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ハリーの初試合も無事白星を勝ち取り、グリフィンドール生はみんな幸福な思いのままクリスマス休暇を迎えることができた。十二月頭に回されたホグワーツ残留のリストに私はもちろんサインした。一年目だし、ホグワーツのクリスマスパーティを体験してみたい。
ハロウィーンの日以降、ハーマイオニーと過ごす時間は減ってしまったが、それでも私達が仲のいい友人だということは変わらない。クリスマス休暇という短い期間でも離れるのを惜しみあったし、プレゼントを贈ることだって二人で約束した。
「ハリーたちはいいなぁ。ハーマイオニーとずっと一緒で」
「そうは言われても……」
ただまあ、少しだけ寂しいことは確かだ。いつもより人口がぐっと少なくなった談話室でチェスをするハリーとロンに腹いせもかねてだらだらと絡む。二人は困ったように顔を見合わせていた。
「ねえエレナ。君のおかげでハーマイオニーと仲良くなれたこと、僕たちすっごく感謝してるんだよ」
「……そう?」
「うん、そうそう」
ハリーは穏やかな声音で私にそう語りかけてくる。……窘められた気もするけど、まあいっか。しかし私のおかげと言われても。特に何もしてないんだけど。不思議に思いながらもロンの駒を勝手に動かしてハリーのルークを叩き割った。
「あっ!」
「はい、チェックメイト」
勝手に駒を動かされたこと、または負けたことに彼らはムッと口をへの字にさせる。しかし軽い口調で謝りながら暖炉で焼いたマシュマロを挟んだビスケットをお裾分けすれば二人は機嫌を簡単に直してくれた。ちょろあまだぜ。
クリスマス当日、ハーマイオニーに勧められた『ホグワーツの歴史』を読んでいたら少し夜更かしをしてしまったため、目が覚めたときにはもう食事が始まるギリギリの時刻だった。おかげでプレゼントを開ける時間もなかった。
寝癖もろくに直せないままに大広間へと駆け込めば、既に食事は始まっていて、もうみんなとっくに席についている。慌ててちょうど空いていたフレッドの隣に腰を下ろした。今日のウィーズリー家はイニシャルつきのセーターを着てるから見分けやすい。
「わぁお、ハッピーメリークリスマスだなエレナ! 聖夜らしい斬新なヘアスタイルだ」
「それはどうも!」
ニヤニヤとからかってきたフレッドを軽く叩く。……そんなに酷かっただろうか。「そう怒るなよ、相当芸術的だぜ」追い討ちをかけないでほしい。テーブルの端においやられていた海軍少将の帽子に手をかければ帽子の下からハツカネズミが数匹飛び出した。宿を奪ってごめんね、でも私もこれ以上揶揄われたくないんだ……ちゅーちゅーと切なげに鳴き声をあげる魔法のネズミの頭をそっと撫でた。
お昼はウィーズリー兄弟たちに雪合戦に誘われたが丁重にお断りする。デザートのクリスマスプディングで少し気分が悪かった。ホグワーツの、アルコール強すぎる……それとも魔法族用なのかな? どにらにせよ私にはちょっと重かった。
というわけで、一人寝室に戻りドキドキワクワクのプレゼントターイム。
ベット脇に積まれていたプレゼントの山を一つ一つ崩していく。
一つ目の包みは両親からの厚手の手袋だった。中がもこもこのウールになっていてとても暖かい。やった、これがあれば雪合戦に参加出来る!
叔父さんからの小さな箱の中には手のひら大の硝子の立方体がぶら下げられたネックレスが入っていた。硝子の中にはもくもくと紫色のなにかが煙っている。説明書きを読むと、どうやら姿を眩ませられる煙を閉じ込めているようだ。……身を隠せと? それとも校則違反しろと? どちらにせよ十一歳の子供にはなかなか刺激の強い贈り物だ。私をどうしたいんだ……このままだと闇祓いに育成されそうでちょっと怖い。
ハーマイオニーはドローブルの風船ガム。セドリックからはハニーデュークスの綿あめ羽根ペンをもらった。ネビルはお祖母様お手製のかぼちゃケーキを贈ってきてくれた。『いつも孫をありがとう』というメッセージカードまでついている。
そして最後のひとつ、残った大きな包みに手を伸ばす。カードもなにもついてないが、包装は立派なものだった。それにすごく重い。……本かな? ピリピリと包装を剥がしていくと、高級そうな深紅の革で出来た本が姿を見せた。
「……『魔法植物図鑑』?」
パラパラと開こうとすれば、それはあるページでピタリと止まる。光沢感のあるミントグリーン色のリボンをつけた栞が挟んであった。いろんな色をした花々の挿絵が紙の中でそよそよと揺れている。ページの冒頭部分には『ムネモリア』と大きく書かれていて金の箔押しがされていた。よく見ると栞にもその花を押してある。
もしかしてハーマイオニー? でも彼女からのクリスマスプレゼントはもう貰ってるし……ああ、叔父さんかも。二つもくれるなんて随分気前がいい。お礼の手紙を書かなきゃ。一つ目のプレゼント、ネックレスを首に下げて、レターセットを取り出すと机に向き直った。
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