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:京都姉妹校交流会


「お。綱吉じゃん。怪我はもういいのか?」
「真希さん。おかげさまでとりあえずは。家入さんから色々注意は受けてますけど」
綱吉たち生徒は東京校の前に集合させられた。今日は京都校との交流会の日である。
真希たち二年生とは、綱吉が高専に入学する少し前からの付き合いだ。特に真希とは、体術訓練の相手でもあり、ここ最近は虎杖との訓練のため頻度は減ってはいたものの、関わることは多かった。狗巻やパンダ、釘崎、伏黒とも挨拶を交わして暫く会話をしていると、京都校の面々が到着した。前回顔合わせにやって来た時、綱吉は別の任務に出ていたため彼らと遭遇することは無かった。何と言うか、東京校も大概だとは思うが、あちらはあちらでなかなか個性的な人たちが揃っている。
その中でも一際巨大な体躯をした男が、のそりと綱吉の目の前に立つ。
「お。オマエは初対面だ。と言うことは一年か?」
「でっ……!?さ、…沢田綱吉です一年です!…初めまして!」
「俺は東堂葵だ。ふぅむ…ヒョロいな。だがオマエからは何か変わった匂いがする。一つ聞かせてもらおう。どんな女がタイプだ?」
「はい……はい?」
「俺はつまらん男が大嫌いでな。ソイツの全てが反映される性癖を知ることでソイツ為人を知る。ちなみに俺は尻と身長のデカい女だ。さあ答えろ沢田。お前はどんな女がタイプだ」
言っていることはめちゃくちゃなのにやたらと威圧感のある東堂に若干気おされながら、ふと彼女のことを思い出す。一度は綱吉の踏み入れた世界の特殊性から縁を切ろうと距離を置いたこと。それに怒った彼女がなんと綱吉の家庭教師を味方につけてまでイタリアまで乗り込んできたこと。結局綱吉よりもずっとずっと男前だった彼女と心を通わせ、結婚したこと。
「俺、…好きな人は後にも先にも一人だけです。だからタイプとかは。強いて言うなら太陽みたいな笑顔をくれる、芯の強い子です」
後ろで釘崎と真希がひゅう、と口笛を吹いて囃し立てるのが聞こえた。
「…面白くは無いがつまらなくもない。ふむ、オマエは誠実でいい男のようだな沢田。戦えるのが楽しみだ!」
「あ、すみません俺今回は見学で」
「何?」
「いろいろあって怪我から復帰したばっかりで」
「…そうか。ならば次の機会を楽しみに待つとしよう」
話の通じにくい人なのかと思えば、案外そうでもなかったらしい。綱吉の前に立ちふさがっていた東堂が京都校の面々の元へ戻ったことにほっと息をついていると、ガラガラとやかましい音をたてて五条が何やら荷台を押して登場した。…いや、何だその荷物は。
何かくだらない気配を感じ取って、綱吉は思わず五条と荷物を注視してしまう。それに気づいたらしい五条が綱吉に向かってふりふりとピースをしてくるのを見て、きっとろくなことにならない気がしてならなかった。
ひとしきりその場で騒いだ五条が意気揚々とその荷台の上の箱を開け。
…後はお察しである。

「…さすがにアレは無いよ虎杖くん…」
虐めさながらに遺影の額に顔面を嵌めさせられた虎杖の肩に手を置いて、綱吉は苦言を呈した。



 交流会は恙無く…とは行かなかった。
虎杖は殺されかけるし、特級呪霊が揃って襲撃してくるし、五条の虚式は炸裂した。
交流会一日目が続行不能となった瞬間から、綱吉も戦闘に参加はしていたが、五条の規格外な大技によって大して時間もかからずことは終結した。
とはいえ呪霊が祓えたかは不明だし、実際逃げられただろうという意見で一致しているらしい。
「アンタいつの間にあのゴリラと仲良くなったのよ」
「いや仲良くなったっつーか…」
「東堂さんだっけ…俺もなんか…絡まれたというか…虎杖くんもだったんだね」
病人のベットの前に屯して、ついでに病人にピザを食べさせながら、綱吉たちは久々に四人揃って会話に興じていた。
「っつーか。沢田アンタさぁ虎杖のこと知ってたわよねぇ。どういうことか話してみなさいよコラ」
「ごめんなさい五条先生から口止めされてて」
「うるせぇ一発殴らせろ」
ぎゃあぎゃあと騒ぐ釘崎にタジタジになりながら弁明を重ねる綱吉を眺めながら黙ったままだった伏黒が、まるで自分に言い聞かせるように虎杖に強くなったのだなと呟いた。
綱吉は虎杖がどうやって訓練をしてきたか、その過程を知っている。どうやらこの間の任務で、精神的にも何か変わったことがあったらしいというのも、薄々気が付いている。それが長年呪術界に身を置いてきた伏黒に認められるのはその努力を間近で見てきた者として嬉しさを感じた。
「少し任務が多いと思ってたら、沢田なんかいつの間にか二級になってるし」
「え、俺」
「俺も強くなる。すぐに追い越すぞ」
「ハハ、相変わらずだな!」
「私抜きで話進めてんじゃねーよ」
「それでこそブラザーの友達だな」
「………」
弾かれたように虎杖はスタートダッシュをきめる。当然のように東堂はそれを追って走り出し、遠くの方から騒がしい声が響き渡る。
「虎杖くん、なんであんな気に入られてんの…?」
「知らねぇよ…俺なんて顔合わせでボコボコにされてんだぞ…」
「変人の考えることはわかんねーわ…」
 ちなみに交流会二日目は、何故か野球の試合が行われた。


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