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ダンブルドアの至ってシンプルな前置きが終われば金の皿にはご馳走が一斉に並んでくる。緊張でなにも喉を通らないと思っていたけど、予想に反してご馳走を見た私の胃はキュルキュルと空腹を訴えてきた。とりあえずかぼちゃジュースが飲んでみたい。テーブル奥にある大きな瓶に手を伸ばせば、それに気付いたハリーが手渡してくれた。ローブから覗いた手首があまりに細かったものだから慌てて受け取る。簡単に折れてしまいそうだ。
「ありがとう、ハリー」
「どういたしまして、エレナ。……あの、そこのステーキ取ってもらってもいいかな?」
「もちろん!」
遠慮がちにそう尋ねてくるハリーに元気よく返事をする。ダーズリー家ではこんなもの食べさせてもらえないだろう、きっと。たんとおたべ……よく肥えるんだよ……そんな思いで、小皿にこれでもかとたくさん盛れば、山積みのステーキ皿を渡されたハリーはちょっと引いたような顔をした。私も渡した後やりすぎたなって思った。ほんとごめん、頑張って。
しばらくすると食べ物はパッと入れ替わり、今度はデザートが現れる。あっ糖蜜パイだ! 食べてみたかったんだよね。いそいそとパイを自分の皿へと取り分ける。ハリーも欲しそうにしていたので取ろうかと聞くと「一切れでいいから!」と慌てて言われた。そんな怯えないでも……
「ねえ、きみ。ワイアットって、もしかしてあの闇祓いのエドガー・ワイアットとなにか関係があったりするの?」
「その人なら私の叔父さんだよ」
「なんだって? ほんとに?」
「おい聞いたか? やっぱりエドガーの親戚だってよ!」
「みんなどうして叔父さんのこと知ってるの?」
Pのバッチを胸に光らせた赤毛の上級生──恐らくパーシーの問いに答えれば、周囲が一気にざわめきだす。いや、訂正。周囲というか赤毛の彼らだ。
「きみの叔父さん、よくうちに遊びに来るんだ。僕らの父さんも魔法省で勤めてるから、それで仲がいいみたい」
「「俺たちに色んなアイディアをくれるんだぜ、エドガーは」」
ロンの情報に補足するように双子がニヤリと笑って身を寄りだしてくる。色んなアイディア……つまりのちのウィーズリー・ウィザード製品に関してですね、分かります。
「じゃあきみも将来は魔法省勤めを目指してるのかい?」
「うーん……私ついこの前まで魔法のことなんて知らなかったから」
「えっそれ本当?」
同志を見つけたと目を輝かせるパーシーに苦笑する。がっかりとさせてしまって申し訳ないが、まだ将来のことなんて全然考えてないし、魔法省のこともそんな詳しく知らない。やんわりと否定すると今度はハリーが食い付いてきた。
「本当だよ、つい一週間前に手紙が来たんだもの」
「そっか……じゃあ魔法のことほとんど知らないの? ……それともきみも勉強した? あの子みたいに」
ちらりとハーマイオニーを見遣って不安そうに聞いてくる。彼女はパーシーに授業のことを熱心に聞いていた。
ハーマイオニーは……いい子だけどあまりにも勉強ガチ勢みたいなところもあるから……。首を振ればハリーは安堵したような笑みを浮かべた。
食事が終わり、ピーブズの洗礼も受けて。いよいよ就寝の時間になった。満腹と疲労のままにベットへ倒れ込む。いまならおやすみ3秒できてしまいそうだ。……あ、そうだ。ふとあることを思い出してなんとか身を起こした。
備え付けの勉強机の前に座って羽根ペンとレターセットを取り出す。これを──お母さんに手紙を書くのを忘れては眠れない。未知の魔法界を心配していた彼女の為にも、まずはグリフィンドールという寮が如何に素晴らしいかというのを沢山綴っておこう。
今日のことを思い出しながら便箋を埋めている最中、ふとペンが止まる。
組分け帽子は『揺るぎない勇気』と言った。
けれど私は、自分にそんなものがあるなんて到底思えない。……大丈夫かな、これ組分けミスったんじゃない? いや、私が相応しくなれるように努力すればいい話か。
「──これでよし!」
書き終えた手紙に封をする。明日の朝一でふくろう小屋に行ってだしにいこう。アンブルの初仕事だ。ちょっと心配だけど、あの子なら大丈夫だよね、多分。……ちゃんと届きますように!
多少の不安あれど、気にしてはいられない。だってもう物語は幕を開けた。楽しまなくっちゃ!
そういえば一限は変身術だったっけ。なら早起きしなきゃ。
明日の予定を立てながら、満ち足りた気分でベットに横になる。
今なら最高の守護霊を作れるというくらい、幸せで満ち足りた気分だった。
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