉が離れたところで戦ったおかげで脳震盪だけで済んだ。今は寝てるけど一度目も覚ましてる」
「よかった、です。…あの後どうなったんですか」
家入には苦い顔をされたが、どうしてもこのままもう一度寝られる気はせず、少しベッドの背の部分を起こしてもらって五条から話を聞くことにした。
「結局あの後綱吉たちが全然戻ってこないから補助監督から連絡が入ったんだよね。帳も解除できないって焦ってさ。で、別の術師が応援に向かったら帳はとっくに解けてて、九瀬って術師とぼろっぼろになった綱吉が倒れてたってわけ。連れ帰る途中で九瀬が目を覚ましたから大まかな話は聞いてる。窓の観測ミスだったらしいね。それを綱吉が指摘して、九瀬が無視したっていうのも聞いた」
自身と勇気があるのはいいことだけど、相手の力量を見誤っていたら命がいくつあっても足りないよね。大きくため息をついた五条に苦笑して、自分の経験値が無いために説得力が無かったのだと返した。
「本当はこんなことあっちゃいけないんだよ。今回の件に関しては純粋な観測ミスだけど、上の奴らが故意にってことも無くないからね。警戒は大事だよ。…前にもあったんだよね、こういうこと。僕が学生だった時にさ」
「術師の等級と任務の等級が合っていなかったってことですか」
「そ。その時辛うじて生還したのが、こないだまで悠仁と任務に就いてた七海って術師なんだけど。窓には教育徹底してもらわないとね。…よく生きて帰って来たよ、まだ経験も少なかったのにさ。しかももう一人も守り切って、呪霊までしっかり倒して来ちゃうんだもん」
「正直もう何をどうやって戦ってたかよく覚えて無くて。こう、殴ったときに何度かバチって音がして、なんかすごい嚙み合った!って感じがしたことは何となく記憶があるんですけど…」
「…それ、黒い火花とか出てなかった?」
「ううん…?すみません、あんまり」
「ああ、いいのいいの。もしそれが黒閃なら、きっと今後も打つことがあるだろうし。あとは…地面が直線にめちゃくちゃ抉れてたのは、あれ何したの?」
「あ、」
そうだ、と目を見開いた。綱吉が生きて帰ってきているということは、あれが成功したということなのだ。
「忘れてたの?あんだけド派手に抉っておいて?」
「いやその…できるかわかんないけど死ぬくらいならって、もう必死になって呪力ぶっぱなして燃やし散らかしたというか砂にしたというか」
「綱吉ってぶっちゃけガチ脳筋だよね」
「それはそうかもしれないです」
前から散々言われていたことだ。ひ弱そうな見た目をしてただの脳筋だと、仲のいいファミリーのボスたちには呆れながら苦笑いされていた。何せ、戦術を考えるのは右腕だったし、場をきれいに整えるのは懐刀だった。ボスであるのはずなのになぜか前線を張っていた綱吉がやることといえば、ただその拳で敵を殴り飛ばすくらいのものだったのだ。脳筋戦闘が癖になるのは仕方がなかった。
「…で、そんな綱吉にお知らせなんだけど」
「はい?」
「この戦果に神宮さん家が大喜びでね。九瀬の家もああいう性質の術式だから、呪術界的には重宝するんだ。それを守りきったって言うんだからお偉いさん方も納得の戦績よ。…ということで、綱吉は二級術師に昇格することが決まりました」
「…え?」
「今後単独任務も増えるから、そのつもりで。正直綱吉に三級任務をさせておけるほど呪術界の人材は豊富じゃないし、今回のこともそうだけど、綱吉の勘は単独任務の方が力を発揮できると思う。まあもちろんキチンと僕が単独任務に向けて訓練付けるから、安心してよ」
「……え?」
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