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 ルシウス・マルフォイはなにやってんの?

 成人を迎えた子の責任を親に求めるのってナンセンスかな。でも魔法界でのマルフォイ家の立ち場って今や限りなく無いに等しいし、こういう時こそ家族で支え合っていくべきではなかろうか。マルフォイ一家、ファイヤー! ファイヤーはもうしてるか。ごめん、今のはブラックジョークが過ぎた。

「申請していた仮免許がひと月前にやっと届いてね。それからはずっと実技レッスンを受けていた。筆記テストの方は早々にパスしていて……それで先日インストラスターからもお墨付きをもらったから実技も受けに行って――この通り、無事合格!」
「それは――おめでとう。すごいね」
「ありがとう。エレナを驚かせたくてね」
「本当にびっくりしたよ。もう、本当に……」

 何が言いたいかって、『息子が車の免許証取得に動き始めてます。助けてください』くらい言ってきてほしかったってことだ。ドラコ・マルフォイ[運転手の姿]は、ノーガードで受け止めるには威力が強すぎる。流されるまま助手席へ乗り込みはしたものの、まだ脳の処理が追いついていない。剥げなんてどこにも見当たらないピカピカの革製シートは人生で一番の座り心地をしていたが、言うまでもなく今はそれどころではなかったしまだ発進して三十秒も経ってないのに既に酔った時のような胸焼けで気分が悪かったので、乗り心地としてはむしろ生きてきた中でトップレベルに最悪だった。これはドラコの運転の腕が問題なのではなく、私の心境の問題だ。ドラコの名誉のために言っておくと。

 きっと真面目なドラコは暇さえあればあの広いお庭で練習してたはずだ。 それを見て、ねえルシウス・マルフォイは一体何を考えていたの? ステッキ抱き締めてはわわってしてた? それとも新しいおもちゃに夢中な息子が可愛くて何も言うことができなかったのだろうか。はわわよりかはそっちの方が想像しやすいね。
 なんであれ、手紙の一つでも事前に送ってきてほしかった。なんのために連絡先交換してると思ってる? こういう事態を防ぐためだったんじゃないの? ルシウス・マルフォイが気軽に相談できる環境を作れなかった私がいけないの? そう、また教訓が増えちゃった。とりあえず後ほど事情聴取の鬼フクロウをする。

 マグルの友人が面識のないはずの自身の父親へそんな決意を固めているとは露知らず、ドラコはやや硬い動作で新品のハンドルを握ることに専念していた。そんなドラコがふと匂いを探すように小さく鼻先を動かす。

「甘い匂いがする」
「あっごめん。窓開けようか?」

 ファッジの香りが服に――というより身体に染み込んでしまっているらしい。鼻がバカになっているのか自分では全く気付かなかった。せっかくの新車(それもこんな高級車)に匂いをつけられては堪らないだろう。なんならやっぱり降りようかと私は慌てたが、ドラコはきょとんと小首を傾げた。

「どうして謝る? かわいいのに」
「…………ッスー……あはは、甘いものが好きだよねドラコって。甘いものを可愛いと思う感性、これからの時代的にも大事にしていったほうがいいと思う、余計なお節介だけど。ああそう、匂いね。今ちょうど家に二十キロのファッジがあるんだ。ドラコも良ければ食べて――……ァッ」
「二十キロのファッジ?」

 完全に要らないことを口走った後で、家で私を待っているのは二十キロのファッジだけじゃないことを思い出してしまった。その二十キロのファッジを持ってきたのはだーれだ! ネービルッ! ネビルとドラコを会わせたら破綻するのだーれだ! わーたしっ! 完結。この物語はここで終了です。ご愛読ありがとうございました。

「おい、エレナ?」

 目まぐるしいチカチカとした絶望で二の句を継げないでいれば、当然隣から寄越される眼差しの圧が強まる。服の下でいくつもの冷や汗が流れていく。この、このっ――ほんとに、どうしてこうも――私ってやつは! この性分はもはや一度死なないと直らないのだと思う。沈黙は金ってタトゥーを手足の全指に彫ろうかな。

「二十キロのファッジというのは間違いなくこちらの聞き間違いだと思うけれど、それよりも、今僕はきみの家に招待を受けたと捉えていいのか?」
「二十キロのファッジはどう足掻いても聞き間違いではないんだけど、いや、あの……その……まあでもドラコも忙しいだろうし! どうぞ忘れて、今聞いた全てを」
「たしかにここ最近は自動車免許のレッスンがあったから、幾分か忙しかったのは認めるよ。時間を作れずすまなかった。埋め合わせとは違うけれど、もし許されるならこの後も是非一緒に過ごしたい」
「うん、あの……でも、ほら――今日は突然だったじゃない? そんな無理せずとも――」
「無理なんて! 僕がエレナに会いたくない時なんてあるわけないだろう?」

 知らんがな。とんでもないって顔するのもらっていいですか? 反応にとてもとてもとても困るので。助けてくださいネビル。そのネビルが今はあかんのだった。もう駄目だ。
 いや待てよ。ここは正直に言えばいいんじゃないか? 妙な隠し立てはせず、申し訳ないけれど今日はやっぱり都合が悪いと、正直に。正直は美徳!

「ごめんなさいドラコ。あの、実は今日親友が遊びに来てて……」
「そうだったのか。じゃあその二十キロもありそうなくらい沢山のファッジもその子の手土産?」
「あ、うん、そうなの。……うん?」
「そうか、ならせっかくの団欒の時を邪魔するわけにはいかないな。残念だけど」
「あ、ありがとう! 私から言ったのに本当に申し訳な――」
「挨拶だけして帰らせてもらうよ」
「(はああぁぁぁっ……!)」

 緩やかに終着した結論に声なく深いショックで打ち震える。だから、だから私はそれを回避する目的で素直に白状したんですけど……?! そのザマがこれってなに?! あの、これは邪推かもしれないんだけどもしかしてもしかすると、ドラコって私が軽率に口を滑らせなくてもウチに少しでも上がるつもりだったのでは……? さすがに考えすぎかな。考えすぎか。

 徒歩十五分ということは、車だと五分ということになる。
 あっという間に我が家まで辿り着いてしまって、頬がキュッと引き攣る。はは、うちの素朴な民家にこの高級車、笑っちゃうほど似合わない。この五分の有り得ない密度で、脳はすっかり草臥れていた。……いや疲れてる場合じゃない。

「(鉢合わせは避けたい鉢合わせは避けたい鉢合わせだけは避けたい)ドラコ!」
「わ――な、なんだ」

 早々に車から降り後部座席から荷物を取り出していたドラコを急いで追い掛けた。荷物を受け取りつつ――全然離してくれないので厳密には受け取れていないが――ドラコへ詰め寄る。私の勢いと剣幕に、ドラコは戸惑ったように目を白黒させた。

「今日は送ってくれてありがとう! 久しぶりに会えて嬉しかった! ただ私の親友って本当にその――少し人見知――」
「エレナ帰ってきたー? アンブルが出掛けたそうにしてたから出しちゃったけどいいよね? って……?」
「――ロングボトム?」
「……マルフォイ?」

 恐ろしく顰められた形相を突き合わせる友人二人を前に、私は縋るように荷物を抱き締めた。はわわ……。



 二人は互いの名を口にしたきり一言も声を発さなくなってしまった。動きもしない。取り残された私は、凍える空気の中落ち着きなく二人を交互に見遣った。

 その、たしかに鉢合わせさせたくないって思ったよ。けどそれは打算的な考えによるもので、別にこんな状況を予測してのことではなかった。こんな……こんな視線だけで呪いぶつけ合ってるのかってくらい睨み合うとは、本当に夢にも思っていなくて。
 え、あれ、詳しい事情は把握していないが、それでもネビルとドラコってなんだかんだ仲悪くなかったって認識があったんだけど――あれ?

「あの……ネビル?」

 一番この状況を望んでいなかった私が場を仕切るのもちゃんちゃらおかしいとは思うが、しかし現状石像化していないのは私しかいないので仕方ない。
 小声で呼びかけると、玄関口にいる方の石像は、瞬きをして私を見た。口は未だ真一文字に結ばれたままだったが、僅かでも反応を見せてくれたことに胸を撫で下ろして口を開く。

「アンブルのことありがとう、だしちゃって大丈夫だよ。……それで、エー、こちらの――私をここまで送ってくれた方は友人のドラコ・マルフォイ。……ハイキングの最中に知り合いました」
「……はっ? エレナ、何言って――」
「ドラコ! こちら親友のネビル・ロングボトム。幼い頃に知り合って、その縁で今もお友達です」
「……へえ」
「エレナ……?」

 親友の支離滅裂な言動にネビルは明らかに当惑していたし、ドラコの反応はいくら何でも冷ややかすぎた。どういう感情? ていうかなんでこの二人こんな不仲みたいになってるの? 私の知らないところで仲良くなったり悪くなったりするのやめてくれない?! 混乱する!
 そもそも私に関する記憶のないドラコってネビルへの認識どうなってるの? 原作に近い認識? ただのハリーと仲が良いグリフィンドール生って感じなの? そこら辺もよく分からないよもう。

「いやぁ、全然違う経緯で知り合った二人がまさか友達だったなんて、ちっとも知らなかったなあ!!」
「えぇ……っと……」

 ヤケクソ説明口調で朗読するように声を張り上げ、玄関口に立ち尽くすネビルへと視線で訴えかける。意味が分からないことだらけだと思うけど、今だけはどうか合わせてほしい。どうか。
 私は背後のドラコにバレないようにしつつ、かつてない必死さをもってして無言で懇願した。
 果たして、祈りは通じた。

「……まあ、うん――そう……なんだ」

 躊躇いがちにネビルが呟く。ネビルは私が歓喜で目を輝かせたのを確認すると、複雑げに口をもごもごとさせた。

「マルフォイとは同じ学校に通ってた。寮は違うけど。……僕らの学校に寮があったことはエレナにも話したよね?」
「うん!! 男女で分けたんじゃない寮が四つもあるなんてすごく珍しいなって思ったから、よく覚えてるよ」

 持つべきものは大親友のネビル・ロングボトム! 流石の状況把握能力だ。七年間私に付き合ってくれただけある。
 ネビルは私の意図を汲んでくれたばかりではなく、情報の擦り合わせまでしてくれた。なんて気遣いだろう。本当に大好き。二十キロのファッジをあと六回買ってきたとしても私は生涯秘密を守ることを今ここに誓おう。

「――そうだな、同じ学校ではあった」

 さらにここへきて背後の石像も息を吹き返してくれた。ようやく話が上手い方向へ進む兆しが差した。私はつい浮かれて振り返り、何も言えず固まった。ドラコの顔は尽くの感情を削ぎ落としたものとなっていた。正も負もない完全なる無。ほんの数分前まで赤みさえも宿っていた頬からも、すっかり色が抜かれている。物言わぬ石像が喋る彫刻にチェンジしただけだった。

「ただロングボトムの説明通り、僕らは違う寮だった。僕らの間に友人と言えるほどの関わりがあったとは言いかねる」
「あっそうなんだ……」
「そうかな? 僕らってそれなりに仲良しだった気がするけど」
「ああそうだった。ロングボトム、お前は昔から最高のユーモアの持ち主だったよな。たった今思い出したよ」

 腕を組んで車へ凭れたドラコは、吐き捨てるように言ってせせら笑った。そこでネビルは初めて車に意識がいったようで、「なにそれ?」と目を眇めた。

「おやおやおや!」ドラコの声のトーンが僅かに上がり、勝ち誇ったようなものへと色が変わる。

「ロングボトム殿は“自動車”をご存知ないのか?」
「……ロンたちが乗ってきたやつでしょ?」
「そうだ。そして僕らは普通、これを使って移動する」
「“ふ、つ、う”??」

 一音いちおんハッキリ音にしてネビルは聞き返したがドラコはそんなことでは臆さず、なんならむしろもっと自信を持ったようだった。私は口を挟まず、ただ成り行きを見守ることにした。今ばかりはネビルからの視線も、顔を背けてそっと逃げる。ごめん、沈黙は金だから。

「教えてやろう、ロングボトム。車というのは、本来地面を走らせるものなんだ。空を飛ばして移動させるものじゃない」
「どうしちゃったのマルフォイ」
「そんな事も知らないとは嘆かわしい……これを機に認識を新たにすることだ。普通で一般的な僕やエレナを見習って」
「何言ってんだマルフォイ」

 非魔法族の魔法を知らぬ友人である私に合わせて、自分はマグル界に溶け込んでいる――と言いたいのだと思われます。
 内心で翻訳するが、開心術の心得がないネビルには当然伝わらない。ネビルは後退りするほど不気味がっていた。今すぐ家の中に逃げ込みたそうにしているネビルへ、ドラコは「ちょうどいい」と腕時計を確認した。不遜な態度で顎を使ってガラ悪く助手席を示す。

「仕方ないから途中まで送ってやる。感謝しろ」
「いい」
「遠慮してないでさっさと乗れ。帰るぞ」
「だからいいって。遠慮とかじゃない。本当に気味が悪いよ、きみ……それに僕今日はエレナの家に泊まるから」
「はあ? 駄目に決まってるだろうそんな――そうだよな?」
「えっ? いいよ」
「ハア?! 駄目だろ!」
「なんで? ネビルは友達だし何も問題ないんだけど……」

 ネビルがうちに泊まるのは初めてでもない。うちには彼専用のパジャマも歯ブラシもあるし、二階にある空き部屋の一室はほぼネビル専用になってるくらいだ。

「な、な……それなら、じゃあ、僕が泊まったって構わないってことだよな? 僕だってきみの友人なんだから?」
「それはだめかな」
「ハア?!」
「いやほら、やっぱりそこは親御さんの許可がないと」
「僕は成人しているんだが?」
「でも帰る場所が家族のいる実家ならそこは、ね? 報連相って大事だし」
「じゃあロングボトムだって駄目だろう!」
「僕はちゃんとばあちゃんに報告してる」
「っそもそも、仮に許可があったとてこんなことは許されないはずだが?!」
「「なんで?」」

 そんなにダメダメ言われる理由が分からなくて、私たちは同時に首を傾げた。喚いていたドラコは信じられないといった様子でわなわなと数度口を開け閉めした。

「な、なんだその顔は……! まさか僕が間違ってるのか? いや、でも、しかし――ッロングボトムは、男なんだが?!」

 ……あ、うん……。
 今更その常識を私たち二人に指摘する友人知人は、残念ながらもういなかった。実に新鮮で真っ当な指摘だし、常識的だ。ドラコの言い分におかしな箇所はなく、客観的に見れば倫理に悖る行為をしているのは私とネビルの方だ。
 でも本当に、本当に今までこういったありとあらゆる無法を『まあエレナとネビルだからね……』で片付けてきてもらってきていた。ので、今更そこを改めて理解の及んでいない第三者を説得できるくらい言語化するのは、あのーーーちょっと無理かも!

 助けを求めてネビルを見て驚愕する。ネビルは今まで見たこともないような濁りきった目をしていた。
 
「あのさぁ」ネビルは『ウンザリ』と『軽蔑してます』の二つの負の感情をありったけ込めた声音で冷たく切り出した。

「やめてくれないかな、そういうこと考えるの……デリカシーのない……さすがにちょっと気持ち悪すぎていくら僕でも擁護できない。金輪際僕らのこと見ないでくれる? その鉄の塊に乗って走って帰って、今すぐ」
「なっ……! お、お前にそんなことを言われる筋合いは――ッそもそもお前が僕を擁護しようとしたことだって一度としてないだろうが! 何様のつもりで宣っているんだふてぶてしい――おいやめろクネクネ身体を隠そうとする動きを今すぐやめろ気持ち悪いのはどっちだ!」

 ネビルが身を守るように腕を交差させる。そのお茶目な行動が最後のスイッチだったらしい。この家に来てから今に至るまでずっと忍耐強く堪えていたドラコが、とうとう爆発した。私の前では見せたことない形相で息継ぎもろくにせずネビルへ食ってかかっていく。ハリーたちを煽る姿も三年次以降あんまり見ていなかったからなんだか懐かしい。
 とはいえ、これってあんまり良くない流れな予感がしますね、魔法界のお口滑らせチャンピオンを自負する者としては。あの格好つけたがりのドラコ・マルフォイが今にも地団駄を踏み出しそうなくらい我を見失ってる。

「ドラコ、少し落ち着いた方が――」
「理性を失ったけだものに比べたら意気地のないイタチの時の方がまだ断然マシだったのに。あーあ。きみ、数少ない取り柄を捨てちゃったんだね」
「おい、言いたくもないそして言う必要も本来なら微塵もない程に決まりきった事実を、理解力が著しく欠けた憐れむべきお前のため仕方なく言ってやるからよくよく傾聴しろ。僕が、お前を、如何わしい目で見たことなんか、一度だって、ない!!――ああクソッ、未来永劫有り得ないこんなおぞましいことをわざわざ口にさせるな!!」
「“僕がお前を”? じゃあエレナのことは見てるってこと?」
「そんなの当然っ、ちがっ――違う! 違う!! そんな下衆なこと僕は毛ほども考えてなかった頼む信じてくれ誓って違う――本当に違う!!」
「う、うん。もちろん分かってる、大丈夫……」

 今のはネビルが意地悪して完全に言わせにいってた。お口の急ブレーキが利かない経験は私にだってよくよくあるし、むしろ今のはよく堪えた方だと感心したくらいだ。

 今回の件に関して全体的にドラコが被るべき非なんて少しもないことはきっちり理解している。大丈夫大丈夫、今のはネビルが上手かっただけ。ていうかあんな辛辣で意地悪なネビルは私も初めて見たので今ちょっと引いてる。詰めてる相手がドラコでなければキュンし直してたところだ。が、まあドラコ相手だったので感情の置き方にいまいち迷ってる次第だ。

 どうやら私の隠し事が一つ二つ、どころか三つはあるらしいなと勘づいてしまったらしい親友は、どうもダークな方面に絶好調なようだった。

「あー……ドラコ、その……今日はもう帰った方がいい、と思うな」

 つまり、ドラコの旗色は明らかによろしくない。純粋な気持ちからの助け舟をだせば、ドラコは真っ青にした顔ではくはくと口を大きく震わせ、最終的には大きく項垂れた。
 


「(――あ、ファッジお土産に渡せばよかったな)」

 心做しかしょぼくれたように見えるクラシックカーが目視できなくなるまで見送る。さっきのドラコ、記憶が無くなる前に戻ったみたいだったな。ネビルがいたからか感情が昂ってたからか、とにかく猫が被れなくなってた。変に気障っぽくなかったし……普段からああやって接してくれたら私もルシウス・マルフォイも大助かりなのにな。
 やれやれとんだ一日だった。コーマックにファッジにドラコに……。さて夕飯の支度をしようと一つ息を吐いてから玄関口を振り返っ

「エレナ」

 た先ではネビルが仁王立ちで待ち構えており思わずヒュッと喉が鳴った。

「エレナ」
「はい」
「説明」
「はい……」

 (話せる限り)全ての事情を話し且つネビルが満足のいくまで私への小言を言い終えたのは、叔父さんの肖像画がホグワーツから気紛れに帰還したくらいで、それは大体、真夜中に近い時刻だった。
 

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